GReeeeN『愛唄』
今日GReeeeN『愛唄』について。
この曲は、日本の音楽グループGReeeeNが2007年にリリースしたポップバラードです。
着うた部門で3ミリオンを達成した曲。
また佐藤隆太、市原隼人、小出恵介、生前の大杉漣 が出演したことでも知られるドラマ「ROOKIES」のCMソングとして有名。
「キセキ」と対をなす彼らの代表曲。
内容的にはとてもまっすぐなラブソング。
「ヘタクソな唄を君に贈ろう 「めちゃくちゃ好きだ!」と神に誓おう」
「これからも君の手を握ってるよ」
作中では明言されていませんが、「神に誓おう」と表現を用いるあたり、おそらくはプロポーズの詞。
肉食的に「俺が引っ張ってやるよ」ではなく「これからも手を握ってるよ」という、むしろ大人しい言葉がリアル。
特別に難解な比喩を用いなくてもこの曲の歌詞が多くの日本人の心に響いたのは、あえて日常的なワードを使う事で生まれる「身近」感にあるのかもしれませんね。
この曲の聴きどころは、HIDE(Vo)の歌声。
曲自体のリズムはシャッフルを採用していて、かなり軽やかです。
90年代に流行ったタイプのポップスのノリに近いかもしれません。
Aメロ部分の歌メロも、どことなくヒップホップの要素を感じます。
「あまりしんみりしたバラードより、軽快なバラードが好き」という人に合うのではないでしょうか。
そしてクライマックスはサビ。
ボーカルHIDEのハイトーンボイスが決まります。
最高音はクリスタルキングの「大都会」並。
日本のハイトーンボーカルの代表格いわく
「ハイトーンボーカルには2種類いて、片方はクリスタルキングの田中昌之さんのような、聴き手を圧倒するようなナチュラルなハイトーン。
もう片方が、B'zの稲葉浩志さんのような、聴き手の耳に突き刺さるような鋭いハイトーン。
前者は生まれもった天性のものの場合が多く、後者は訓練によって身に付けたものの場合が多いですが、おそらくGReeeeNのボーカルの方は天性のものをもってるんじゃないかな」。
いわば高音域の才能を持ってるわけですね。
その自然な高音+美しいメロディから繰り出される叙情性が、相反するようなリズムの軽快さと絶妙なコントラストを演出していると思います。
明と暗が綺麗なバランスをとっている曲です。
無邪気さと真剣さが織り交ざる愛の唄を聴いてみてください。
それでは。
Luna Sea『Losier』
今日はLuna Sea『Losier』を聴いた感想を。
この曲は、日本のロックバンドLuna Seaが1994年にリリースしたロックチューンです。
知名度や人気的においてはLuna Seaの代表曲と言える作品。
原曲はJ(Ba)。
また曲だけじゃなく、この曲の名物である間奏部分の英詞パートも書いたのは彼。
「俺が引き金だ、俺が自分の最後の道を選ぶ」
「花咲こうが落ちようが、それは俺次第」
内容的には彼が、しばらくの間自らが望む水準の曲を作る事が出来ずに悩んでいた時に、そんなスランプに陥ってしまった自分自身に別れを告げる為に書いた「遺書」であるとのこと。
作り手として葛藤しながらも、その「作れない」という苦しみを、逆に作品に換える、という逆転劇。
彼が骨の髄まで「クリエイター」なんだな、と思わせてくれるエピソードです。
曲の構造的には、ロックを基調としながらも、パンクの要素を取り込んだような曲風。
RYUICHI(Vo)のボーカルプレイがロック節全開。
バンド活動後期やソロ活動に入るとマイルドな歌声に変化していきましたが、この頃は荒々しくハスキーなシャウト声。
現在の「河村隆一」とはタイプの違う魅力のある、王道の「ロックボーカリスト」の歌声です。
この頃はボイストレーニングにも通っておらず自己流で歌っていたそうですが、専門的訓練もなく才能だけでこれほどの声量、安定感のあるピッチで歌っていたのですから、本当に歌唱の天才なんでしょうね。
真矢(Ds)のドラムもイントロから駆け抜けています。
単純なテンポの速さもさることながら、一音一音の音圧が力強い。
一度ダイエットに成功して痩せたのに、体重が軽くなった事でバスドラムの音圧が減った事を悔やみ、あえて再び太りなおすほど音圧にこだわる彼ですが、その気合いが前面に表れたサウンドではないでしょうか。
全般的にリズム隊が活躍している楽曲ですが、極めつけはJのベース。
本作のメインコンポーザーからと自分が目立つように作った訳ではないとは思いますが。笑
これでもか、というほど派手に動き回り、リズムとして曲を支えながらも随所で激しく自己主張しています。
イヤホンで大音量で聴けばわかる事ですが、そもそもベースの音がかなり大きく入って、音程もかなり抑揚が大きい。
うねるような進行でリズムに緩急を与えてくれています。
イントロからAメロ部分もかっこいいですが、個人的には後半の、怒濤の8分連打が好き。
「目立つベースプレイヤー」の代表格にL'Arc~en~CielのTetsuyaがいますが、それに匹敵するほど「歌っている」ベースプレイではないでしょうか。
「自分はどうして熱くなれないんだろう」と思い悩むほど淡泊なところがあるそうですが、この曲を聴くと彼の心の中には熱い音楽魂が眠っている、という事が感じられると思います。
Luna Seaが並のバンドと一線を隠す理由は、ボーカル、ギターはもちろん、リズム隊にも光る要素がある事ですよね。
ちなみに華原朋美がアルバム『MEMORIES 2 -Kahara All Time Covers-』において、
またSHOW-YAが主の『Glamorous Show~Japanese Legendary Rock Cover Album~』において、本作をカバーしています。
本家とは異なる世界観が堪能できるバージョンなので、興味のある人は聴いてみてください。
それでは。
ブラインド・ガーディアン『Lord of the Rings』
今日はBlind Guardian「Lord of the Rings」について。
アルバム「Tales from the Twilight World」収録。
この曲は、ドイツのパワーメタルバンドBlind Guardianが1990年に発表したネオクラシカルメタルです。
元「HELLOWEEN」~「GAMMA RAY」のメンバーであるカイ・ハンセンが、ゲスト・ヴォーカルとして参加した事でと話題になりました。
作詞はハンズィ・キアシュ(Vo、Ba)ですが、作曲はハンズィとマーカス・ズィーペン(Gt)による共作。
イントロの激速カッティングの時点でインパクトは充分。
一般的に楽曲においてイントロは、その曲が「どういう曲か」の第一印象を決める効果があると思いますが、このイントロの時点で、聴き手はこの曲に込められた膨大なエネルギー量を連想する事ができると思います。
ギターは特に、二度目の間奏でのツインギターが壮絶。
2本のギターが同じ音階でハモるのではなく、互いに違うメロディで、しかも無理なくナチュラルに絡み合っていく様は至上です。
メロディの良さもさることながら、バッキング、リード共に音数がブラインド・ガーディアン史上最高クラス。
ただでさえテンポが速い曲なのに、その中に音を詰めまくっているので、聴き手の体感的な迫力はピークに達します。
メロディ、音の厚さともに凄まじいギタープレイです。
ポイントはやはり、ハンズィ・キアシュとカイ・ハンセンによるツインボーカル。
異なる味、世界観を持つ2人の歌声が、まるで2つの異なる楽器で、同時に同じ主旋律を奏でているようです。
どちらも技術というよりは独特な発声法、声色が売りのタイプのいわゆる「個性派」なボーカルですが、その声で「王道」路線の歌メロを歌われると逆に刺さります。
展開的にもプログレの要素を多分に含んだものの為、緩急が多く、メロディに込められた感情表現を、良い意味で計算して伝えてくれますし、一見ごうかいなようで、非常に緻密なメタルではないでしょうか。
インパクトと冷静さを兼ね備えたHR/HMを聴いてみてください。
それでは。
GLAY&EXILE『Scream』
この曲は、日本のロックバンドGLAYとダンス&ボーカルグループEXILEが、2005年にリリースしたオルタナティヴメタルです。
日本レコード協会からダブルプラチナを授与された曲としても知られています。
この曲をリリースする1年前の末に、EXILEが「2005年は日本の音楽業界がビックリすることをやりますよ」と語りました。
ファンの間では「何の事だろう?」と話題になりましたが、その内訳は、
当時すでに人気絶頂期を迎えていたダンスグループであるEXILEと、
音楽評論誌において「日本5大ロックバンド」(GLAY、XJAPAN、Luna Sea、L'Arc~en~Ciel、BOØWY)の一角を担うグループと評されるGLAYによる、スペシャルコラボ
という衝撃的な内容でした。
詞の世界観は「輪廻転生」。
「何処へ行けば傷つくことはなくなるだろう?」
「まだ探してる」
何度やり直しても、人生にはいつも他人との争い、更にそこから生まれる苦しみがつきまとう。
それでも諦めず幸せになれる新しい居場所を、『Scream(叫び)』のような産声をあげながら探し続ける主人公の人生を描いた詞。
演奏する楽曲は激しくても、人柄は非常に穏やかな事で知られるGLAY、EXILEメンバーによく似合う歌詞ではないでしょうか。
(そういえば2グループともチャリティー活動に熱心、という共通点もありましたよね。)
曲調的にはGLAYが普段演奏しているようなロックに、EXILEテイストなR&Bを取り入れたような曲。
HR/HM的な低音域のバッキングに、TERUとSHUN、ATSHUSHIがキャッチーな歌メロをのせていきます。
パートでいえばTERUが高音担当、SHUNとATSHUSHIが中低音を担当。
3人とも日本の「好きなボーカルランキング」の上位の常連メンバーですが、素晴らしいのは「食い合い」にはならず、むしろお互いの良い所を引き出しあっているところ。
特にATSHUSHIはアマチュア時代にGLAYのコピーバンドでボーカルを担当していた位のGLAYファンのだった為か、いつも以上に歌声に気合いが入っているのように聴こえます。笑
ちなみにTERUの方もこのコラボでEXILEのダンスに感化されたらしく、TAKUROに「EXILEのメンバーってダンスを教えたりしないのかな?」「オレも習おうかな」とプライベートで相談のメールを送ったとのこと。笑
「(もしまたコラボするとしたら)歌うよりは踊りたいです! 」 by TERU
お互いに相手の才能から良い刺激を受け取ったようですね。
実はリリース前の段階では双方のファンから「コラボなんて不満だ」という声も、一部ではあったもよう。
しかしいざ発表するとファン達から「かっこ良すぎてビックリした」という書き込みが殺到したそうです。
GLAYファンとEXILEファン、どちらが聴いてもハマれる化学反応を示した楽曲だと思います。
「有名アーティストの共作」の成功例のひとつと言える作品ではないでしょうか。
ちなみに個人的にはPVでの、GLAYの奏でるギターソロとEXILEのダンスがシンクロするパートが好きです。
曲を紹介しておいてなんですが、この曲はPVの方がオススメです。笑
それでは
シギ『輝いた』
今日はシギ『輝いた』を聴いた感想を。
この曲は日本の女性シンガー・ソングライター、シギが2009年にリリースしたロックチューンです。
杉田智和、 阪口大助、釘宮理恵が声優として出演している事でも知られるアニメ「銀魂」のEDテーマとしても有名な曲です。
ロック調ながら、とても透明感のある曲。
アップテンポですが、部分的に入るピアノ、メロディ、そしてシギ自身のクリアな歌声のおかげで、激しすぎない迫力を持って、聴き手に心地良い臨場感を与えてくれます。
サビの最高音部でのファルセットが巧み。
キーの高さもさることながら、声色が自然で、タイトルの通り「輝いた」ような鮮やかさを放っています。
作詞・作曲ともに彼女ですが、シンガーとしての彼女の表現能力も感じられる曲です。
ファンから特に評価されているのが歌詞。
「体交われど 血は交われず 僕等いつもひとりぼっちに涙してた」
「だけど、ふたりだから手を繋ぐこと」
「違う体温と感じあえて孤独は消えていくんだね」
シギ本人いわく
「友情も愛情も埋められない孤独を持つからこそ、求め合い奮い立ち共に走り出せる」
という想いをこめた詞。
「銀魂」のタイアップという事で、アニメの世界観に合わせた詞にしたそうですが、「銀魂」を見ていない人でも、孤独感に襲われている中、そばにいる誰かに救われた事がある人には、優しく響く詞ではないでしょうか。
「君は言った「正解なんてあとからついてくればいい」」
というフレーズは、先の見えない不安と戦い、疲れている人に穏やかさを与えてくれます。
曲調は少しピリッとした雰囲気のあるシリアスな佇まいなのに、聴き終わった後には安心感が残る、という不思議なニュアンスを持つロックです。
激しすぎるライブパフォーマンスからレーベルの先輩である「いきものがかり」の吉岡聖恵からは「独特の世界観」と評される彼女。
そのハードさの中から、そっと顔を覗かせる包容感が彼女の音楽の本質なのかもしれませんね。
軽やかなリズムに混ざる、翳のあるメロディの曲を聴いてみてください。
それでは。
ヴァン・ヘイレン「Dreams」
今日はVan Halen『Dreams』について。
アルバム「5150」収録。
この曲は、アメリカのHR/HMバンドVan Halenが1986年に発表したハードロックです。
名ロックバンド「フォリナー」のギタリスト、ミック・ジョーンズがプロデュースを手掛けた事でも話題になりました。
タイトルの通り、人生に夢を持つ事の意味を表現した曲。
「流した涙を集めて取っておくんだ」
「あぁ 、そいつらが夢を作るんだよ」
目標を追っている内に感じた悔しさや、挫折。
それらを「気にするな」とも「忘れろ」とも言わず、「忘れなければその悔しさは、必ず次に活かせるよ」と、失敗も含めて自分の力にできるというメッセージが綴られています。
もし同じ言葉を、特に夢も何も叶えていないその辺のおじさんが言ったら、説得力に欠けるのかもしれません。笑
しかし当時すでにヴァン・ヘイレンは世界的ロックバンドとして名を馳せていました。
その彼らがこの言葉を語る事には、一定の重みがあるような気がします。
こういう頑張る人の背中を押すようなメッセージソングは、90年代以降の日本ミュージシャンにも通じる所がありますよね。
この曲で光るのは、なんと言ってもエディ(エドワード・ヴァン・ヘイレン)のギタープレイ。
ソロパートが2度あり、1stソロはメロディアスに、2ndソロはテクニカルに、という印象。
特に2ndでのタッピングの多用は、エディ「らしさ」が前面に出たプレイ。
テクニカルなのに不思議と、それをひけらかしているようには聴こえないのが、彼のプレイのかっこいい所です。
さりげにマイケル・アンソニー(Ba)のベースも味があり、絃楽器でありながら、ピアノ曲のような音の動かし方をしています。
エディのプレイがとても派手な為に埋もれがちですが、彼のプレイも一聴の価値ありではないでしょうか。
もちろんサミー・ヘイガー(Vo)の太い声でのハイトーンシャウトもキレキレ。
デイヴィッド・リー・ロスの個性派の歌声も良いですが、技巧派の彼の歌唱はこの曲との相性が特に良いと思います。
一見ストレートな「ポップの性格を含むハードロック」なようで、細やかな技巧が散りばめられているのが本作の魅力です。
キーボードの多用など「Jump」の流れもくんでいるので、「「Jump」は好きだけど、この曲はまだ聴いてないな」という人には聴いてみてほしい曲ですね。
それでは。
KAT-TUN『Real Face』
今日はKAT-TUN『Real Face』について。
この曲は、日本の男性アイドルグループKAT-TUNが2006年にリリースしたポップロックです。
シングル・オブ・ザ・イヤー(第21回日本ゴールドディスク大賞)受賞曲。
また、ザ・ベスト10シングル(第21回日本ゴールドディスク大賞)を授与された事でも有名です。
リリースの1年前に、メンバーの亀梨和也と赤西仁が大人気ドラマ「ごくせん2」に出演していて、さらには作詞者にスガシカオ、作曲者にB'zの松本孝弘というビッグネーム2人を迎えた事で、発売前から話題性も充分。
類稀なレベルの大ヒット作になりました。
デビューシングルの3週連続首位は、KinKi Kids「硝子の少年」(1997年)以来8年8か月ぶりの快挙とのこと。
「新しいシャツ脱ぎ捨てて」
「ずぶ濡れになった火曜日を笑いたきゃ笑えばいい」
挑戦、開拓の為なら、他人にバカにされても構わない、という歌詞がかっこいい。
「火曜日」というのは、新しい週が始まったばかりの日。
おそらく「始めたばかりの挑戦で、失敗したからとくよくよする事は無い」という意味だと思いますが、メンバーの若く荒々しさが残る歌声と綺麗にマッチしていると思います。
アイドルグループとしてはやや硬質な歌い方が彼ららしさですよね。
楽曲的にも、一般のジャニーズグループは軽めのサウンドでストリングスを多用したマイルドな作品が多いの対し、硬い音色のギターを主体としたロックテイストになっているのが特徴的。
ラップパートも、これ自体は他のアイドルグループにもありますが、柔らかな日本のラップというより、海外のワルっぽいラップのスタイルを導入しているのは画期的ではないでしょうか。
けれど、やはり松本孝弘らしいとうか、ただ激しいのではなく、音階はやはりメロディアス。
歌メロもどこかB'zを連想させる、アクティブながらも滑らかさに重きを置いた、聴かせる旋律になっています。
ロック+ラップ+アイドル歌謡、多様なジャンルがナチュラルにバランスを取り合う、さしずめ「ジャニーズ系ミクスチャーロック」と言えるKAT-TUNの個性が凝縮された曲だと思います。
少年らしくも男らしい曲を聴いてみてください。
それでは。