音の日

好きな音楽、その他趣味のこと

マライア・キャリー『Emotions』

今日はMariah Carey『Emotions』を聴いた感想を。


アルバム「Emotions」収録。

この曲は、アメリカのシンガー・ソングライターMariah Careyが1991年に発表したポップロックです。

マライアの全米1位獲得曲の1つ。

日本でも90年代の洋楽ヒットチャートに名を連ねています。


とても天真爛漫な曲。

内容的には「恋愛中の高揚感に満たされた女性の心情」を描いたもの。

「まるで夢みたいな感じなの」
「あなたが私に優しく触れると 夢か現実か、わからなくなる」
「けど胸が高鳴る、この感じが好き!」

情動的で素直なメッセージはまさに「Emotions(感激)」ですよね。

曲調的にはポップスでありながらも、リズミカルなダンスミュージックの要素が組み込まれています。

恋をして、浮かれ気分の女性の気持ちを表現しているのでしょうか。

ちなみに元々はシカゴ出身のコーラスグループThe Emotions(エモーションズ)の「Best Of My Love」をモチーフにした作品との事。

「Best Of My Love」も 70年代に、全米5週連続1位を記録したディスコミュージックの伝説的な曲ですが、その曲の美味しい所と、現代的なポップスの表現が巧みに織り混ぜられているようなイメージです。

名曲が次世代の新たな名曲を生み出したわけですね。


メロディの親しみやすさ、キュートさも魅力ですが、聴き所はやはりマライア自身の強力な歌声。

特に90年代では「セリーヌ・ディオンマライア・キャリーか」といわれたほど圧倒的な歌唱力を持つ彼女ですが、その声量、音域が遺憾なく発揮されています。

地声の声色でのhiGの歌唱は驚異的。

さらにクライマックスではホイッスルボイスでhihihiC、そしてフェイク部分ではhihihiEという、もはや別次元のキーの声を連発。

少なく見積もっても5オクターブ強の声域を持つと言われる彼女ですが、そのポテンシャルをフルで楽しめるのがこの曲だと思います。

もちろん純粋に曲のメロディ自体も美メロ。

明るいながらもどこか大人っぽい旋律も流れていて、ギャップ感があります。

陽気なリズム、聴きごたえのあるメロディ、そして高難度の歌メロ、様々な要素を味わえる曲ではないでしょうか。


ちなみに同じく世界的歌姫Ariana Grande(アリアナ・グランデ)がカバーした事でも知られています。

ハイトーンのパートやホイッスルボイスも含めて完全にカバー。

初めて聴いた時には「アリアナ・グランデってこんなに歌上手かったんだ」、と思いました。

マライアとは違う意味での衝撃がある歌唱になっているので、興味がある人は是非YouTubeで聴いてみてください。(確かCDにはなっていない為)



それでは。







ガンマ・レイ『Somewhere Out in Space』

今日はGamma Ray 『Somewhere Out in Space』について。


アルバム「Somewhere Out in Space 」収録。

この曲は、ドイツのパワーメタルバンドGamma Rayが1997年に発表したメロディックスピードメタルです。


色んなジャンルの音楽を詰め合わせ放題にしたような曲。

パワーメタルでもありプログレッシブロックでもあり、テクニカルでもありバラードでもある…「一曲にこれだけ沢山の要素を、無理なく詰め込めるものなのか」と思わせる緻密さを感じさせてくれます。

この複雑な曲構成力は、音楽学校で本格的な作曲理論を学んだカイ・ハンセン(Vo、Gt)の強みなんでしょうね。


前半は高速で疾走しますが、サビに入ると途端にスピードダウン。

歌メロの流麗さを際立たせる為だと思いますが、その際なメロディは前述の通りメタルバラードのようです。

特にラストサビの際にはバックで綺麗なギターの旋律が流れ、歌メロとの掛け合いのように。

ヘヴィな曲調の中にも美しいメロディを、という構成はハロウィン時代からのカイの個性ですが、それを突き詰めるだけ突き詰めるとこういう曲になるんだろうな、というメタル曲です。

伝統的なカイの世界観に、ブラインドガーディアンの要素を導入したようなイメージでしょうか。


ダニエル・ダン・ツィマーマン(Ds)のドラミングもかっこいい。

ヌケの良いスネア音もさることながら、一聴の価値ありなのがツーバスワーク。

スピードもそうですが、連打したり静止したり、さらにまた連打したり静止したり、速さと正確さのバランスが非常に巧み。

一曲な中でも何度も変わるリズムパターンを自然に叩きこなしている所も見事です。

カイ・ハンセンやヘンヨ・リヒター(Gt、Key)の陰に隠れがちですが、パワーメタル界の中でも名手のドラマーではないでしょうか。

カイの作曲力が凄いのは前提ですが、その凄さもそれを具現化してくれるプレイヤーがいてこそ表現できる、という事を思い出させてくれます。

美旋律と技術が高度に融け合った楽曲です。


タイトルの通り宇宙空間のようなスケールと神秘性を感じさせてくれるHR/HMを聴いてみてください。



それでは。






EXILE『道』

今日はEXILE『道』ついて。


この曲は、日本のダンス&ボーカルグループEXILEが2007年にリリースしたポップバラードです。

音楽番組「音楽戦士 MUSIC FIGHTER」のOPテーマだった曲としても知られています。


タイトルの「道」は、新しい場所に進む為の道、の意味。

曲の成り立ちとしては全パートの演奏は、ボーカルを引き立てる為のもの、という印象です。

ドラムもベースも静かな音量で、穏やかにそっと歌メロを支えるような謙虚な音色を奏でています。

ストリングスも、美しくもおとなしめ。

ボーカルをより聴きごたえがあるものにする為に計算されたアレンジだと思います。

EXILEの楽曲の中でも歌メロ主義の曲と言えるのではないでしょうか。


その歌メロ自体も素晴らしく、特にサビは絶品。

ATSUSHI(Vo)とTAKAHIRO(Vo)の透き通った声色がメロディの良さを限界まで引き出してくれています。

歌詞は一種のドラマ性があるもの。

「「希望」「夢」「愛」 話したい 動くな時間」
「空に叫ぶ キミを忘れない」

全国の学校の卒業式でよく歌われているように、別れと旅立ちを連想させる内容ですが、おそらくは当時のEXILEメンバーの心境を表した作品。

この曲のリリース直前に、EXILE創設時のメンバーの1人、清木場 俊介ことSHUN(Vo)がグループを脱退しているんですよね。

高い歌唱力とおおらかな人柄をもつ彼は、ファンだけじゃなくメEXILEメンバーからも慕われていました。

そのSHUNが脱退する事で、おそらくメンバーは不安や空虚感、そして「だからこそ前を向かなきゃ」という情熱が胸に溢れたのだと思いますが、その時の心情を表現した詞が「キミを忘れない」なのではないでしょうか。

その思いは後任のTAKAHIROにも届いたようで、出来上がった歌詞をはじめて読んだ時の事を「ものすごく感激した」と語っています。

ちなみに日本で初めて学校の卒業式でこの『道』が歌われたのがTAKAHIROの母校でのサプライズライブとのこと。

この曲を見事に歌い上げたTAKAHIROは、自身のファンを開拓することに成功し、EXILEのボーカルの地位を磐石にする事に成功したようです。

旅立つSHUNへの今までの感謝の気持ちと、新たな仲間であるTAKAHIROへの「これから一緒に歩んでいこう」という想いが込められた、熱いメッセージソングだと思います。


EXILEの第2章の始まりの曲を聴いてみてください。



それでは。





B'z『ギリギリchop (Version 51)』

今日はB'z『ギリギリchop (Version 51)』を聴いた感想を。


アルバム「Brotherhood」収録。

この曲は、日本のロックユニットB'zが1999年に発表したロックチューンです。

アニメ「名探偵コナン」のOP曲として知られる通常バージョンと、「Version 51」の2タイプありますが、今回は「Version 51」について。


非常にアグレッシブな曲。

基本的にB'zの曲は、ポップスとハードロックが5:5の割合で混ざった曲が多いイメージですが、この曲に関しては2:8ぐらいでハードロックの面が強いのではないでしょうか。

注目ポイントは、リズム隊にあのMR.BIGビリー・シーン(Ba)とパット・トーピー(Ds)が参加しているところ。

さすがは世界的スターバンドのメンバーというか、プレイの質が桁外れ。

パットのバスドラ連打、ビリーの超速弾き。

そして一音一音が、ズシンッとした重量感で聴き手の耳に迫ってきます。

ロックにおけるリズム隊の重要性を再認識させてくれるプレイです。


その2人が凄いのはもちろんの事、今回は稲葉浩志(Vo)と松本孝弘(Gt)の演奏にもいつも以上の気合いが入っています。

稲葉の後半でのhihiAのシャウトは圧巻。

洋楽HR/HMでもそうそうは聴けないキーでの、熱い叫びです。

松本のギターもいつにも増して弾きまくり。

シャッフルのリズムによるリフがトリッキーでかっこいいです。

特に力が入ってるのがギターソロ。

フルピッキングを多用。

まるでビリーのベースに張り合うような攻撃的なプレイです。

ここまでいくともはや松本とビリーの、ギターとベース「バトル」ですよね。

松本のピッキングプレイだけじゃなく、レガートも凄い。

ハンマリングとプリングの連続。

音が上下しまくります。

優れた技術を持ちながら、普段は曲の雰囲気に会わせて抑えた演奏をしている彼ですが、今回は世界的ロックスター達との共演という事で張り切ったのかもしれませんね。笑

実際ギターのパートは何十回も録り直したとの事。

こういう音源を聴くとやっぱり彼の原点はHR/HMなんだなぁ、と思います。


B'zの楽曲の中で、最も激しくロック成分の強い曲を聴いてみてください。




それでは。






トリヴィアム『Dying In Your Arms』

今日はTrivium『Dying In Your Arms』について。

アルバム「Ascendancy」収録。

この曲は、アメリカのHR/HMバンドTriviumが2005年に発表したメタルコアです。


ハードながらも哀愁が漂う曲。

演奏時間は短いですが、その中に聴き応えのあるメロディが沢山詰まっています。

メタルコアであってもテンポはあまり速くなく、むしろミドルより。

その分その流麗な旋律をじっくりと味わう事ができます。

曲調自体はコアの中でも歌メロに主軸を置いたと思われる、いわゆる「歌モノ」。

マシュー・キイチ・ヒーフィー(Vo)の歌声が艶やか。

太い声質ですがメロディックなパートではデリケートに強弱をつけ、バラード系シンガーのように繊細に歌い上げています。

アメリカのメタルバンドであっても、歌メロにはどことなく日本的なメロディに聴こえるフレーズが。

これはリーダーのマシュー・キイチ・ヒーフィーが
山口県岩国市生まれの、日系アメリカ人である事も関係しているのかもしれませんね。

幼い頃に触れたであろう日本の音楽は、意識的にしろ無意識的にしろ彼の音楽的感性に影響を与えているかもしれません。

しかしやはりメタルコア

要所要所でデスボイスも入っています。

といっても終始叫ぶわけでは無く、部分的にアクセントで入っている程度。

それをメインにする、というより歌のなめらかなメロディラインを引き立てる為に入れているイメージです。

普段コアを聴かない人の、コア入門編にも良いのではないでしょうか。

全体的にアメリカ、というより北欧メタルの表現に近いかもしれません。

クライマックスはラストサビでの転調。

これまで綺麗な歌メロで聴かせ、デスボイスで圧倒して、最後でまた歌メロで聴かせる。

一般にメタルコアというと、ボーカルというよりはリフでの刻み、高速ツーバスなどのリズムで魅せる楽曲も多いのですが、ここまでボーカルのメロディに主軸を置いた曲も珍しいと思います。

元々Trivium自体、「様々な音楽分野を独自にまとめ上げよう」という意図のもとに結成されたバンドですから、こういう「コアの中にもポップス的なメロディ」という形態の楽曲は、彼ららしい作品と言えるのかもしれませんね。

(余談ですが「トリヴィアム」の言葉の意味はトリヴィアの単数形で、「文法学」、「修辞学」、「論理学」の三学科の教育論、とのこと)

攻撃的でありながら理性的なメタルを聴いてみてください。



それでは。





B'z『今夜月の見える丘に』

今日はB'z『今夜月の見える丘に』について。


この曲は、日本のロックユニットB'zが2000年にリリースしたロックバラードです。

木村拓哉常盤貴子水野美紀が出演した事でも知られるドラマ「Beautiful Life~ふたりでいた日々~」の主題歌としても有名。


パワフルながらもメロディに重きをおいた曲。

イントロ、アウトロでは松本孝弘のギターだけじゃなくマンドリンも使用されています。

元来クラシック楽器であるマンドリンの音も、ロックとして違和感なく導入できるのが松本孝弘のセンスですよね。

曲調はキャッチーなポップスを基盤にしながらも、ややハードロックの成分もほど良く含まれています。

柔らかくも硬くもない楽曲はB'zならではの世界観です。

ちなみにメンバーはタイアップドラマの脚本を読みながらこの曲を書き下ろしたとのこと。

「Beautiful Life」自体、アットホームながらも悲しみも含まれるドラマでしたが、この曲にもどことなくそういう佇まいが感じられると思います。


歌詞は、本音を隠す恋人に「本当は僕をどう思ってるの」と問いかけるような内容。

「茂みの奥へと進んでゆこう 怪我してもいい」
「はじけるような笑顔の向こう側をみたいよ」

おそらくこの詞の主人公の恋人は、実際は主人公に多少の不満を感じていたとしても、表向きニコニコと振る舞ってくれる「いい人」なんですよね。

ただ主人公の方は、その恋人の「いい人」っぷりが不安になってくる。

「本当は何かを押し殺しているんじゃないだろうか」、「それなら自分を信じて正直に話してほしい」と思い始める。

端から見てたら微笑ましいようで、主人公本人にとっては切実な「歯痒さ」を上手く表現した歌詞だと思います。

こういう純粋な愛の歌の、ゴリゴリの重低音のコントラストが本作の魅力ではないでしょうか。


ちなみに収録アルバムによって3パターンまでギターソロのバージョンが変えられています。

個人的には「ELEVEN(Alternative Guitar Solo ver.)」のバージョンが好きなので、そちらも是非聴いてみてください。



それでは。





ポルノグラフィティ 『サウダージ』

今日ポルノグラフィティサウダージ』について。


この曲は日本のロックバンドポルノグラフィティが2000年にリリースしたポップロックです。

タイトルの『サウダージ』の意味はポルトガル語で「郷愁」「失ったものを懐かしむ感情」。


ラテンのリズムで突き進む曲。

シングルではポルノグラフィティ至上最大の売上を記録した曲で、踊りたくなるようなビートに親しみやすいメロディが絡む様は、サザンオールスターズの楽曲を彷彿とさせます。

親しみやすい、とは言ってもボーカルのメロディラインは、一般の人が正確になぞって歌うのは難しいリズム。

逆に言えば難しくても、「とっつきにくさ」が無い独特な魅力を持った曲、と言える楽曲ではないでしょうか。


歌詞は女性目線の未練のメッセージ。

「諦めて恋心よ 青い期待は私を切り裂くだけ」
「あの人に伝えて…寂しい…大丈夫…寂しい」

すでに気持ちの離れた恋人に対して、「まだやりなおせるんじゃないか」と期待しながら「いや、こんな期待はしちゃいけない」と自分を戒める。

けれど強がっても気持ちは押さえきれず「…寂しい」と心の中で呟いてしまう。

別れを惜しむ女性の心境が生々しく描かれていると思います。

ちなみに詞が女性視点の理由は、作詞者の新藤晴一(Gt)いわく「男にも女々しい部分はあるからそれを書きたかった」とのこと。

確かに別れた恋人への未練は、一般に女性より男性の方が強いかもしれませんね。笑

という事はこの詞は女性視点というよりも、未練がましい男心を、晴一のイメージの世界の女性の口を借りて代わりに語らせた、という方が近いのかもしれません。

しかしただ未練を呟いて終わりの歌では無く

「許してね恋心よ 甘い夢は波にさらわれたの」
「いつかまた逢いましょう その日までサヨナラ恋心よ」

最後では、恋人と過ごした時間が美しい思い出であった事を受け入れ、その上で「いつか新しい恋を見つけよう」と強く前を向く言葉が綴られています。

後ろ向きなまま終わりでは無く、かと言って前だけを向いているわけでも無く、散々後ろを振り返った人がようやく前を向く、という歌詞は、失恋に悩んだ多くの人の心に突き刺さるのではないでしょうか。

好きな人と結ばれたわけじゃなくても、切ないだけの詞では無い、というとても高度な次元のラブソングだと思います。

余談ですが新藤晴一自身は、あの長谷川京子と結婚しています。

詞のヒロインの恋はその後どうなったかは知りませんが、晴一自身は愛する人と幸せな日常を送っていて何よりですよね。


中森明菜がカバーアルバム「Belie」において本作をカバーしていますが、原曲とはまた違った郷愁感が溢れるアレンジになっているのでそちらもオススメです。



それでは。