音の日

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ロスト・ホライズン『Sworn In The Metal Wind』

今日はLost Horizon『Sworn In The Metal Wind』について。


アルバム「Awakening the World」収録。

この曲は、スウェーデンのパワーメタルバンドLost Horizonが2001年に発表したメロディックスピードメタルです。


まるで映画を早送りで視ているような気分になる曲。

濃密に組み立てられた音が、その密度を保ったまま強烈なスピード感でリスナーの耳に迫ってきます。


特に目立つのは、やはりダニエル・ハイメン(Vo)の多様過ぎる歌声。

hihiAのヘッドボイスをあっさり出してしまう事も驚きなのですが、中音域も非常に滑らかなの発声も研ぎ澄まされています。

音域の広さもさることながら、ハイトーン部分では鋭利なシャウト声、中音域部分ではオペラチックなベルカント声で歌うなど、場面によって声色が
違うのが面白い。

個人的には基本は、ロニー・ジェイムス・ディオのような、王道の技術を極限まで追及したような高音から低音まで太くてナチュラルな声で歌うボーカリストが好み。

しかしこういう、高音ではシャウト、低~中音ではベルカントという2面性を持つボーカルも、このレベルまでスキルを極めているなら音楽ファンとして尊敬します。

間違いなくパワーメタル界の最高峰の歌唱技術の持ち主だと思います。


楽曲の、緻密さと勢いを兼ね備えた構造も素晴らしい。

ギターリフがまるでスラッシュメタル並の疾走感を持っています。

元々メロディックスピードメタルというジャンル自体「スラッシュメタルのリズム、スピードにメロディックな旋律を乗せた音楽」を指すことが多いですが、本作はその典型。

激しさと品格が共存した構造はまさに「メロスピ/パワメタ界のマノウォー」。


そしてその激速リフにすら綺麗に合わせるリズム隊のプレイも渋い。

速さもあるのですがそれだけでは無く、音で跳ねるようなユニークなパーカッシブさでリズムに彩りを添えてくれています。

この手のメロディ重視のメタルは、得てしてメロディには気を使うのにリズムは大雑把、みたいな曲もありません。

しかしLost Horizonのこの曲は、旋律からビートまで細部まで神経を張り巡らせて構成されている、彼らの作品に対する真摯さのようなものが感じられます。

およそセンスだけでは不可能な、メンバーの音楽へのストイックさから生み出された曲なのだ、という事が実感できます。

メロディ、演奏、楽曲構成どの角度から聴いても聴き手にエキサイトを与えてくれる作品です。


「隙の無さ」で楽しませてくれる楽曲を聴いてみてください。



それでは。