音の日

好きな音楽、その他趣味のこと

槇原敬之『どんなときも。』

今日は槇原敬之『どんなときも。』について。


この曲は、日本のシンガー・ソングライター槇原敬之が1991年にリリースしたポップバラードです。

織田裕二仏道敦子、坂上忍が出演したことでも知られる映画「就職戦線異常なし」主題歌としても有名。


この頃の槇原敬之は今より歌声が若々しく、今の穏やかでふんわりした声ではなく、グンッと通る力強い声で歌われています。

熟練の歌手とはタイプの違う魅力を持つ歌声です。


内容は、自分自身を応援するような曲。

「どんなときもどんなときも 僕が僕らしくあるために」
「「好きなものは好き!」と 言えるきもち抱きしめてたい」

槇原敬之と言えば、SMAPに「世界に一つだけの花」を提供したアーティストとしても知られていますが、彼の楽曲にはこういう「自分を持つ事」の大切さをテーマにした曲が多い気がします。

彼自身は以前、事務所から自分がやりたいものとは違う音楽ばかりを求められ深く悩んでいたエピソードを明かしていた事があります。

そんな彼だからこそ、「他人に流されやすい人」の気持ちがわかるのかもしれませんね。


実はこの「どんなときも。」というタイトルをつけるにあたっても、かなり悩んでいたもよう。

「直球過ぎてダサい、と思い自信が無かった」とのこと。

しかし、そのタイトルをつけた本作は

NTT東日本CMソング(2007年発売のシングル「GREEN DAYS」収録のニューバージョン)」

ヤマハ発動機「めざせ、ころばないバイク。LMW 雨上がりのタンデム篇」CMソング」

選抜高等学校野球大会 入場行進曲」

ケンタッキーフライドチキン CMソング」

そして前述の「就職戦線異常なし」


5本ものタイアップ数を獲得し、最終的には自身最大のヒットシングルになりました。

「自分を持って」生み出した音楽が人々の心に届いたわけですね。


学校や職場で何かを間違ってしまった時。
または失恋してしまった時にこの曲を聴いてみるのも良いのではないでしょうか。



それでは。





Dir en Grey『Inconvenient Ideal』

今日はDir en Grey『Inconvenient Ideal』を聴いた感想を。


アルバム「UROBOROS」収録。

この曲は、日本のロックバンドDir en Greyが2008年に発表したロックバラードです。


とてもダークで、それでいて神秘的な曲。

基本的にDir en Greyは、これでもかと言うほど音色を歪ませたギターを演奏しますが、この曲はギターもドラムも透き通るようなサウンドです。


サビの歌声は衝撃的。

張り裂けるようなキーの高さはDir en Greyの中だけじゃなく、海外メタルと比べてもそうはいない程。

間奏でのフェイクはhihihiAにまで達しています。


インパクトだけじゃなくメロディも綺麗。

いわゆる「和」のテイストを感じます。

一般的に高音域主体の歌は、迫力はあってもどうしても繊細さに欠けがち。

しかしこのバンドのこの曲は、圧力と美しさを絶妙に両立してくれています。

とても密度の濃い曲ではないでしょうか。


歌詞は、打ちのめされながら歩き続ける人間の心を描いたもの。

「殻に閉じた愛情さえ、心破る獣に呑まれて」
「何がそうさせる?胸に手を当て」
「産声は昨日の時と去る」

優しさを実行には移せないけど、せめて心の中でくらい人の幸せを願いたい。

そんなささやかな願望さえ、辛すぎる現実の中で昨日の事のように忘れてしまう心境が綴られています。

最初から冷たい人の心では無く、元々優しい人がその優しさを失っていく過程が描かれているのが悲痛。

メロディに負けないくらい悲しい歌詞です。


冷たくも激情的なバラードを聴いてみてください。



それでは。





ゲイリー・ムーア『Over the Hills and far Away』

今日はGary Moore『Over the Hills and Far Away(邦題.望郷の果て)』について。


アルバム「wild Frontier」収録。

この曲は、北アイルランドのロックギタリストGary Mooreが1987年に発表したハードロックです。

いわゆるケルティックなロック。

どこか憂いを帯びたメロディは、ゲイリーの故郷であるアイルランドの民謡のテイストを感じさせます。

イントロからドラムがリズミカルで心地いいです。

そのドラムときっちり噛み合ったリズムを刻むギターのサウンドからは、ロックであってもじんわりと悲しみが伝ってきます。

この力強い音色で、この儚さを表現できるセンスが凄い。


サビメロは、あえて起伏を薄くした落ち着いたメロディ。

似たフレーズを何度も繰り返す為、集中して聴かなくても自然と旋律が頭に入ってきます。

ゲイリーの全楽曲の中でも、メロディはかなりポップな部類。

彼の曲を聴いたことが無い人は、この曲から入るとゲイリーの世界観に馴染みやすいかもしれません。

ハードロックながら牧歌的、という独特な味を持つ曲です。
ある意味ゲイリームーアの魅力を凝縮した作品、と言えるのではないでしょうか。

決して派手ではないのに雄大、という面白いロックだと思います。


アイリッシュの魅力が詰め込まれたハードロックを聴いてみてください。



それでは。





徳永英明『壊れかけのRadio』

今日は徳永英明『壊れかけのRadio』について。


この曲は、日本のシンガー・ソングライター徳永英明が1990年にリリースしたポップバラードです。

高嶋政伸黒木瞳江口洋介が出演したことでも知られるドラマ「都会の森」の主題歌としても有名。


徳永英明の代名詞とも言える曲。

始まりでは声量を抑え気味。
しかし後半に進むに連れて、次第に叫び声に近い歌唱に変わっていきます。

低音部はハスキーな声で歌い、高音部はクリーントーンで清らかな声に変化。

一曲の中で様々な声色が楽しめる楽曲です。


歌詞はまるで、誰かに救いを求めるようなもの。

「遠ざかる溢れた夢 帰れない人波に」
「本当の幸せ教えてよ 壊れかけのRadio」

実はこの曲の制作当時、徳永英明は強い葛藤の中にいたそう。

元々事務所との人間関係に悩んでいた徳永は、個人事務所「マゼラン」を設立し、独立。

しかしその後、その責任をたった1人で背負い込み、次第に歌うことすら辛くなってしまったとのこと。

その時のあらゆる迷い、不安の中で生まれたのが『壊れかけのRadio』だったそうです。

この詞を書いた時の彼は、色々な問題を抱えて疲疲労困憊で、道を見失っていたのではないでしょうか。
「思春期に少年から大人に変わる」時のようにラジオに助けてほしい、と思っていたのかもしれません。

「壊れかけのRadio」とは彼自身の、壊れかけた心の比喩のようです。

しかしその葛藤をモロに詰め込んだ本作はしとやかなメロディ、透き通るような歌声、ドラマのタイアップ効果もあってロングヒット。

間違いなく彼の代表曲と言える域にまで達しました。

沢山のリスナーが人生に迷った時に、この曲に込められた懐かしさに癒されたのかもしれませんね。


ちなみに多くのプロミュージシャンからもリスペクトされている楽曲でもあります。

河村隆一のアルバム『evergreen anniversary edition』

麗奈のアルバム『On/Off seven colors』

松下優也のシングル『Naturally』
にカバーが
収録されていますので、そちらもオススメです。



それでは。





B'z『愛のままに わがままに 僕は君だけを傷つけない』

今日はB'z『愛のままに わがままに 僕は君だけを傷つけない』を聴いた感想を。


この曲は、日本の音楽ユニットB'zが1993年にリリースしたポップロックです。

宮沢りえ本木雅弘河原さぶが出演したことでも知られるドラマ「西遊記」主題歌。

日本レコード協会から2ミリオンを授与された曲としても有名。


作詞者の稲葉浩志(Vo)によると「究極のわがままな歌」。

「今だから 好きなんだから あきらめながらは生きないで」
「他人の血が流れても 一途な想いをふりかざそう」

愛する人の為なら世界を犠牲にしても構わない、というメッセージ。

一見、自分勝手にも見えますが、「他の何を譲ってもいいけど、大事な人一人は譲れない」という意味なら、ある意味「一途」と取れるのではないでしょうか。

わがままと言うよりは「純粋な愛」の極地を綴った詞なのかもしれません。


曲調は、いわゆるオリエンタル。

イントロのキーボードのメロディが、どこか中華風です。

79年の時の「モンキーマジック」(ゴダイゴ)もそうでしたが、これはおそらく「西遊記」の世界観に合わせたからですよね。

その中華メロディとJ-POPのストリングスのコラボがこの曲の個性だと思います。

松本孝弘(Gt)のギターリフもかっこいい。

彼の作ったリフにしてはやや抑え目な動き方ですが、それでも手抜きゼロの、ギターで歌う様なバッキング。

隅々まで「メロディアスさ」を詰め込んだ様な曲です。

途中でテンポダウンしてヴォーカルとストリングスがカルテットを組み、再び疾走する様は最高。


「B'z史上最大のヒットシングル」を感じてみてください。



それでは。






アンドリュー.W.K.『She is Beautiful』

今日はAndrew.W.K.『She is Beautiful』について。


アルバム「I Get Wet(邦題.アイ・ゲット・ウェット〜パーティー・一直線!)」収録。

この曲は、アメリカのロックバンドAndrew.W.K.が2001年に発表したハードロックです。


パンキッシュなロック。

一度聴いたら耳から離れない程 メロディがポップです。

「She is Beautiful」と何度も連呼するストレートなサビは、聴き手の頭にすっと入ってきます。

歌メロはシンプルですが、リフの動きはアクティブ。
さながらダンスミュージックのよう。

サウンドもヘヴィで、「ラウド」と言える程ぶ厚い音色。

音の容赦の無さがメタル勢にも響いたのか、あのメロデス界のカリスマバンド、チルドレンオブボドムにカバーされた事もあります。

ヘヴィなのにお祭りノリ、という珍しい曲です。

また単なるノリ任せ、という訳でも無くサビが終わった後、次にさらに派手な大サビをもってくる、などデリケートな工夫も。

リーダーのアンドリュー.W.K.(Vo)といえば、この曲が収録されたアルバムのジャケット撮影の為に、頼まれてもいないのに壁に自分の顔を叩きつけて鼻血を出した事でも有名。
(結局血が足りず、ブタの血も使ったらしいですが笑)

それ以外にも数々の奇行、パフォーマンスから「パーティーバカ」に異名をとるミュージシャンですが、この曲を聴くと彼の音楽に対する取り組みは真剣そのもの、という事が伝わってくると思います。


「オレは君を知らないけど 君を愛していると言うために君の顔を見る」
「何を言えばいいのか分からない」

という、シャイな男の片想いの歌詞も良いですね。


重厚なハイテンションさを持つ曲を聴いてみてください。



それでは。





&G『Wonderful Life』

今日は&G『Wonderful Life』について。


この曲は日本のアイドル歌手、稲垣吾郎が「&G」名義で2004年にリリースしたポップバラードです。

草彅剛、美山加恋小雪が出演したことでも知られるドラマ『僕と彼女と彼女の生きる道』の主題歌としても有名です。


ややアンニュイながら穏やかな曲。

作詞・作曲者は、SMAPの「オレンジ」や「Triangle」を作曲したことでも知られる市川喜康。

「誰かにもできることは みんな承知の事実で生きてるんだな」
「だから誇りをも抱けるんだよ」

自分を省みるような歌詞は、稲垣吾郎自身が持つ、どこか哲学的なイメージにフィットしています。

たまに番組などで見られる、彼が独特な人生観を語る姿が重なります。

あるいはドラマのイメージの方に合わせたのかもしれませんが、どちらのイメージにもハマった説得力のある詞ではないでしょうか。


また、メロディの素晴しさは折り紙つき。

まるで誰かを祝福しているような優しいメロディが、稲垣吾郎の脱力感と透明感を兼ね備えた歌声と、絶妙なバランス感を演出してくれています。

SMAPの名バラードに匹敵する美しさ。

「エンジェルボイス」と呼ばれる稲垣吾郎に似合っている曲です。

(ちなみに「&G」の名はおそらく、フランス語の「アンジー(天使)」にかけたもの、と言われています。)


聴き終わった後に残る、包み込まれるような浮遊感を感じてみてください。



それでは。