シン・リジィ『Waiting For An Alibi』
今日はThin lizzy『Waiting For An Alibi』について。
アルバム「Black Rose: A Rock Legend」収録。
この曲は、アイルランドのロックバンドThin lizzyが1979年に発表したロックナンバーです。
軽快で濃密なロック。
序盤からベースがかっこいい。
フィル・ライノット(Vo/Ba)がトリッキーなプレイを聴かせてくれます。
この曲というかThin lizzyの曲全般にいえることですが、フィルのベースはプレイがとても的確。
ストレートなプレイも変化的なプレイも、ぶれること無く安定感を保ちます。
フレージングセンスも演奏力も兼ね備えた、スターベーシストの1人ではないでしょうか。
この曲のクライマックスは、なんといってもギターソロ。
スコット・ゴーハム(Gt)とゲイリー・ムーア(Gt)の鮮やかなツインギターです。
ソロの前半部分でスコットが衝撃的なソロでこちらの気分を盛り上げてくれ、ソロの後半部分でゲイリーが最高のタイミングでスコットのソロに絡んでくれます。
ギターを使ったクラシックデュオのようです。
一見爽快系にも聴こえますが、集中して聴くと影のあるメロディが流れているのも印象的。
洋ロックと、日本のポップのおいしいところだけを切り取って混ぜたようなイメージでしょうか。
ロック絃楽器のかっこよさを感じたい人に是非オススメしたい曲ですね。
それでは。
中島美嘉『雪の華』
この曲は、日本の歌手中島美嘉が2003年にリリースしたポップバラードです。
明治製菓「boda」「galbo」のCMソング。
また発売以降毎年、『冬うた名曲ランキング』など各冬うたランキングに選ばれています。
曲はピアノの伴奏から始まり、中盤でドラムが入る、後半ではさらに柔らかなストリングスが加わる、という日本人好みな展開。
中島美嘉のハスキー気味に少しだけ震えているように歌う歌唱法が、かえって曲の主人公の愛の強さ、深さを強調してくれています。
ちなみに日本のみならず海外でも評価が高い曲で、KBS第2テレビで放映のドラマ『ごめん、愛している』の主題歌にパク・ヒョシンの曲が使用されて大ヒットを記録ましたが、この曲は「雪の華」をカバーしたもの。
国内においても徳永英明や森山良子などそうそうたる面々にカバーされています。
儚げな曲調とは反比例するように、歌詞は芯が強いもの。
「甘えとか弱さじゃない」
「ただ, キミを愛してる」
相手に頼りきるわけじゃなく、むしろ相手の為に何かしてあげたい、という想い。
混じりけの無い純粋な愛が込められた詞は、第45回日本レコード大賞金賞および作詩賞まで受賞しました。
人を愛することの苦しさも喜びも感じることができる歌ではないでしょうか。
これ以外の曲にもいえることですが、個人的には中島美嘉の歌声は、こういう「祈り」のような歌詞にこそ合うと思います。
雪のように純白な愛が込められた曲を聴いてみてください。
それでは。
石井竜也『River』
今日は石井竜也『River』を聴いた感想を。
この曲は、日本のポップミュージシャン石井竜也が2003年にリリースしたポップバラードです。
保志総一朗、三石琴乃、子安武人が出演したことでも知られるアニメ「機動戦士ガンダムSEED」のEDテーマだったことでも知られています。
一見落ち着いているようで、情感溢れる曲。
アダルティな音色のアコギにのる、石井竜也の歌声が絶品です。
基本的には囁き声で歌っていますが、サビの盛り上がる部分で、瞬間的にかなり高いキーがグンッと迫ってきます。
倍音が濃厚な為、体感的な迫力が強い。
いわゆる「泣き」が特徴的な歌メロではないでしょうか。
詞は大人な雰囲気の曲調を、 まるでそのまま表したようなもの。
「そう 愛が全てを助けるとは 思わない」
「だけど君の微笑み 心を癒すその唇に」
「立ち上がる勇気を もらうのさ」
冷たさと情熱を兼ね備えたような言葉。
元々作詞・作曲者の石井竜也が
「つらいとき、自分にしか救いを求められない」
という考えをテーマに生み出した曲のよう。
基本的には若者向けのアニメである「ガンダム」で「愛が全てを助けるとは思わない」と言い切るのはある意味凄いですよね。
しかし一方で、
「大見えを切らなくてもコツコツと自分なりに生きていく尊さ」
の想いも込めた、とも語っています。
それが「君の微笑みに立ち上がる勇気を貰う」というフレーズに繋がるのかもしれません。
1つのメロディ、詞に様々な明暗が織り混ぜられた多面的な魅力がある曲だと思います。
時間が経っても消化しきれない、辛い思いをした時に聴くと響く歌ではないでしょうか。
ちなみに「RIVER 〜GUNDAM SEED EDITION〜」には3曲もの別アレンジverが入っていますがそちらもオススメです。
それでは。
グレイト・ホワイト『Save Your Love』
今日はGreat White『Save Your Love』について。
アルバム「Once Bitten」収録。
この曲は、アメリカのHR/HMバンドGreat Whiteが1987年に発表したロックバラードです。
鮮やかながらもすっきりとした曲。
HR/HMバンドのバラード曲としては音数が少なく、その分ジャック・ラッセル(Vo)の歌声が引き立つ構成になっていると思います。
まるで振り絞るような歌声が
「君の愛を保ち続けてほしい」
と、ひたすら懇願し続ける詞とマッチしています。
全体に散りばめられた、アコギのアルペジオがとてもきらびやか。
あえて弾きまくらず必要最低限な音だけで作られたメロディは、むしろ彼らの作曲力の高さを示してくれていると思います。
どこを切り取っても上質な甘く切ないメロディですが、特にラストの「SAVE ALL YOUR LOVE!」の叫びは、一種のカタルシス。
さっきまで中性的な歌い方で歌っていたジャックが、最後に一気に感情を剥き出しにする様は、聴き手に心地いいインパクトを与えてくれます。
ある意味では「激しい」バラードなのかもしれませんね。
聞くところによるとジャック・ラッセルと彼自身の友人による共作だそうですが、一体その「友人」とは何者なんでしょう。笑
こんな良いバラードを作れる友人って…。
静寂とエモーションを兼ね備えた曲を聴いてみてください。
それでは。
THE BOOM『島唄(オリジナル・ヴァージョン)』
今日はTHE BOOM『島唄(オリジナル・ヴァージョン)』について。
この曲は日本のロックバンドTHE BOOMが1993年にリリースしたロックバラードです。
非常に「平和」的な曲。
ロックバンドでありながら三味線を使用した表現は、当時の日本には珍しく話題になりました。
音階にも沖縄民謡のそれが使用され、聴いていると優しく吹く風に包まれていくような感覚を覚えます。
癒しの音楽と言えるのではないでしょうか。
一見するとほのぼのとした世界観。
しかし実際には、作詞・作曲者の宮沢和史(Vo、Gt)が「ひめゆり平和記念資料館」を訪れた際に受けた衝撃を元に作られた、沖縄戦とその犠牲者への思いを歌った、いわゆる「鎮魂歌」。
宮沢自身はインタビューで
「20万人近い人が亡くなり、そのうち9万人は一般人で、集団自決などもあったという。こんな希に見る悲劇が身近にあったことを、恥ずかしながら僕は知らなかった。」
「だけど、僕みたいに知らない人がいっぱいいるんじゃないかと。伝えていかないといけないと思ったし、鎮魂の意味も込めて、そういう話を聞かせてくれた戦争で生き残った人たちに聞かせる歌を作りたかった」
と語っています。
詞も
「ウージの森で あなたと出会い」
(サトウキビ畑で 、愛するあなたと出会った)
「ウージの下で 千代にさよなら」
(サトウキビ畑の下の洞窟で、愛するあなたと永遠の別れとなった。)
と、当時の沖縄の状況ををリアルに描いたもの。
実はとても痛切な曲です。
しかしその戦争の悲しみを描いた歌詞は、夏川りみ、ダイタナ・キングを含む国内外を問わず多くのアーティストに親しまれ、リリース後の20年間で100組近いアーティストにカバーされました。
また、アルゼンチンでアルフレッド・カセーロが日本語のままカバーした「SHIMAUTA」が2001年に地元で大ヒット。
最終的にはサッカーの2002年日韓ワールドカップ・アルゼンチン代表チームの応援曲にまで起用されています。
平和を望む心、亡くなる人を悼む想いは万国共通、と言えるかもしれませんね。
ちなみに「シンフォニック・オーケストラver」を含む他のバージョンもあるので、そちらもとても美しくオススメです。
それでは。
B'z『Calling』
今日はB'z『Calling』聴いた感想を。
この曲は、日本の音楽ユニットB'zが1997年にリリースしたロックバラードです。
安達祐実、田辺誠一、松本恵が出演したことでも知られるドラマ「ガラスの仮面」主題歌。
斬新な展開の曲。
出だしはハードロック調のリフで、そこから一気に勢いを落としてバラード調のピアノ曲に変貌。
ラストには再びロックに戻っていきます。
洋楽のHR/HMとポップスを足して2で割ったような曲調でしょうか。
元々は別々の2つの曲を1つにまとめた作品だそうてすが、ベースは松本孝弘(Gt)が個人的に友達の結婚式のために書いた曲とのこと。
しっとりしたメロディから激しい曲が始まる、という展開は他のバンドにもありますが、逆にバラードの部分をロックで囲む、という発想は珍しいと思います。
バラードでありながら、始まりで速弾きが導入されているのもユニークです。
また、詞の内容もパート毎に変化が。
ロック調の時は「この声が聞こえるかい」と“今”の想いを
バラード調の時は「街の色も変わり続ける中で なんだか今もいっしょにいる」
と“過去“の想いが綴られています。
稲葉浩志(Vo)の発声も器用に使い分けられているのが見事。
彼の表現力とテクニックの幅広さを一曲で味わえる楽曲です。
メロディアスさとインパクトを兼ね備えたバラードを聴いてみてください。
それでは。
オジー・オズボーン『Crazy Train』
今日はOzzy Osbourne『Crazy Train』について。
アルバム「Blizzard of Ozz(邦題.ブリザード・オブ・オズ~血塗られた英雄伝説)」収録。
この曲は、イングランドのHR/HMミュージシャンOzzy Osbourneが1980年に発表したハードロックです。
「心の傷は癒せない」
「人生そのものが苦い恥」
歌詞が「自分はもう限界だ」とでも言うようなネガティブなもの。
一般的にはHR/HM自体、「そういう恥を乗り越えてやる!」みたいなところがあると思うんですけど、まるで自身の心が折れたことを素直に吐き出したような詞です。
そもそも「恥」という言葉自体、HR/HM曲の歌詞に使われることは少ないのではないでしょうか。
けれど曲調自体はやんちゃなぐらいハイテンション。
リフが軽快で、スカッとした朗らかさがあります。
そのリフと16ビートのドラムが絡むと、こちらがどんどん明るい世界に引き込まれていくような感覚を覚えます。
タイトルの通り列車が走っているようなドライブ感です。
極めつけは、ランディー・ローズ(Gt)のギターソロ。
緻密に試行錯誤しないとまず出てこないようなフレーズ。
元々ランディは時折マイケル・シェンカーを連想させるようなテクニカルで、エネルギッシュなソロを弾くギタリストだったと思いますが、これはその典型のようなソロです。
センスもメロディも両方素晴らしい。
残念ながら25歳の若さで飛行機墜落事故で亡くなってしまったことが惜しまれます。
もう二度と叶わないにしても、また彼とオジーが共に生み出す作品が聴きたいですね。
ブラック・サバス時代とはまた違う味のあるオジーの曲を聴いてみてください。
それでは。