ライオット『Flight of the Warrior』
今日はRiot『Flight of the Warrior』について。
アルバム「Thundersteel 」収録。
この曲は、アメリカのHR/HMバンドRiotが1988年に発表したスピードメタルです。
とてもムーディーなメタル曲。
歌メロが一見明るいようで、でもよく聴くとどこか切なく刹那的なボーカルメロディで聴かせる作風になっています。
歌い手はトニー・ムーア。
ライオットといえば、たびたびボーカルが代わる事で話題になるバンドですが、本作から感じられる濃厚なエモーションは、彼の要素が大きい。
かなり高いキーのパートもあるのに、張り叫ぶのではなく、あくまで滑らかにベルカントの響きでリスナーに丁寧に感情を届けてくれます。
機械的なまでに正確なのに、熱が伝わってくるイメージでしょうか。
たしか若い頃はオペラ歌手を真剣に目指していたらしいですが、中音から高音への移動がとてもスムーズで、安心しながら聴いていられるバランス感覚を感じる歌声です。
もともとテクニックはあった歌手のようですが、ライオットの代表曲のひとつ「Thundersteel」を歌いあげる為に徹底的にハイトーンの発声を鍛えた、との事。
生来の幅広い声域に溺れる事なく、あくまで自前の努力で整った歌唱を奏でる事にこだわるところに、トニーのシンガーとしての威厳を感じます。
また、楽曲自体のサウンドも見事。
実は当時としては世界最新鋭の機材を使ってレコーディングしたそうですが、最新鋭過ぎて細かな操作の仕方が誰も解らず、想定よりも軽い音で仕上がってしまった事がトニーの口から語られています。 笑
とは言え、この手のメロディ重視のスピードメタル曲のサウンドとしては、充分すぎるほどパワーのある音。
重すぎず軽すぎずの心地よい音色で、輝く美旋律の曲をバックアップしてくれています。
このサウンドによってマーク・リアリ(Gt)の紡ぐ疾走リフ&ソロの迫力が更に倍加。
妥協の無いクオリティの高さが本作の魅力です。
アメリカ発なのに、ジャーマンにも通じるメロディックスピードメタルを聴いてみてください。
それでは。