hide with Spread Beaver『Rocket Dive』
今日はhide with Spread Beaver『Rocket Dive』を聴いた感想を。
この曲は、日本のロックバンドhide with Spread Beaverが1998年にリリースしたロックチューンです。
作詞・曲共にhide(Vo.Gt)。
挑戦心と希望に満ち溢れた曲。
この曲を思いついたきっかけは、このバンドのリーダーのhideが、テレビでサッカーワールドカップのアジア予選を見ていて味わった「感動」とのこと。
そしてその曲を、XJAPAN解散直後(約1か月後)にXJAPAN解散のショックで落ち込むファン達へ向けて
「クヨクヨせずに前を向いてロケットのように飛び出していこうぜ」
という意味を込めて発表したそうです。
hideはXJAPAN在籍時にはダークでシリアス曲も作曲していたのに対し、本作は全体的に明るくポップ。
ハーモニクス、ドロップDチューニングされたギターによるリフなどかっこいいアレンジも印象的です。
またイントロでは、KISSの名曲「ROCKET RIDE」のイントロがオマージュされています。
これはhideの憧れのギタリストがエース・フレーリーだったからだったそう。
KISSにインスパイアされた楽曲はこの世に数あれど、このオマージュは秀逸だと思います。
詞は情熱的なようで親近感もあるもの。
「だいたいおんなじ毎日 そいで まあまあ それなり OK」
「だけど、なんとなく空見上げちゃうんでしょ?」
この詞を読んで、「これ自分のことだ…」と感じた人は多いのではないでしょうか。
「別に今の日常が大嫌いなわけじゃない。けれど何かが物足りない…。」という感覚は、きっと現代では多くの人が胸に抱いている想い。
一見陽気な文体なようで、とても鋭いフレーズだと思います。
「何年待ってみても何も降って来やしないんだろう? 君の胸のミサイル 抱えて行こう」
無邪気で、それでいて熱いメッセージ。
Xが解散した直後、彼自身もきっと壮絶な葛藤を抱えていて、その彼が言うからこそこの歌詞にも重みがあるのではないでしょうか。
明るい曲ですがただ明るいだけじゃなく、辛い事も困難な事も体験した人の深みのようなものがこの詞には込められていると思います。
ユニバーサルビクターのhideサイトで行われた曲の人気投票で本作は1位を獲得したましたが、それは彼の生き様を知っているファンには、この曲の真意が確かに伝わっているからなのかもしれませんね。
ちなみにトリビュートアルバム「hide TRIBUTE SPIRITS」において、BOØWYのギタリスト布袋寅泰がこの曲をカバーしています。
そのバージョンでは亡きhideに向けたと思われるあるメッセージが歌詞に追加されているので、興味のある人は是非聴いてみてください。
それでは。