音の日

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ウィズ・カリファ『See You Again』

今日はWiz Khalifa『See You Again』について。


この曲は、アメリカのラッパーWiz Khalifaが2015年にリリースしたポップバラードです。


ヴィン・ディーゼルポール・ウォーカージョーダナ・ブリュースターミシェル・ロドリゲスが出演している事でも知られる映画「ワイルド・スピード SKY MISSION」の主題歌としても有名。


客演のチャーリー・プース(Vo)の歌声が映える曲。

メーガン・トレーナーとの共演で話題になった「マービン・ゲイ」でもお馴染みの歌手ですが、非常に濃密に感情が込められた繊細なクリスタルボイスで歌い上げられています。

透明感の中に少しだけ憂いが混ざった発声は 、一時期日本で流行った「K」などの韓流歌手に近いイメージ。

そしてその素朴な歌声と好対称を成しているのがウィズ・カリファのラップ。

ソロの時は大麻を歌詞のテーマにした作品が多い為、母国のアメリカでも賛否あるアーティストですが、やはりラップ自体のかっこ良さは本物。

男らしいのですが、男くさくは無いストレートさ。

チャーリーの声が女性的というか中性的な為、きれいな好対称を成していると思います。


そして重大なのは、そのチャーリーの書いた歌詞。

「おまえが居なくて長い1日だった 友よ」
「また逢った時に色々、全部話そう」

「おまえと知りあってから 遠いところまで来たんだ」
「また逢った時に色々、全部話そう」

「また逢った時に」

有名な話ではありますが、本作のタイアップ先の映画「ワイルド・スピード SKY MISSION」の撮影が終わらない内に、主人公のブライアン・オコナー役である「ポール・ウォーカー」が亡くなってしまう、という不幸がありました。

寄付活動にも熱心だったポールは、チャリティーイベントの帰りに、友人が運転する車に同乗して、その車の交通事故で命を落としてしまったそうです。

そして、それと時期を同じくして、ボーカルのチャーリーも同じような事故で友人を1人亡くしていたんですよね。

「僕も友人を亡くした時凄くショックだった。ポールの事故の話を聴いた時も胸が傷んだ。ポールと自分の友人の事を想いながらピアノでコードを弾いたら、自然に歌詞が出てきたんだ」。

自分の友人とポールの境遇を重ねて、他人事とは思えなかったよう。

そのためかは解りませんがポールの歌声には、悲しみの中にも、何かに祈るような、あるいは願うような芯の温かい想いが込められているように感じます。

自分自身の悲しみと、相手への慈しみ。その両方が込められているというか。

日本の新元号である“令和”の引用元となった歌である「梅花の歌」が収録されている事でも話題になった古典文学「万葉集」。

その中に、人の死を悼む歌として「晩歌」というジャンルがありますが、本作もそれと同じような、亡き人に対する愛情に溢れたもの。

現代音楽の主流であるラブソングや、社会派ポップスとは系統が違う尊さがある曲ではないでしょうか。


アメリカの晩歌を聴いてみてください。




それでは。