音の日

好きな音楽、その他趣味のこと

B'z『Ocean』

今日はB'z『Ocean』について。


この曲は、日本のロックユニットB'zが2005年にリリースしたロックバラードです。

伊藤英明加藤あい佐藤隆太が出演したことでも知られるドラマ「海猿-UMIZAL EVOLUTION-」の主題歌としても有名。


歌詞は、ドラマの内容になぞらえたもの。

「かわした言葉 その声は響き続ける 季節が変わっても どこにも逃げないで 同じ空を見よう」

「絆深き 僕らを待っているのは 静かに揺らめくOCEAN」

「辛い事、幸せな事も色んな出来事が起こるだろうけど、逃げずに2人で前に進もう」、というメッセージが歌われています。

ドラマが「仲間と一緒に人を救う」という海上保安官の物語だからだと思いますが、それを器用に恋愛の歌詞に転換した、決意のラブソングの詞です。


曲調はタイトルの通り大海のように雄大なバラード。

一部のメディアで彼ら自身の過去の名作「「ALONE」の後継」と紹介される事もあります。

他のB'zのバラードと比べると、松本孝弘(Gt)の音はやや押さえ気味。

その代わりピアノやストリングスの音が前面に押し出されているイメージで、ギターソロもゆったりとしていて聴き手を包み込むような雰囲気。

B'zの全楽曲の中でも、かなりメロディ重視の曲ではないでしょうか。

基本的には穏やかな曲調ですが、Bメロ部分で一端沈んだ調子になるのが良い。

これにより直後のサビの明るいメロディがより引き立つようになるんですよね。

奏でる旋律が優しいだけじゃなく、作曲家としての計算も含まれるのが、B'zの楽曲が評価される所以ではないでしょうか。

迫力はあるけど威圧的ではない、というところが「海」を連想させます。


広い海の前で大切な人との希望を歌ったバラードを聴いてみてください。



それでは。






倉木麻衣『渡月橋~君 想ふ~』

今日は倉木麻衣渡月橋~君 想ふ~』を聴いた感想を。


この曲は日本の女性歌手、倉木麻衣が2017年にリリースしたポップバラードです。

劇場版『名探偵コナン』シリーズの21作目「名探偵コナン から紅の恋歌」主題歌としても知られています。

タイトルの読みは「とげつきょう きみ おもう」。


デイリー1位 (iTunes Store)、デイリー1位 (mora)、デイリー1位(レコチョク)
デイリー1位(ドワンゴ)、週間1位 (iTunes Store)、週間1位 (mora)、週間1位(レコチョク)、週間1位(ドワンゴ)、週間1位 (music.jp)

と桁外れの記録を樹立した曲。


さらに2017年12月20日時点で、オリコン週間シングルランキングで合計34週のランクインを記録していて、倉木麻衣自身の最大のロングヒット作品となりました。

2017年の上半期に発売された女性ソロシンガーのシングルとしても、最大の売り上げを記録しています。


曲調的には「和」のポップス。

タイアップの「名探偵コナン」の舞台が京都だった為、京都らしい「平安」の居住まいが漂う曲調になっています。

随所に導入された和楽器の音色が、細やかで美しい。

ただし音色やメロディは和風でも、ドラムは打ち込みだったり一部の詞は英詞だったりと現代のポップスの要素も織り込まれています。

単なる「古き良き」どまりではないところが良いですよね。


歌詞は遠距離恋愛に思い悩む女性の心を描いたもの。

「会いたい時に会えない 切なくてもどかしい」

「I've been thinking about you(あなたのことを思っています)
I've been thinking about you」

「いつも こころ 君のそば」

愛する人のそばにいたいけど、なかなか会えない。
「会えない時間が愛を育てる」という言葉がありますが、あまりにその時間が長すぎれば、やはり寂しさの方が勝ってくるもの。

だからこそ心の中で相手を想う気持ちは大切にしたい、という優しく哀しい歌詞だと思います。

こういう「しのぶ愛」の表現も、数百年前の和歌に見られるものですよね。

意図してそうしたのかはわかりませんが、こういう部分にも古えの和の要素を組み込むところがアーティスティックではないでしょうか。


古風なようで現代的な曲を聴いてみてください。



それでは。





ハロウィン『I Want Out』

今日はHelloween『I Want Out』について。


アルバム「Keeper Of The Seven Keys Part 2(邦題.守護神伝 -第二章-)」収録。

この曲は、ドイツのパワーメタルバンドHelloweenが1988年に発表したメロディックパワーメタルです。


ストレートながら完成度が高い曲。

作詞・曲ともにカイ・ハンセン(Gt)ですが、彼の得意分野の曲調ではないでしょうか。

出だしからサビにかけて、どんどん盛り上がる構成になっていて、後半に進むにつれて聴き手の高揚感が増すように作られているイメージです。

Aメロのギターの2度目の刻みが凄くかっこいい。

ソロ部分もマイケル・シェンカーの「INTO THE ARENA」に影響されたとみられる、攻撃的ながらもメロディックなソロで、アグレッシブな華やかさを感じる事ができます。

マイケル・キスク(Vo)のボーカルプレイも大活躍。

「限界はあるのだろうか」と思うほど歌声が伸びています。

サビでは得意のぶ厚いハイトーンボイス。

彼のテクニック、生まれもった才能が存分に堪能できる曲です。

ポップ成分もかなり強い曲なので「パワーメタルに興味はあるけど、激しい曲には慣れてないんだよな」という人にオススメできます。


歌詞は「開放を求める心」を表現したもの。

「俺達は生まれた時から小さな型に押し込められる 誰も俺達の意見など聞いてくれない」

「外に出たい 自分の力で何でもやりたい」
「外に出て 自由に人生を送りたいんだ」

この曲の発表後して少し経った後、作曲者のカイ・ハンセンHelloweenを脱退してしまいます。

守護神伝完全版のライナーノーツにおいて、カイ本人がこの曲には、このバンドから脱退して好きな音楽をやりたい脱退したい、という思いが込められている事を語っています。

彼にしてみれば、「外に出るべき」と自分自身に言い聞かせる為にこの曲を作ったのかもしれません。

脱退は寂しい事ですが、ただしその後の活躍は言わずもがな。

新しいカイ・ハンセンの生誕祈念の音楽とも解釈できる曲ではないでしょうか。


ちなみにSONATA ARCTICAがEP『サクセサー』および、トリビュート・アルバム『キーパーズ・オブ・ジェリコ〜トリビュート・トゥ・ハロウィン〜』にて、

小野正利 - カヴァー・アルバム『The Voice -Stand Proud!-』にて、本作を違う魅力を持ったアレンジでカバーしているので、そちらも聴いてみてください。



それでは。






一青窈『ハナミズキ』

今日は一青窈ハナミズキ』について。


この曲は日本の女性歌手、一青窈が2004年にリリースしたポップバラードです。

新垣結衣生田斗真向井理が出演したことでも知られる映画「ハナミズキ」の主題歌としても有名。


祈るような包容力がある曲。

しっとりとした謙虚な音色のストリングスとピアノが絡み合い、更にそれに一青窈の声のたおやかな歌声が折り重なり、聴き手の心の深部にじわりと染み渡っていきます。

派手さはありませんが、大和撫子のような上品さ優しさが漂います。

全体的な音数は少なくすっきりしてるのに、これだけ情緒豊かに聴かせてくれるメロディも凄いです。


世間からは、特に歌詞の評価が高い曲。

実は元々一青窈が、アメリカ同時多発テロ事件発生時、ニューヨークにいた友人から届いたメールをきっかけに、一週間ほどで書いたもの。

「君と好きな人が 百年続きますように」

この曲を聴いた人は、当然ですが9.11の被害を受けていない人。

その生きている人達に、まるで「せめて生き残った人は幸福な人生が待ってくれているように」と願うような詞ですよね。

ハナミズキ花言葉は「私の想いを受けとってください」だそうですが、「こんな事件が起こったからこそ、人生の儚さ、未来があることの尊さを感じたい」と一青窈は言いたかったのかもしれません。

単なる戦争批判の詞では無く、「鎮魂歌」の要素がある曲でしょうか。

THE BOOMの『島唄』が好きな人には特に響きそうな気がします。


どうしようも無い出来事に対する苦しみ、葛藤を、純粋で強い願いに変えてくれる歌声を聴いてみてください。



それでは。





See―Saw『あんなに一緒だったのに』

今日はSee―Saw『あんなに一緒だったのに』


この曲は、日本の音楽ユニットSee―Sawが2002年にリリースしたポップロックです。

アニメ「機動戦士ガンダムSEED」のEDテーマとしても知られています。

神秘的な哀しさが漂う曲。

曲の随所に宗教音楽のようなコーラスが散りばめられ、それがストリングスと混ざりあい、聴いているとまるで曲の登場人物の心の中に直接入り込んだような感覚にみまわれます。

ただミステリアスなだけなだけじゃなく、メロディ自体も美しい。

ふんわりとした旋律なのに、極めて芯の強い感情が伝わってくるイメージです。

特に特徴的なのがサビ。

メロディ自体はキャッチーなのに、決して解りやすくは無く、それでいて聴くとしばらく頭から離れない、という不思議な印象深さがあります。

もちろん石川智晶(Vo)の濃淡を抑えた冷静な歌い方も、そのミステリアスさの要因の1つです。


詞は、強い寂しさが詰まったもの。

「あんなに一緒だったのに 夕暮れはもう違う色」

おそらくは、アニメの主人公のキラ・ヤマトと親友のアスラン・ザラが、物理的にも精神的にも距離が空いていった、その時の心境を描いたもの。

心変りしていく友人の心を、さっきまで明るく輝いていたのに、夕方を終える頃には暗い色に変わり、静かに沈んでいく太陽に比喩したようです。

以前、この曲についてSee―Sawがインタビューを受けた際にメンバーが、「本当の意味でわかりあえる人には、なかなか出逢えないと思うんです。」と答えていましたが、その認識がとても綺麗に表現された詞ではないでしょうか。


彼女達自身の初のオリコン週間シングルチャートでトップ10入り(最高順位5位)を記録した楽曲ですが、それに相応しいクオリティ、感情量だと思います。


個性と鮮やかさを兼ね備えた歌を聴いてみてください。



それでは。






スコーピオンズ『Blackout』

今日はScorpions『Blackout』について。


アルバム「Blackout(邦題.蠍魔宮~ブラックアウト」収録。

この曲は、ドイツのロックバンドScorpionsが1982年に発表したヘヴィメタルです。


太い音色と鋭いプレイが特徴的な曲。

クラウス・マイネ(Vo)の歌唱は衝撃的です。

通常の歌部分の声色はややマイルドですが、シャウト部分では豹変。

後半に進むに連れて叫びの回数が増えていき、まるでまくし立てるように聴き手にプレッシャーをかけていきます。

その高音シャウトに最後にガラスが割れる音を織り混ぜる演出は、一度聴いたら忘れられない程のインパクトがあるのではないでしょうか。


特にかっこいいのがギター。

ルドルフ・シェンカー(Gt)のカッティングリフが凄い。

文字通りに、まるで切り裂くような鋭い音色が空間を飲み込んでいきます。

いわゆる「カミソリギター」が本領を発揮。

マティアス・ヤプス(Gt)のリードギターも、オブリがかなり自由に動きまくっていてオシャレ。

ただ目立ち過ぎて、オブリの本質である引き立て役は成立していないかもしれません。笑

コーラス部分に入ると、2人で音を合わせてズンッと響くようなリフを奏で、この曲を極限まで昇華。


実はロックバラードの比率も多いScorpionsが、世間的にはHR/HMバンドとしての印象が強いのは、この曲のイメージがリスナーの心に強烈に焼き付いているからかもしれませんね。


縦横無尽に動き回るギターサウンドを聴いてみてください。



それでは。






レミオロメン『粉雪』

今日はレミオロメン『粉雪』について。


この曲は日本のロックバンド、レミオロメンが2005年にリリースしたポップバラードです。

沢尻エリカ薬師丸ひろ子錦戸亮が出演したことでも知られるドラマ「1リットルの涙」の挿入歌としても有名。

作詞・曲ともに藤巻亮太(Vo)。


リリースから10年以上経った現在でも根強い人気を誇る曲。

特に発表したての頃は、別に冬じゃなくても日本中のカラオケでこの曲が歌われていましたよね。

男性が好きな女性へのアピールの為にこの曲をいれることも多かったようです。笑


曲自体はあまり大袈裟な手法は用いず、必要な音だけを使って感情を表現しているイメージです。

とはいえ、構成が単純なわけではありません。

たとえばイントロでは、ドラムのバスとタムを叩く順番が一般のポップスのそれとは真逆になっていたりと、さりげない工夫が散りばめられています。

『粉雪』というと、そのあまりにも美しいサビメロばかりがフューチャーされがちですが、それが際立つのもこういう細かな作業がメインをしっかり引き立たせているからなんでしょうね。

ちなみに以前GacktT.M.Revolution西川貴教が番組でこの曲を歌っていましたが、あまりの素晴しさに何度もネット映像を巻き戻して見ていた思い出があります。笑


何より味わい深いのは、詩人藤巻亮太の作詞センス。


「粉雪 ねえ 永遠を前にあまりに脆(モロ)く(Ah ah ah ah ah-)」
「ざらつくアスファルトの上 シミになってゆくよ」

内容自体は、想いのすれ違いで離別してしまったある恋人同士の、男性側の気持ちを描いたもの。

一部のファンの間では、「気が付けば雪のように消えてしまう、恋愛関係の儚さ」を比喩して『粉雪』と名付けた、と解釈されています。

「心まで白く染められたなら」も、「付き合い始めの、純粋に楽しいだけだった頃に戻りたい」という意味なのかもしれませんね。


「それでも 僕は君のこと 守り続けたい」

おそらくはもう叶わないとみられる願いを、悲鳴をあげるような高いキーで歌う藤巻の歌声は力強いのに、不思議と脆く綺麗な『粉雪』の映像が似合う声になっていると思います。


2008年11月に日之内エミによってシングル「片想い」のカップリングとしてカバーされ、
2013年にBENIによってシングル「粉雪」、アルバム『COVERS:3』の収録曲としてカバーされているので、そちらもオススメです。



それでは。