音の日

好きな音楽、その他趣味のこと

ブラインド・ガーディアン『Lost in the Twilight Hall』

今日はBlind Guardian『Lost in the Twilight Hall』について。


アルバム「Tales from the Twilight World」収録。

この曲は、ドイツのHR/HMバンドBlind Guardianが1990年に発表したパワーメタルです。


優雅な硬派さが魅力な曲。

イントロでのスピーディなカッティングなど、テクニカルな要素もあるのですが、後期のブラインド・ガーディアンほど緻密でもなく、だからのこその若さ、直球ぶりを楽しめる曲風になっています。

比較的シンプルなプレイなのに、トーマス ・"トーメン"・ スタッシュ(Ds)の刻むビートが心地良い。

タルドラミングは、もちろん変拍子やパラディドルを織り込むかっこ良さもありますが、こういうパッション重視なパワープレイのドラミングは、メタルの元祖的渋さを放ちますよね。

ゴリ押しがメタルの全てではありませんが、やっぱりかっこ良いです。


そして本作の主菜、ボーカル。

ハンズィ・キアシュ(Vo)の安定感のある歌声もさることながら、本作ではなんとメタル界の大御所、カイ・ハンセンがゲストボーカルとして出演。

まぁゲストボーカルと言っても、あまり長時間歌っているわけではないので、実質コーラス状態なのですが、ハンズィの太く男性的な歌声に、あえてカイの魔女声(昔のアニメに出てくる、魔女が高笑いした時のような声)を組み合わせる所が面白い。

ハンズィの歌唱も力み気味の、ハスキーでやや歪みがかかった歌声なのですが、カイの声はその比じゃない程の金切り声。

お互いに無い所を補いあって、最強の盾と矛が揃ったような無敵感が演出されています。

有名ボーカルのコラボと言うと、そのコンセプト自体は珍しくは無いのですが、相性が良い組み合わせでやると、互いの魅力を倍々式に増加させます。

よく「科学と芸術の違いは?」の問いの答えとして「科学は1+1は2だが、芸術は1+1が3倍にも4倍にもなる」という返しがありますが、本作のデュエットはその典型。

アーティスティックな「共鳴」ではないでしょうか。

その後のカイのコーラスからドラムとギターが怒濤に捲し立てたりと、その流れもgood。

デュエットからの余韻が冷めない内に、追加でリスナーに胸に熱を与えるように工夫された展開になっています。

サプライズ感、楽曲構造、そして山火事のような火力。

隙が無い曲です。


カイ・ハンセンの存在感と、メンバー自身のパンチ力を楽しんでください。



それでは。