ガンマ・レイ『Somewhere Out in Space』
今日はGamma Ray 『Somewhere Out in Space』について。
アルバム「Somewhere Out in Space 」収録。
この曲は、ドイツのパワーメタルバンドGamma Rayが1997年に発表したメロディックスピードメタルです。
色んなジャンルの音楽を詰め合わせ放題にしたような曲。
パワーメタルでもありプログレッシブロックでもあり、テクニカルでもありバラードでもある…「一曲にこれだけ沢山の要素を、無理なく詰め込めるものなのか」と思わせる緻密さを感じさせてくれます。
この複雑な曲構成力は、音楽学校で本格的な作曲理論を学んだカイ・ハンセン(Vo、Gt)の強みなんでしょうね。
前半は高速で疾走しますが、サビに入ると途端にスピードダウン。
歌メロの流麗さを際立たせる為だと思いますが、その際なメロディは前述の通りメタルバラードのようです。
特にラストサビの際にはバックで綺麗なギターの旋律が流れ、歌メロとの掛け合いのように。
ヘヴィな曲調の中にも美しいメロディを、という構成はハロウィン時代からのカイの個性ですが、それを突き詰めるだけ突き詰めるとこういう曲になるんだろうな、というメタル曲です。
伝統的なカイの世界観に、ブラインドガーディアンの要素を導入したようなイメージでしょうか。
ダニエル・ダン・ツィマーマン(Ds)のドラミングもかっこいい。
ヌケの良いスネア音もさることながら、一聴の価値ありなのがツーバスワーク。
スピードもそうですが、連打したり静止したり、さらにまた連打したり静止したり、速さと正確さのバランスが非常に巧み。
一曲な中でも何度も変わるリズムパターンを自然に叩きこなしている所も見事です。
カイ・ハンセンやヘンヨ・リヒター(Gt、Key)の陰に隠れがちですが、パワーメタル界の中でも名手のドラマーではないでしょうか。
カイの作曲力が凄いのは前提ですが、その凄さもそれを具現化してくれるプレイヤーがいてこそ表現できる、という事を思い出させてくれます。
美旋律と技術が高度に融け合った楽曲です。
タイトルの通り宇宙空間のようなスケールと神秘性を感じさせてくれるHR/HMを聴いてみてください。
それでは。