19『あの紙ヒコーキ くもり空わって』
今日は19『あの紙ヒコーキ くもり空わって』を聴いた感想を。
この曲は、日本のフォークデュオ19が1999年にリリースしたポップバラードです。
いわゆる「青春系バラード」の王道曲。
今となってはメジャーな曲ですが、意外にも発売前の予定では「B面」収録。
しかし1999年にTBSの「1999・春」キャンペーン・ソングに起用された後、
「この曲は誰の曲なんですか?」
という問い合わせが殺到した事から、急遽A面に変更されたようです。
元メンバーの326(本名.中村満)の歌詞が、優しく突き刺さる曲。
「今では空が笑わないからボクは笑い方を 忘れてしまったよ キミはつぶやき そして笑う」
「 さあ顔上げて?」
「夢を描いた テストの裏、 紙ヒコーキ作って明日に投げるよ。 」
夢を絵に書いた紙ひこうきが空を舞っている姿を、「将来、夢を叶えた自分の姿」に重ねた、とてもロマンチックな比喩。
聴いていると情景がそのまま浮かんでくるような、鮮やかな詞です。
この詞が他の青春系ソングと少し違うのは、一般のそれには少しやんちゃな要素が混ざりがちなのに対して、
「今では空が笑わないからボクは笑い方を 忘れてしまったよ」
とセンチメンタルな言葉も使われていること。
空とは文字通り「空想の世界」と事でしょうか。
今はイメージの世界ですら、自分の笑顔が描けない。
すると、いつの間にか現実の世界ですら笑えなくなってしまたった。
それならせめて、将来の自分が幸せになっているイメージを紙ひこうきに描いて、空に飛ばせる。
同じフォークグループでも、例えば「ゆず」とは少し質が違う哀愁が漂っている気がします。
夢を叶えた「未来」。
空が笑わない「今」。
希望と寂しさが混在した、明るく切ないバラードではないでしょうか。
懐かしく温かく、少し儚げな曲を聴いてみてください。
それでは。