GARNET CROW『Mysterious Eyes』
今日はGARNET CROW『Mysterious Eyes』を聴いた感想を。
この曲は、日本のバンドGARNET CROWが2000年にリリースしたポップロックです。
彼女達の記念すべき1st.シングル。
高山みなみ、山崎和佳奈が声優を勤めるアニメ「名探偵コナン」のOPテーマとしても知られています。
メロディアスながら軽やかな曲。
ややアップテンポな曲ですが音色がふんわりとしている為、むしろ穏やかな雰囲気です。
作曲者は中村由利(Vo)ですが、当時からふんわりとしたアルト声。
ファンからは愛されている歌声ながら、本人は自身の声を初めてテレビ越しに聴いた感想を
「意外と愛想ないな~と思って...チョットプチショックを受けた」
と語っています。笑
彼女のユニセックスな歌声は、当時多くの人から「ガーネットのヴォーカルは男の子かと思った」と
言われていたとのこと。
その平和的ながらも凛々しい声質は、今では彼女の唯一無二の個性です。
曲調は心地いい「ぼんやりさ」がある曲ですが、歌詞は一見、逆方向にも見える部分があります。
「君と僕とは別の人間だから」
「好みが違う 歩く速さも 想いの伝え方も」
大切なひとを「二人で1つ」では無く、「あくまで違う人」と位置付けるシビアさ。
作詞者はAZUKI七(Key)ですが、「夢みたあとで」にも見られるような、情緒に溢れながらもどこかひんやりとした作詞センス。
中村由利の歌声同様、彼女のリアリズムも当時から健在だったのかもしれませんね。
GARNET CROWはデビューした時から軸がぶれていない、という事が感じられる曲ではないでしょうか。
優しくもメランコリックな曲を聴いてみてください。
それでは。
ライオット『Worrior』
今日はRiot『Worrior』について。
アルバム「Rock City(邦題.怒りの廃墟)」収録。
この曲は、アメリカのHR/HMバンドRiotが1977年に発表したパワーメタルです。
アメリカ産でありながら、ヨーロッパのHR/HMのような叙情性を帯びたメタル。
約40年も昔から愛されている曲である事と、ビートは疾走しながらも繊細なメロディが流れている事から「メロディックスピードメタルの原点」と呼ばれる事も。
海外のメロディックスピードメタルは、例外はあれどギターに重きを置いているバンドが多い印象がありますが、この曲は歌メロも魅力的です。
日本のメジャーなポップスの表現に近いのではないでしょうか。
実際、本城未沙子、五十嵐夕紀など多くの日本人アーティストによってカバーされています。
ガイ・スペランザ(Vo)のクセの無い声質と幅広い声域が、情感のある歌メロを強調してくれています。
その歌メロに負けない存在感を発揮しているのがギター。
一見弾きまくっているようで、無駄な音が無く、一種の爽快感すら感じます。
派手なようで、細かく作り込まれたメロディはディープパープルのよう。
この辺がマーク・リアリ(Gt)のセンスでしょうか。
後半の、感情を爆発させたようなソロは演劇的な曲調のラストに相応しいです。
攻撃的ながら、しっとりとした曲を是非聴いてみてください。
それでは。
浜崎あゆみ『Seasons』
今日は浜崎あゆみ『Seasons』について。
この曲は、日本の女性歌手浜崎あゆみが2000年にリリースしたポップバラードです。
佐藤浩市、稲森いずみ、深津絵里が出演したことでも知られるドラマ「天気予報の恋人」の主題歌としても有名。
浜崎あゆみの代表曲の1つ。
イントロからそうですが、全体的にメロディに懐かしさのような雰囲気が漂います。
サウンド自体は当時の最新の機材によるものですが、どこかノスタルジック。
浜崎あゆみの寂しげな歌い方が、楽曲に彩りを添えています。
セールス面でも凄まじく、自身最大のヒットシングルとなった「A」に続き2番目に高い売り上げを記録しました。
ミリオンセラーまで達成し、2000年の年間シングルCD売上ランキングにおいて5位を記録。
さらに『第42回日本レコード大賞』において、優秀作品賞を受賞したことでも知られています。
売れっ子歌姫である浜崎あゆみの楽曲の中でも特に評価が高い曲。
にも関わらず本作は一部では、前2作「vogue」「Far away」と共に「絶望3部作」の1つと呼ばれています。
誤解の無いように言っておくと「絶望3部作」とは言ってもクオリティの問題では無く、ネガティブな世界観の事を指しているもの。
「今日がとても楽しいと 明日もきっと楽しくて」
「そんな日々が続いてく そう思っていたあの頃」
「あの頃は幸せだったのになぁ」と、変えられない現実をぼんやりと眺めているような、諦めのような言葉が綴られています。
この頃の浜崎あゆみは人気絶頂期で、端から見ればむしろこの頃が1番幸せそうにも見えました。
しかし、実際の事は解りませんが、スター歌手だったからこその事務所からの制約、世間からの期待の目、あらゆるプレッシャーに晒されて内心では疲れきっていたのかもしれません。
けれど辛さをストレートに表現した歌詞は業界人の胸に届いたようで、前述の『第42回日本レコード大賞』において、作詩賞も受賞しています。
ほんの少しだとしても、彼女の心の慰めになったでしょうか。
楽曲に込められた、無力感と願いを感じてみてください。
それでは。
Dir en Grey『慟哭と去りぬ』
今日はDir en Grey『慟哭と去りぬ』を聴いた感想を。
アルバム「UROBOROS」収録。
この曲は、日本のロックバンドDir en Greyが2008年に発表したエクスペリメンタルメタルです。
独特なブルージーさがある曲。
シャウト、ウィスパー、ガテラル、スクリームと、一聴しただけでも京(Vo)の表現の幅広さが理解できる作品になっています。
ここまでいくと、なんというジャンル名で呼べばいいのか解らないバンドと思われるかもしれません。笑
サビでは一転、歌唱がベルカントに。
特に大サビでのハイトーンは凄い。
キーもさることながら、ただ高いのでは無く、この声域だからこそ表せる「切実さ」のような感情を感じる事ができます。
以前インタビューで「全力で歌わないと、歌った気がしない」という旨の事を語っていましたが、それに相応しい歌唱です。
歌詞は儚げ。
「見せ掛けの選択無き道ばかりを」
「連れやってくる太陽」
ここでの「太陽」は朝日の事だと思いますが、「未來は選べるようで、実際にはいつも同じ事で苦しむだけだった」という、未來に絶望しきってしまっている人の想いが表現されています。
悲観、という意味ではこの曲以前に発表された「鼓動」の「晴れ晴れしい朝よ皮肉に-おはよう-」に通じる所があるかもしれません。
いわゆる「絶望名人」な京の本領が発揮された詞だと思います。
ただしこれまでの京と違うのは、ラストに
「運命だろうが壊してしまえ」
と、「折れそうでも、それでも前に進む」という言葉を入れている事。
ここがネガティブなまま終わっていく「鼓動」との違いです。
「鼓動」が発表されてから3年の間に、京に何か心境の変化があったのか知りませんが、今までとは少し違う彼の表現を味わえる曲になっているのではないでしょうか。
緊張感と鮮やかさを兼ね備えた曲を聴いてみてください。
それでは。
マイケル・シェンカー・グループ『Looking for Love』
今日はMicheal Schenker Group『Looking for Love』について。
アルバム「M.S.G(邦題.神話)」収録。
この曲は、ドイツのHR/HMバンドMicheal Schenker Groupが1981年に発表したヘヴィメタルです。
「僕は愛を探してる 友を探してる」
仲間を求める旅をテーマにした本作は、ハードながらキャッチーなメタル。
ゲイリー・バーデン(Vo)の荒々しくも情感溢れるな歌唱は、一聴しただけでも耳に残ります。
ポップですがポップ過ぎない歌メロが良いです。
「ズドドーンッ」と、他のパートを食ってしまいそうな程のパワフルなサウンド。
リズム隊でありながら、自己主張の激しい爆音ドラミングは相変わらずです。笑
そしてバンドの主役マイケル・シェンカー(Gt)のプレイは、とてもダイレクトでエキサイティングなもの。
ほとんどがパワーコードで構成された、文字通りのパワープレイ。
ストロークではあえてシンプルなプレイに徹して、ゲイリーの歌声を引き立てている印象です。
ソロは、マイケルにしては特に弾きまくりというわけではないですが、「泣き」が素晴らしい。
チョーキングの加減、タイミングがこの曲に最高にマッチしています。
派手な技巧を使わずともリスナーに感動を与えてくれるところが、マイケルが本物のプレイヤーであることを感じさせてくれますよね。
男らしいのに哀愁があるHR/HMを聴いてみてください。
それでは。
尾崎豊『I Love You』
今日は尾崎豊『I Love You』について。
この曲は、日本のシンガー・ソングライター尾崎豊が1991年にリリースしたロックバラードです。
ドラマ『北の国から'87 初恋』(1987年) にも使用。
また日本レコード協会からダブルプラチナを授与された曲としても知られています。
元々1983年に発表された1stアルバム「十七歳の地図」に収録されていた曲。
当時の尾崎はなんと17歳。
若くして既に才能の片鱗を覗かせてくれています。
曲はピアノ主体のバラード。
歌はメロディ、歌声共にまるで尾崎の心を映しているようにシンプルでまっすぐです。
エネルギッシュで情熱的な発声と、透明感のあるファルセットの使い分けが情緒的。
歌詞は、若者の愛を綴ったもの。
「何もかも許された 恋じゃないから」
「二人はまるで 捨て猫みたい」
社会と相容れない若い恋人同士が、耐えきれず駆け落ちし、愛し合う姿を思わせる詞。
青春時代の無力感、温かさが綺麗に表現されていると思います。
歌声は力強いのに、歌詞は押せば壊れそうな程にデリケートです。
世間では尾崎豊というと「15の夜」の影響か、何となくヤンキーチックなというか、とっつきにくい印象を持っている人もいるもよう。
しかしだからこそ、多くの人が若き日に感じる「疎外感」のような想いをストレートに訴える尾崎の歌は、世の中の人々に届いたのではないでしょうか。
忘れかけていた甘く切ない想い出を思い出させて くれる曲だと思います。
2010年にコブクロがアルバム『ALL COVERS BEST』で、
2004年に宇多田ヒカルがトリビュートアルバム『"BLUE" A TRIBUTE TO YUTAKA OZAKI』においてカバーしているので、そちらもオススメです。
それでは。
ZAQ『カーストルーム』
この曲は、日本の女性シンガー・ソングライターZAQが2017年にリリースしたポップロックです。
千葉翔也、鬼頭明里、久保ユリカなどの声優陣が出演したことでも知られるアニメ「ようこそ実力主義の教室へ」のOPテーマ曲としても有名。
作詞・曲、アレンジ全てZAQ本人。
非常に複雑なポップス。
始まりがDメロ、というのが既に珍しいのですが、入りのギターフレーズも一朝一夕では思いつかないようなもの。
打ち込みのドラムに、メジャーコードが乗っていきます。
しかし途中からメロディラインがマイナーに。
こういうギャップ感は好きです。
「日陰と陽射し待ちわび エントロピーが満ちていく」
「制限的自由の中で 君はどう生きるのかって問われたみたいだ」
アニメが、主人公が閉鎖的な空間から解放される為に外の世界に出る、という内容の為か、歌詞は「自由」をテーマにしたもの。
軽やかさの中にも憂鬱が混ざるメロディに、綺麗にハマっていると思います。
個人的に面白い、と思ったのがピアノとベースの動き。
かなりトリッキーで、メロディ自体も濃密です。
アシッドジャズを基盤に作曲したそうですが、一般的なポップス曲ではなかなか聴けない表現。
作りが繊細でも、テンポが速く音数も多いので迫力も失っていません。
「ゴリゴリのロックサウンドというよりは、作品(アニメ)が頭脳戦だから、ちょっと頭がいい感じにしたくて。」
とZAQ本人が語っていましたが、クオリティという観点では、滅多にみないレベルのJ-Rockだと思います。
激しくもミステリアスなロックを聴いてみてください。
それでは。