トリヴィアム『Ignition』
今日はTrivium『Ignition』について。
アルバム「The Crusade」収録。
この曲は、アメリカのHR/HMバンド Triviumが2006年に発表したメタルコアです。
Aメロからサビにかけての対比がとてもかっこいい曲。
出だしのギターリフが非常に鋭く、ここだけ聴くとキレキレのスラッシュメタル。
ですがサビに入ると、メロディだけ聴けばバラード曲のような艶やかだ寂しげな旋律に様変わりします。
こういう攻撃的リフからサビの叙情的メロディの流れで聴かせる、という展開は、日本出身のビッグバンドDir en Greyを連想。
まぁそういう「荒々しいメロディ→美旋律」的な流れ自体は、古くは80年代アイアン・メイデンの「撃墜王の孤独」など先例はあったのですが、だからこそ「伝統的だからこそ強力」なかっこ良さが味わえるメタルになっているのではないでしょうか。
この曲に限らずTriviumの楽曲全般に言える事ですが、「モダン」の魅力が詰まっています。
さりげに良い仕事をしているのがサビの裏で流れる静かなアコースティックギターとキーボード。
マシュー・キイチ・ヒーフィー(Vo、Gt)の太くもなめらかな歌声とジャストフィットしています。
そしてその後はコリー・ビューリー(Gt)のテクニックと圧力を兼ね備えた名ギターソロ。
メタルコアでも王道メタルでも、やっぱりクールなソロは欲しいですよね。
スラッシュ、コア、バラードのおいしい所だけを切り取って組み合わせたような曲です。
鋭利でファンタジックな曲を聴いてみてください。
それでは。
浜崎あゆみ『evolution』
今日は浜崎あゆみ『evolution』について。
この曲は日本の女性歌手、浜崎あゆみが2001年にリリースしたポップロックです。
沢尻エリカ、大森南朋、水原希子が出演した事でも知られるドラマ「ヘルタースケルター」の主題歌としても有名。
名バラードシンガーとして名を馳せた浜崎あゆみとしては珍しい、ハイスパートなデジロックです。
絶望と希望が入り交じった歌詞が印象的。
「こんな時代に生まれついたよ だけど君に出会えたよ」
「こんな地球に生まれついたよ だから君に出会えたよ」
様々な社会問題を抱えた現在、理不尽な体験をしてつい世の中を恨みたくもなる。
浜崎あゆみが語る「こんな時代」とは具体的にどんな時代の事なのかは名言されていませんが、流れから察するにおそらくはネガティブなフレーズですよね。
テロ事件のように世界的な意味を表しているのか、ブラック労働のような個々の意味を表しているのか解りませんが、必ずしも現代は明るい時代ではないのかもしれません。
けれどこの時代に生まれたからこそ、出逢えた人もいる。
今生まれたからこそ出逢えた人がいて、そして辛い今の時代だからこそ、その人の存在の尊さが強い時代でもある。
形容詞として他にも「地球」など壮麗な言葉が多用された歌詞なので、一見するとまるで違う世界の話のように感じてしまいそうな詞ですが、込められてるメッセージは「苦しみの中だからこそ、感じられる幸せもある」というリアルなもの。
ある意味とても「身近な」歌なのではないでしょうか。
聴き手がそれぞれの「時代」をイメージしながら聴くと、この曲の歌詞が胸の深くに突き刺さる曲だと思います。
それでは。
B'z『裸足の女神』
今日はB'z『裸足の女神』を聴いた感想を。
この曲は、日本のロックユニットB'zが1993年にリリースしたポップバラードです。
ミリオン達成曲。
この曲でB'zは、当時の最高記録であるピンク・レディーの5作連続ミリオンの記録を破り、「6作連続ミリオンヒット」を達成しました。
リフの動き方はハードロック的なのですが、メロディが優しく、音にも透明感があります。
その為かB'zの楽曲の中でも女性人気が高いようです。
歌詞がとても良い曲。
「はかないだけの強がりに見えるならいっそだれかに抱きつきゃいい」
「 情けないヤジばかり飛ばすだけの ヒマジンなんかよりよっぽどいいから」
変に虚勢をはらず、とりすまさない自然体のあなたが見たい、というメッセージが表現されています。
タイトルの『裸足の女神』とは「飾らないあなた」の比喩のようですね。(“裸“だと色々まずいから裸足なのでしょうか。笑)
社会で生きる中でなんにも飾らない、というのは実際難しいのかもしれませんが、
「DON'T YOU CRY MY 裸足の女神よ ひとりで泣かないでもいいよ」
せめて愛する人の前では、我慢ばかりせず言いたい事も言おう、泣きたい時は素直に泣こう、語りかけてくれる。
恋愛ソングとしてだけじゃなく、人には言えない自分の引け目を持つ人全てに向けた応援ソング、と受け取る事もできる歌です。
「OH MY裸足の女神よ キズをかくさないでいいよ 」
「痛みを知るまなざしは 深く澄んでもう萎れることはない」
人知れず多くの悲しみを乗り越えてきたあなたの心は、誰かに簡単に折られたりはしない。
聴き手が自分でも気づいていない、秘められた強さに気付かせてくれる曲ではないでしょうか。
ちなみにコーラスに、J-Rockクイーン大黒摩季が参加しています。
日本の男性ロックスターとと女性ロックスターのコラボという意味でも楽しめる楽曲になっているので、是非聴いてみてください。
それでは。
アンドリュー.W.K『Party Hard』
アンドリュー.W.K『Party Hard』について。
アルバム「I Get Wet(邦題.パーティ・一直線!)」収録。
この曲はアメリカのHR/HMバンド、アンドリュー.W.Kが2001年に発表したハードロックです。
タイトルの通りめちゃめちゃに明るく、パーティに似合いすぎる曲。
アンドリュー(Vo)いわく「アメリカン」を意識して作曲したとの事。
まぁアメリカ出身のミュージシャンがアメリカンを意識する、というのもユニークですが。笑
けれど言うだけあって、確かにこの無邪気さ朗らかさは「ザ・アメリカ」。
ダンサブルなリズムにストレートな歌メロは「自由の国」的な佇まいを感じさせてくれます。
個人的にかっこいいと思うのが、明るいのに音色はゴリゴリにヘヴィなところ。
ギターを何重にも重ねて録ったようで、サウンドが文字通り重厚です。
若者感満載なノリでも本作は音が力強く、ズッシリとした威厳のようなものがある為、リスナーの心の深部に訴えるエネルギーがあると思います。
ハードロックとも、「ラウドなポップ」とも言える曲かもしれませんね。
モーターヘッドが好きな人はハマるのではないでしょうか。彼らはブリティッシュですが。
さりげにキーボードのキラキラした音が存在感を発揮しているところも粋。
陽気であっても、うるさくはない不思議なロックを聴いてみてください。
それでは。
L'Arc~en~Ciel『NEO UNIVERSE』
今日はL'Arc~en~Ciel『NEO UNIVERSE 』について。
この曲は、日本のロックバンドL'Arc~en~Cielが2000年にリリースしたポップロックです。
生音と打ち込み音とのコラボがかっこいい曲。
楽曲(歌詞)のテーマが「25世紀の世界」の為か、シンセを多用したファンタジックな曲調になっています。
こういう電子系の楽曲は加減を間違えると「バンドっぽさ」が薄くなって、その筋のファン層からは敬遠されがちですが、そこは日本最高レベルバンドのラルク。
むしろ電子音が程よく混ざることで、かえってロック部分が引き立っています。
ハイトーン多用のhyde(Vo)の歌声が、透き通るバックの音色とまるで一体化しているかのようにマッチ。
この様々なタイプの演奏のサウンドに、臨機応変に対応できるhydeの声質はラルクの財産ですよね
また、tetsuya(Ba)のベースでは面白い試みも。
よく聴くと基本のベースはシンセベースを鳴らしながら、右チャンネルからはおそらく生と思われるエレキベースが高音を鳴らしています。
同じベースで生音とシンセ音とのユニゾン。
楽器を弾かない人が聴いたら聞き漏らしてしまいそうな程細かい工夫ですが、こういう所にも気が回るのが彼ら。
「微に細をうがつ」を体現したようなポップロックです。
ミリオンを達成し、3年連続で年間チャートTOP10入りまで果たした曲を聴いてみてください。
それでは。
FIELD OF VIEW『きっと離れていても』
今日はFIELD OF VIEW『きっと離れていても』を聴いた感想を。
シングル「突然」のカップリング曲。
この曲は、日本のロックバンドFIELD OF VIEWが1995年にリリースしたポップバラードです。
作詞・作曲ともに浅岡雄也(Vo)。
とても穏やかな曲調ながら、壮大さが伝わってくるバラード。
浅岡の歌声は抱擁感の優しい声ですが、旋律には少しだけ寂しさが込められています。
アレンジ担当が、 B'zの稲葉浩志やZARDに何度も楽曲提供している事でも有名な池田大介なので、ポップスとしてのクオリティも申し分無し。
A面の「突然」も相当なヒット曲でしたが、個人的にはこの「きっと離れていても」も音楽的に負けない魅力を持っています。
ちなみに浅岡雄也のデモテープの中でも、かなり古くから生み出されていた曲のもよう。
そのせいかどことなく「初期」のころの香りが漂います。
古参からのFIELD OF VIEWファンの心にも響くのではないでしょうか。
歌詞も情感的。
「離れてるからわかる 誰が大切か」
「孤独が僕を強くする 何もかも君だけに向かう」
おそらく遠距離恋愛をテーマにした歌詞だと思いますが、「会えない時間が愛を育てる」のように、まるで淋しさの気持ちをポジティブに切り替えようとするような詞が、尊く切ない。
メッセージは繊細ですが、ビートがロックテイストの為、ナイーブの中にも程よいエネルギーがあります。
この辺は池田大介クオリティですよね。
デリケートながら熱いバラードを聴いてみてください。
それでは。
スキッド・ロウ『18&Life』
今日はSkid Row『18&Life』について。
アルバム「Skid Row」収録。
この曲は、アメリカのHR/HMバンドSkid Rowが1989年に発表したメタルバラードです。
とにかくセバスチャン・バック(Vo)の歌唱が際立つ曲。
激しくも切ない歌声が、曲に込められた感情を最大限に引き立てています。
本作において彼の歌唱は穏やかなパートの方が多いのですが、たとえばエアロ・スミスの超名曲「I Don't Want to Miss a Thing」のように、「基本はしっとりとして、キメどころで超絶シャウト」な展開の為、落差でシャウトの迫力がより増します。
本人はジューダス・プリーストのロブ・ハルフォードに影響を受けているそうですが、ハイトーンのインパクトはそのロブにも負けていません。
セバスチャンが歌う事に意味がある楽曲ではないでしょうか。
また歌唱と同じぐらいに、歌詞も突き刺さる曲。
「18歳と言う時間と、だいぶ残されている人生の時間」
歌詞の内容が
「ある日家族とケンカして家を飛び出して、それでも側にいてくれる友人と楽しい日々を過ごしていた。しかし酔ったはずみでその友人ともケンカ。熱くなってその友人を射殺してしまい、その後逮捕されてしまう。」
という、若さゆえの挫折や葛藤を描いた内容が似ていることから、メタルファンの間では「HR/HM界の15の夜(尾崎豊)」と呼ぶ人もいるもよう。
エモーショナルながらどこか儚げな曲調とよく合っています。
HR/HM界隈の楽曲としては、そう音数が多い方ではない曲ですが、それがまた歌詞の主人公が胸に持つ虚無感を表現している感じで悲しい。
ヘヴィながらも脆さのある曲です。
綺麗で、それでいてロックにおける“叫び”の重要性を思い出させてくれるバラードを聴いてみてください。
それでは。