音の日

好きな音楽、その他趣味のこと

Do As Infinity『深い森』

今日はDo As Infinity『深い森』を聴いた感想を。


この曲は、日本の音楽ユニットDo As Infinityが2001年にリリースしたロックバラードです。


山口勝平ゆきのさつき辻谷耕史が声優として出演している事でも知られるアニメ「犬夜叉」のEDテーマとしても有名。

伴都美子(Vo)の詞が、とても示唆に富んだ曲。

「深い深い森の奧に 今もきっと 置きざりにした心 隱してるよ 」
「探すほどの力もなく 疲れ果てた 人々は永遠の 闇に消える」

ここでの「置きざりにした心」の意味は名言されていませんが、だからこそそれぞれで「他人に伝えられなかった想い」「目指すべき理想」と自由に解釈する事ができます。

誰の心にも本来目を背けてはいけないことがあるのでしょうが、日々の激流の中でどうしても「置きざり」にして、いつしか忘れてしまうんですよね。

アニメのストーリーで、登場人物の桔梗が主人公の犬夜叉を森の中に封印する、という流れがあるのでそれを組んだのかもしれませんが、物語の内容を通して実際の社会の人々の心境と、それに伴う哀しみを表現した上手い歌詞だと思います。


曲の流れも、歌詞と合うダークなもの。

にもAメロでの歌メロは落ち着いていて理性的なのに、サビでは一気に悲痛な感情を吐き出します。

どことなく漂う綺麗な冷たさと、サビでのどろりとした熱さのコントラストが楽しめる流れです。

転調パートがその落差をより極端にしているところがポイント。

作曲者のD・A・Iこと長尾大(Gt)が長年温めて満を持して発表した曲だそうですが、それに相応しい成熟度を誇る曲ではないでしょうか。


少年アニメのタイアップ曲とは思えないほどの鋭さをもつ歌を聴いてみてください。



それでは。





アーチ・エネミー『Enemy Within』

今日はArch Enemy『Enemy Within』について。


アルバム「Wages of Sin」収録。

この曲は、スウェーデンデスメタルバンドArch Enemyが2001年に発表したメロディック・デスメタルです。


アンジェラ・ゴソウ(Vo)のデス声が印象深い曲。

デスメタル界では当時異例の女性ボーカルとしても評判な彼女ですが、本作での彼女のソレは特にキレています。

荒々しくもどこか品のある声は、彼女自身がリスペクトしているジェフ・ウォーカーを彷彿とさせます。

普通デスメタルとはバックのギターリフや、ドラムのブラストビートをメインで聴かせてボーカルは「リズム」に徹する事が多いもの。

しかしこの『Enemy Within』はこれでもかというほど歌声が前に出ている、珍しいタイプのデス曲です。

機械的なまでに正確なリズム感もクール。


楽曲的にも、メロディがかなり美旋律。

ラードのようにしっとりときたキーボードのイントロから、北欧メタル的なクラシカルギターリフに展開する様は圧巻。

さながらブルータル成分の強いソナタ・アークティカのよう。

展開、激しさ、メロディアスさ、そしてかっこいい歌声のバランスが魅力の曲です。


聴き手に畏怖を感じさせながらもキャッチーなメタルを聴いてみてください。



それでは。






GAO『サヨナラ』

今日はGAO『サヨナラ』について。


この曲は、日本のシンガー・ソングライターGAOが1992年にリリースしたポップバラードです。


高嶋政宏鈴木京香国生さゆりが出演した事でも知られるドラマ「素敵にダマして!」の主題歌としても有名。


とにかく彼女自身の、中性的な歌声が映えるバラード曲。

日本の音楽業界における「ユニセックス系」のはしりと言えるかもしれません。

使用されている音域も、おそらく意図的だと思うのですが、ちょうど男性曲とも女性曲ともとれるキーの為、ますます「性別」を感じさせない声になっています。

非常に演奏や歌声に厳しい事で知られるXjapanのリーダーYOSHIKIも、自身のバンドのボーカルTOSHIの声は滅多に褒めないにも関わらず、彼女の声は「良い」と誉めたそう。

個性とスキルを兼ね備えた稀有なボーカリストではないでしょうか。


楽曲自体も、彼女自身の声のインパクトに埋もれがちですがかなり魅力的。

特に音色が目立っていて、当時流行していたサイケデリック・ミュージックの要素を踏まえながら、すっきりとした爽快感が漂っています。

ビートはあまり起伏がなく特別に盛り上がるところも下がるところもないのですが、その方がこの曲の

「何も失くさないと信じていた あの頃に~遠くへ~~もっと遠くへ~~もっと遠くへ~帰りたい」


の歌詞のような、純粋な郷愁の念が引きたつ効果が。

それが作曲者の階一喜の狙いだったのか、あるいは単に「ボーカルが特殊だから、バックは余計なことを、しない方が良い」と判断したからかもしれませんが、その雑味の無い清廉さがこの曲の持ち味だと思います。


ちなみに柴咲コウが、カバーアルバム「続こううたう」において本作をカバーしています。

とても情感的なバージョンになっているので、興味のある人は聴いてみてください。



それでは。





Dir en Grey『人間を被る』

今日はDir en Grey『人間を被る』を聴いた感想を。


この曲は、日本のロックバンドDir en Greyが2018年にリリースしたエクスペリメンタル・メタルです。


タイトルの『人間を被る』の意味は不明ですが、ファンの一部での解釈は「“普通”の人になりすますこと」。


「バラバラの傷を縫い合わせ 出来上がった憎悪の塊」
「最低最悪の出来だろ? それは誰?」



世間では周囲と同じ考えを持てない人は、仲間外れにされて、まともに人間扱いすらされない。

それなら例え本当は周りと違う価値観を持っていても、一般的な人間のように振る舞おう。

そうして出来上がった「普通な自分」の仮面を「最低最悪な出来」と表現している、と見られる歌詞(仮説)。

前作の「詩踏み」に通じるような「“自分”を持つ事の意味」を問いかけるようなメッセージです。


「誰が正しいとかどうでもいい」

「Blessing to lose heart(失望を受け入れろ)」


変わり者の自分を人間すら扱いしない社会を愛せないけれど、だからと言って自分のような少数派は、多数派の流れに逆らう力は無い。

だったら戦うのではなく、「多数派と少数派、どちらが正しいのか」など悩む事をやめてしまおう。

あるがままに受け入れるしか無い。


一見諦めのようにも見えますが、「背伸びせず、今できる事の中から幸せになる方法を考えよう」と、いう強い想いが込められている、ともとれる詞ではないでしょうか。

京が先日のインタビューで「世間で主流とされるものに対する反発はありますが?」という質問に対し、

「昔はあったかもしれないけど、今はもうそれすらもどうでもいい」

と答えていましたが、今まで痛みを歌ってきた彼はそれを通りこして「悟り」の境地に達し始めているのかもしれませんね。


歌詞が変化し始めているように、曲調も今までのディルとは違ってストレートです。

今回は複雑さではなく「無駄を削ぎ落とす」事にこだわったそうですが、普段から彼らの曲を聴いているリスナーにとってはむしろ新鮮に響くのではないでしょうか。

ミキシング担当がONE OK ROCKやBring Me the Horizonなどの楽曲を手掛けるダン・ランカスターなので音質面も言うことなし。

深みと鋭さを兼ね備えた曲です。


従来のDir en Greyとは同じようで違う曲を聴いてみてください。



それでは。






マイケル・シェンカー・グループ『ARMED AND READY』

今日はMICHAEL SCHENKER GROUP 『ARMED AND READY』について。


アルバム「The Michael Schenker Group」収録。

この曲は、ドイツのHR/HMバンドMICHAEL SCHENKER GROUP が1980年に発表したハードロックです。


とても洗練された曲。

40年近く前の曲、という事を踏まえても特に新しさは無いしテクニカルでも無いザ・シンプルな曲なのですが、何故か一度聴くと忘れられません。

ファンの間でも
「すぐに気に入った、というより時間がたってから好きになった」
という声が多いもよう。

俗にいう「スルメソング」的なかっこよさがあるロックです。


けれど、シンプルと言ってもそこはシェンカー曲。

カッティング、ミュート、そしてソロでの高速でのオルタネイト・ピッキング

王道ハードロックに必要なギタースキルが余すことなく詰まっています。

HRの練習曲としてもオススメです。


個人的に好きなのはそのシェンカーが奏でるザクザクしたリフに対し、歌メロはポップなところ。

80年代ハードロックらしく基本的なBPMがそこまで速すぎないので、良い意味のキャッチーさ、メロディアスさもキープされてるんですよね。


ロック界は最近どんどんテクニカル化しているイメージですが、手先の器用さだけがロックじゃない、という事を再認識させてくれる曲です。


ちなみにスタジオ版でのドラムはサイモン・フィリップスですが、Live版ではコージー・パウエルが叩いている音源もあります。

前者は変拍子を多用した細やかさ重視、後者はパワフルな音圧でのドコドコとしたドラミングという迫力重視でのプレイになっていますので、趣味に合わせてわけてみてください。



それでは。





LOVE PSYCHEDELICO『Last Smile』

今日はLOVE PSYCHEDELICO『Last Smile』(ラスト スマイル)について。

この曲は、日本の音楽ユニットLOVE PSYCHEDELICOが2000年にリリースしたロックバラードです。


アンニュイ系バラードの最高峰。

基本はロックサウンドなのですが、その音と切なげなアコギ、帰国子女のボーカルKUMIの「デリコ節」とも呼ばれる巻き舌気味の、気だるげな歌声が好対称を成しています。


ボーカルのリズムは、ほぼラップのもの。

普通だったらノリの良い、明るいリズムのメロディのハズなんですが、不思議とそれが楽曲の哀しさを引き立てる結果に。

サビにおけるほぼ同じ流れを繰り返す旋律は、聴き手に暗示をかけるように心の芯に浸透していきます。


歌詞もファンの間でも「どういう意味なんだろう?」と言われるほど抽象的で解りにくいところがあるのですが、

「いつかは旅立ちたくとも」
「君は向こう岸でlast smile」

と、内容を「映像」のように脳内で再生してみると悲痛で情感的な気分になれるように書かれています。

この良い意味の「解りにくさ」、遠回しの表現が生み出す神秘性が本作の真骨頂です。


「あまり解りやすいものより、むしろ重いものにこそ芸術性を感じる」という人にオススメの曲ですね。



それでは。






AKINO from bless4『創聖のアクエリオン』

今日はAKINO from bless4『創聖のアクエリオン』を聴いた感想を。


この曲は、日本の音楽ユニットAKINO from bless4が2005年にリリースしたポップロックです。

「君を知ったその日から」
「僕の地獄に音楽は絶えない」

印象深いフレーズが有名な曲。

iTunes Storeにおける音楽DLランキングにおいて、これまで1位を保っていた宇多田ヒカルの「Beautiful World」を抜いたばかりか、しかもその後10月中「5週連続で1位」を記録するなど、とにかく大ヒットしました。


作曲者は「リング・オブ・ガンダム」、「紅の豚」「コードギアス 亡国のアキト」に楽曲提供した事でも知られるアニメソング界の大御所、菅野よう子

その為か音楽的にもハイクオリティ。

A~Bメロにかけてはバックの音が複雑。

「キャッチーさ」に念頭を置きがちなアニメソングとしては珍しい構造です。

けれど、サビに入ると豹変したようにシンプルな旋律に。

リズム・ギターもボーカルにカチッと合わせるようでエキサイティング。

さりげに全体的にベースとドラムもプログレのようなフレーズも奏でていて粋。

こういう様々なジャンルが織り混ざったような曲を作れるのはジャズ、クラシック、ニューエイジ曲も作曲する菅野よう子の強さですよね。


凄いのは本作のボーカルのAKINO(Vo)は当時まだ15歳の少女だったということ。

アメリカ生まれの沖縄育ちだそうですが、まだ幼いにも関わらず、声域がメチャメチャに広く、総合的な歌唱力も高い事から菅野よう子から

「底が見えない」「(彼女の才能は)レコードに収まらない」

と評価されるほどの秀才なんですよね。

レコーディング時も本人が納得するまで12時間以上録り直し続けるなど、歌に対する情熱も本物。

本作のヒットは決して偶発的な事ではなく、素晴らしい作り手と演奏者が絡むことで生まれた必然のモノだった、という事だと思います。


成熟した楽曲と若い才能溢れる歌声が融け合った曲を聴いてみてください。



それでは。