音の日

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Dir en grey『Ranunculus』

今日はDir en grey『Ranunculus』を、聴いた感想を。


アルバム「The Insulated World」収録。

この曲は日本のロックバンドDir en greyが2018年に発表したロックバラードです。


世相批判的な歌詞が印象的な曲。

『人を失う怖さから』
「 いつの間にか自分を 誰かの様に嘘で騙した」

「人間を被る」の時からそうでしたが、近年の京(Vo)は以前にも増して「社会では自分を出すと、人扱いされない」のそんな哀しみをテーマにした歌詞が増えてきた気がします。

前にインタビューで「(歌詞は)書きためる事はせず、その時その時に思っている事をそのまま書く」という趣旨の発言をしていましが、現在の京は「社会で自分を出しきれない人達」に痛心しているのかもしれません。

「憎む為じゃないだろ?誰かの為に今日も笑うの?」
「叫び生きろ 私は生きてる」

京が一番言いたかった事はこの部分でしょうか。

「本当は怒りたい時も泣きたい時もあるのに、それだもあなたは周りの為にニコニコ笑っている。それは1つの美徳だろうけど、それだけを繰り返して終わっていいのか?」

「言いたい事があるならはっきり言え。少なくとも自分はそうして生きている」

というとてもシビアなようで優しいメッセージ。

京と言えばメディアでも、他人や他ミュージシャンバンドの事を好きなものは「好き」、嫌いなものは「嫌い」、興味ないものは「興味ない」と言いたい事をはっきり口に出す人で有名。

その京からすれば様々な抑圧の中で生きている一般的の人達が、とても息苦しい生き方をしているように見えるのかもしれません。

とは言え、いきなり普通の人が、京ほど本音を出して生きるというのは難しいと思いますが、「今よりほんの少しだけ正直に生きよう」と解釈すれば、この歌詞の内容がリスナーにとっても身近になるのではないでしょうか。

数年前にホリエモンの著書「本音で生きる」がヒットしたように、僕達一般人も少しだけ素直な場面を持ってもいいのかもしれません。


音楽的には、ディルの曲としてはかなりオーソドックス。

今まで見せてきたヨーロッパの宗教音楽的な要素は鳴りを潜め、ハイトーンである事以外は王道のロックバラードになっています。

デスボイスを抑え、メロディ重視で進む展開はデビュー当時のDir en greyのよう。

どことなくLuna Seaのバラードを連想させる所が「初期」っぽいです。

ディルと言えば世間的にはシャウトやサイコスティックな世界観が注目されがちですが、こういう素朴なメロディセンスがもっと評価されても良い気がします。

まぁ、あまり多くの人から好かれようとは思わないのが彼らなのかもしれませんが。笑


オーソドックスなようで、どこか彼ららしい曲を聴いてみてください。



それでは。