テイラー・スウィフト『You Need to Calm Down』
今日はTaylor Swift『You Need to Calm Down』について。
この曲は、アメリカのシンガー・ソングライターTaylor Swiftが2019年にリリースしたポップバラードです。
棘のある歌詞とフランクな曲調のギャップが素晴らしい曲。
歌詞は実に痛烈。
「たまには落ち着いて一呼吸するのも大事よ そして平和をとり戻すの」
「あなたが嫌いな全ての人について叫びたくなるような衝動をコントロールするの」
風刺と、公平への愛がないまぜになったような内容で、いわゆる社会派メッセージソングになっています。
元々、以前テイラー自身が起こした、「同性愛者の平等」を促す訴えが、下院議会を通ったことを受け、「この勢いのまま上院にも通せるかもしれない」という目論見のもとに書いた歌詞だそうですが、世間からは賛否くると予想してて、それでもこういう歌詞を書けるパワーが凄い。
まぁ実際同じ歌詞の中で、同性愛者を差別する人達を批判したメッセージだけではなく、ネット上で自分の悪口を書く人をも共に非難したメッセージも綴られている為、
「同性愛者差別の問題と、ネット上の自分への中傷の事案を一緒くたにしているのは、不謹慎ではないか」
という批判が届いているようですが、色んな意味でテイラーの正直さが伝わってくる曲。
レディー・ガガの「Born This Way」といい、こういうデリケートなテーマの曲を遠慮なく出せるのは、アメリカアーティストのパワーですよね。
よく話題になる歌詞もさることながら、個人的に好きなのは曲。
ポップスをベースに、ヒップホップとR&Bを巧みに織り込んでいて、現在のテイラーの十八番というべき作風になっています。
この流れ自体、以前の「レピュテーション
」から始まったイメージがありますが、その時に感じた「新しい事に対する挑戦心」よりも、すっかり「使いこなした」熟練感が強調されている所が印象的。
A~Bメロでは、シンセベースを基盤にリスナーを引き寄せ、ノせる。
そしてサビでは一気にメロディアス路線に様変わり。
変化はっきりしていますが、つなぎがナチュラルな為、あざとさや不自然な感じがしないところが良い。
聴き手側からすれば解りにくい事ですが、抑揚がある展開を、わざとらしさなく作る、というのは作り手側からすれば難しい部分。
歌詞にはスパイスが効いているのに、曲は明るくそれでいてスムーズ。
まだ20代のアーティストの作品とは思えない、二律背反の配分が整った楽曲です。
辛口の歌詞と、マイルドな楽曲のコントラストを楽しんでください。
それでは。