スリップノット『(Sic)』
今日はSlipknot『(Sic)』について。
アルバム「Slipknot」収録。
この曲は、アメリカのHR/HMバンドSlipknotが1999年に発表したオルタナティブ・メタルです。
美しいサイコスティックさを持つ曲。
非常に攻撃的な曲風なのですが、何度も鮮やかに変化するリズムパターンの為、アグレッシブであってもどこか理性的な構成になっています。
入りのジョーイ・ジョーディソン(Ds)にドラムが凄い。
ツーバスが鬼の連打。
同じく彼らの代表曲である「People=Shit」を連想させる過激なイントロです。
上半身のフィルも速く、それでいてタイト。
その気になれば濃淡のある音を出せるドラマーですが、本作ではわざとなのか、上半身の打音にあまり強弱がありません。
その為か、機械的でひんやりとした不気味さを演出するような音色になっています。
おそらく作品の恐怖感を表現する為に、あえてそういう叩き方にしたのでしょうが、ウィットに富んだ表現だと思います。
この曲で個性的なのはギターリフの少なさ。
とてもテクニカルなバンドですが、この『(Sic)』においては難しいプレイは抑えめで、本当に必要な音だけを組み合わせて生み出したようなリフ。
タイプは違いますが、たとえばレッド・ホット・チリペッパーズの「Dani California」のリフも、少ないコードを上手に使って味のあるリフを作る事に成功しています。
音が少なければ、その分ひとつひとつの音が浮き彫りになって、ある意味ではごまかしが効かない状態になるんですよね。
そこにあえて挑んで、その上でこのドロドロしながらもどこか品のある極上のリフを生み出したのですから、スリップノットが演奏技術の高さだけじゃなく、コンポージング力もいかに優れているかが伝わってきます。
もちろん、ギターが7弦ギターの最低音を使用している、というところもこのスリリングさの要因の1つでしょう。
コリィ・テイラー(Vo)の高低を極端につけたシャウトも含め、急に走り出したかと思えば、ゆっくり歩き出し、静かに抑えたかと思えば、いきなりハイテンションに爆音を鳴らす。
まるで意図的にリスナーに中毒症状を起こさせる為に作曲したような、キャッチー&ドラマティックな曲です。
タイトルの『(Sic)』の意味は「sick」(病的な、うんざりした、)の持つ全ての意味を混在させる意味
で、『』でくくったフレーズ。
タイトルの通り、病みつきになるメタルを聴いてみてください。
それでは。