井上陽水『少年時代』
今日は井上陽水『少年時代』について。
この曲は、日本のシンガー・ソングライター井上陽水が、1990年にリリースした曲で、聴き手を思い出の世界に還してくれるポップバラードです。
映画「少年時代」の主題歌。また彼自身の最大のヒット曲としても知られています。
ピアノは来生たかお。
少年時代の夏の思い出をテーマにした曲のようですが、彼の奏でるメロディはしっとりとしていて、夏というよりは秋、冬をイメージさせてくれます。
こういう綺麗なあまのじゃくさが魅力的です。
「夏まつり宵かがり」
「胸のたかなりにあわせて」
幼い少年にとって世界は、全てが新鮮で新しい何かに出会うたびに、胸をたかならせてくれるもの。
大人になるにつれて忘れかけていく気持ちを、思い出させてくれるような歌詞です。
ただ歌詞には、あまり具体的な描写はありません。
「夏まつり」とは書いていますが、それ以外には読み手にくっきりとした絵が浮かばないように綴られているような印象です。
オフコースにおける小田和正の詞にもいえることですが、こういうあえて細かい描写を省く表現は、読み手によって違う世界をイメージさせてくれるんですよね。
読み手によって違う景色、それが遠ざかっていく寂しさ。それぞれの『少年時代』が存在するんです。
発表されてから30年近くたつ現在でも古くならない理由なのかもしれませんね。
みなさんもこの歌を聴いて、カラフルな懐かしさを感じてみてはいかがでしょうか。
それでは。