音の日

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AI『Story』

今日はAI『Story』について。


この曲は、日本の女性歌手AIが2005年にリリースしたポップバラードです。

本作の英語verはウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ長編作品、映画「ベイマックス」のEDテーマとしても有名です。


とてもしっとりとしたバラード曲。

一見すればオーソドックスなJ-POPですが、実はAIは、この曲のリリース以前は、どちらかというとHipHopが主体のファンキーなミュージシャン。

ある意味この曲の発表は、冒険だったわけですね。

しかしその目論みは当たり、各種メディアに取り沙汰される程の大ヒット。

日本レコード協会から「着うた部門」で3ミリオンまで授与される事になります。


曲が良いだけじゃなく彼女自身も非常に歌唱力のある歌手ですが、特に低音域が美しい。

女性歌手でありながら、高音だけじゃなく低い声まで使いこなす様は、日本屈指の実力派シンガーMISIA小柳ゆきを彷彿とさせます。

その歌唱力、表現力は数々の女性曲をカバーしたあの徳永英明から
「(Storyに)挑戦したが、この曲を歌いこなせなかった」、「メッセージ性の強いこの曲を完璧に歌いこなせるのはAIだけである」
と評される程。

AIが、名実揃った重厚なシンガーであることを感じさせるエピソードです。


力強い歌声とは裏腹に、歌詞の世界観はセンチメンタル。

「今 私が笑えるのは 一緒に泣いてくれた君がいたから」

「孤独じゃ重い扉も 共に立ち上がればまた動き始める」

AI本人いわく
「今日という日、この瞬間を大事にしないと、いつでも話ができると思ってもできなくなるかもしれない。」
という想いを綴った詞。

“君”が自分を励ましたわけでも慰めたわけでもなく「一緒に泣いてくれた」というのが温かいですよね。

精神的に遠い距離から応援するのではなく、ただ隣りで同じ気持ちになって寄り添ってくれる。

「そんな人と一緒にいられる、この時を大切にしよう」という想いが込められた歌声は、聴き手を登場人物と同じ温かさで包み込んでくれます。

AI自身の技術、曲に内包される愛の両方があって成り立つ曲ではないでしょうか。


過去や未来では無く「今」の大切さを唄ったバラードを聴いてみてください。



それでは。