音の日

好きな音楽、その他趣味のこと

ドリーム・シアター『Scene Eight: The Spirit Carries On』

今日はDream Theater『Scene Eight: The Spirit Carries On』について。


アルバム「Metropolis Pt. 2: Scenes from a Memory」収録。

この曲は、アメリカのHR/HMバンドDream Theaterが1999年に発表したロックバラードです。


ジョン・ペトルーシ(Gt) の濃厚な表現が楽しめる曲。

ギターソロから、テクニカルなのに灯籠の光のような温かなフィーリングが伝わってきます。

ペトルーシというと世間的には「まるで機械のよう」と言われるほど、良い意味でもそうじゃない意味でも、正確無比なプレイばかりを取り沙汰されがちだったギタリスト。

しかしこの曲での彼のプレイは、いつも通りテクニカルなパートもありながら、そうした評価を一息に吹き飛ばすような情操も感じます。

基本的にはゆったりとしているのですが、所々高音域でギターを叫ばせたり、更に後半ではペンタトニックで超加速したり、その上でまたゆったりに戻ったり。

まるでギター1本のメロディで1つのドラマを生み出しているかのようです。

ペトルーシのプレイの中でも、最もロマンティックで鮮やかなプレイの1つではないでしょうか。

彼のギターはこの曲の発表後から、ますますテクニカル成分が強くなり、こうしたメロディアスな演奏をする場面は徐々に少なくなっていきます。

それはそれで知的でかっこいいのですが、こうしたまるで魂でギターを歌わせるようなプレイができるのも、元来のペトルーシギターの醍醐味ですよね。

このソロで思い切りリスナーを舞い上がらせた後に、強力なゴスペルと重なりながらジェイムズ・ラブリエ(Vo) が大サビを歌いあげる流れは圧巻。

空間を飲み込むような密度で、現実離れしたスケールの美しさが聴き手の心の深くに入り込んでいきます。

他のドリーム・シアターの曲ほど変拍子は使われてないのですが、それとはまた違った上手い曲展開でこの美メロを際立たせていて、華やかさで勝負してきたアーティストが、突然オーソドックスで洗練されたプレイに持ち武器を変えたイメージ。

作曲における彼らの引き出しの数を証明したような作品です。

「The Spirit Carries On」(魂は生き続ける)。

細やかな工夫よりも、ストレートな魂のメロディで20年以上ファンから愛されるバラードを聴いてみてください。



それでは。