音の日

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ラウドネス『S.D.I』

今日はLOUDNESS『S.D.I』について。


アルバム「HURRICANE EYES」(ハリケーンアイズ)収録。


この曲は、日本のHR/HMバンドLOUDNESSが1987年に発表した正統派へヴィメタルです。


二井原実(Vo)の歌声が暴れ狂う曲。

開始3:04付近での、ロングトーンの高音シャウトは、まるでメタルボーカルの魂がそのまま声になったようです。

この深くかかったビブラートを聴いていると、そのリズムに合わせてこちらの鼓膜が揺さぶられていくような錯覚に陥ります。

本作収録アルバムをリリースしてから数年後、二井原実は喉を痛めてしまい、一時的に高音域が出せなくなってしまいました。

ただしその後、リップロールを中心としたボイストレーニングに没頭し、若い頃と同等以上の高音域を復活させ、現在では完全にハイトーンボーカルとしてのパワーを取り戻す事に成功。

そのボイストレーニングのおかげか、純粋な歌唱力では現在の方が凄いと思うのですが、この若い頃ならではの「力で押し切る!」的な声が荒削りな魅力を醸し出しています。

また中間部での、デスボイスに近い低音シャウトなどの試みも面白い。

以前彼はブログで「デスボイスが苦手」という事を語っていましたが、これだけの低音で叫べるなら、強いデス声が出そうな気もしますよね。

ラウドネスはそういう毛色のバンドでは無いにしろ、低音デスボイスと高音シャウトを使い分ける二井原実の歌も聴いてみたいです。


そして粋なのが、山下昌良(Ba)のベースプレイ。

スピードプレイも凄いですが、音の粒立ちが素晴らしい。

特にデビュー当時は、かなりのテクニック路線のベーシストだった印象ですが、「複雑な音階が弾ける」という事以前に、サウンド自体の骨太さが秀逸なんですよね。

並みのベーシストが同じフレーズを弾いたとしてもこの重量感は出せないでしょう。

Bメロでの小回りの効いたフレーズでのプレイは本作の隠れたハイライト。

この曲は、ラウドネス名物の高崎晃(Gt)のボス・ハンド(両手)タッピング、イントロでの樋口宗孝(Ds)の大砲ドラミングなど聴きどころが多い曲。

ですが、この曲は山下昌良(Ba)の縁の下の力持ち感が光る作品だと思います。

柴田直人のワイルドなゴリゴリサウンド、木本高伸の丁寧な超正統派プレイも良いですが、本作は山下昌良のへヴィな存在感のあるサウンドが、いかにラウドネスに貢献しているかが解る作品です。


多彩な声色と、多彩な演奏テクニックのWパンチのメタルを聴いてみてください。



それでは