音の日

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パワー・ステーション『Some Like It Hot』

今日はThe Power Station『Some Like It Hot』について。


アルバム「The Power Station」収録。

この曲は、イギリスのロックバンドThe Power Stationが1985年に発表したハードロックです。


ドラムが鮮烈な曲。

トニー・トンプソン(Ds) のドラムがまるでメロディを奏でるような緻密なビートで、ロバート・パーマー(Vo) の歌とツインボーカルのようなコンビネーションで聴き手に迫っていきます。

元々ファンクバンドのシックでプレイしていたドラマーですが、実はアンディ・テイラー(Gt) ジョン・テイラー(Ba) がシックの大ファン。

そこで2人が「トニーのドラムのかっこ良さが伝わる曲を作ろう」というコンセプトで生み出した曲の為、ドラムが目立つ仕様になったようですね。

トニー自身、レッド・ツェッペリンジョン・ボーナムを非常に尊敬しているプレイヤーの為か、音圧が超ハイパワー。

目立つ音量と目立つフレージングで、リズム隊の枠を飛び越えるように自己主張しまくっています。笑

一方でドラムの音が目立つのは、名エンジニアのジェイソン・カーサロのかけた「ゲートリバーブエフェクト」の要素も大きい。

ゲートリバーブエフェクトとは、たとえば普通にドラムを叩くと「タンッ」と音が鳴り、それにリバーブをかけると「タアァァァァ…ン」と響く。

その伸ばした残響音の後半の音をノイズゲートでバッサリ切って「タアァッ」と、幻想的ながら歯切れの良い音を鳴らす手法なのですが、これがとにかくかっこよく鳴っています。

トニー自身もレコーディングの際に、わざと広い部屋でレコーディングして残響音を響かせまくり、その音に更にこのエフェクトをかけた事でその効果を倍増させた模様。

トニーのパワーとジェイソンの音作り、優秀なプレイヤーとエンジニアの共同作業で最高に上質なサウンドのドラミングが楽しめる楽曲です。

現在の音楽シーンでは、世間がヒップホップやEDMの軽快なビートに耳が慣れている為か、こうしたへヴィなサウンドのドラミングはあまり取り沙汰されなくなりました。

だからこそ、リズムの音色が強い音楽というのは新鮮に聴こえるはずなので、こうしたパワフルなビートが今一度日の目を浴びても良い気がします。

若くして亡くなったトニーの残した偉大なプレイのひとつが存分に楽しめる作品です。

ロディックなドラミングのバイブルのような曲を聴いてみてください。



それでは。