音の日

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ジューダス・プリースト『Beyond the Realms of Death』

今日はJudas Priest『Beyond the Realms of Death』について。


アルバム「Stained Class」収録。

この曲は、イングランド出身のHR/HMバンドJudas Priestが1978年に発表したロックバラードです。


HR/HMバンドの音とは思えない程、音色が澄んだ曲。

出だしのアコースティックギターサウンドが驚くほど透き通っていて、70年代の音質とは信じられないぐらいの鮮やかさを放っています。

メロディ自体も美しいですが、この、それそのものが宝石のように輝く音色の演奏である、という所もこのイントロの聴きどころの1つだと思います。

「クリーンなギターのトーンは、まず右手(ピックを持つ手)の力加減から」とは言いますが、最高の指の力加減から生み出された音なんでしょうね。


また、ロブ・ハルフォード(Vo)の声も良い。

高音域でのトーンがとてもなめらかで、ややシャウト声ですが、男性と女性のちょうど間のようなフラットな魅力を持つボイス。

Aメロでは繊細に、脆ささえ感じる哀愁の声で歌い上げるのですが、途中から圧力を増す演奏陣と共に、ロブの声のテンションもアップ。

寄せては返す、大海の波のような緩急でリスナーのマインドを揺さぶります。


楽曲的に一見落ち着いたバラードのようでありながらも、急にロック調になる展開は、まるでレッド・ツェッペリンの伝説のバラード「天国への階段」のようです。

実際、タイトルの『Beyond the Realms of Death』
も直訳すると「死の領域を越えて」(邦題は“死の国を越えて”)で、少し近いものを感じます。

もしかするとツェッペリンにインスパイアされて作った曲なのかもしれません。

ただ、歌詞の内容は違っていて、「天国への階段」はお金で幸せが買えると思っているある女性をテーマにした歌詞(諸説はあります。)であるのに対し、この『Beyond the Realms of Death』は


「世界はたくさんの罪と一緒にある 生きていくにはふさわしくないんだ」

「僕は初めからやり直すよ」

「永遠にどこまでも、いつまでも続くのかもしれないけれど」

「いつか 僕が勝つその日までね」


と、生まれ変わった後の世界に希望を託して、望んであの世に旅立つ人物をテーマにされたもの。

ロブの情感のこもった声でこの詞を歌われると、悲しくも、一種の尊ささえ感じるメッセージ性があります。


開始2分を越えたあたりから来る急展開で、本作の真骨頂を味わえるでしょう。


豊かなサウンドと緻密な構成のロックバラードを聴いてみてください。



それでは。