音の日

好きな音楽、その他趣味のこと

ローリング・ストーンズ『I Can't Get NoSatisfaction』

今日は The Rolling Stones 『I Can't Get NoSatisfaction』について。



この曲は、イギリスのロックバンドThe Rolling Stonesが1965年にリリースしたハードロックです。

映画「地獄の黙示録」のOPテーマとしても有名。


上質なダンスミュージックのような曲。

軽快なのですが軽薄では無く、渋いのに古臭くはないクラシックロックです。

このミック・ジャガー(Vo)の、フラットな声が良い。

「Rip This Joint」の影響か、ミックというと激しいシャウトを連想する人も多いかもせれませんが、本作はベルカントでの歌唱が主体。

普段の「アァーーッ!!」や「イェイッ!」などのフェイク(?)を入れまくるミックもかっこいいですが、この人は普通に歌っても味がありますね。

シンガーとして少しタイプは違いますが、イアン・ギランも、裏声シャウトも地声の歌声もかっこいいボーカリスト

ジョン・レノンもそうですが、声色による多彩な表現というのは、愛されるロックシンガーの法則ですよね。

ロックの根源的な魅力を感じさせてくれる歌声です。


そしてキース・リチャーズ(Gt)の超有名リフ。

特に複雑な動きではないのですが、一聴しただけでも覚えられる素朴な構造。
それでいて最高の歌心のリフです。

ロックを聴かない人でも知っていて、ロックに興味が無い人さえノらせる、シンプルな濃密さを堪能させてくれます。

イントロも覚えやすい為か、聴いてすぐ耳にすっと馴染む、小悪魔的な親近感がユニーク。

その流れから、このキャッチーでミドルテンポのリフに入られると、反射的にリズムにノりたくなる、嫌味の無い陽気さに呑み込まれるかのよう。

おそらく後年のクラブミュージックは、直接的にせよ間接的にせよ本作から多大な影響を受けているのではないでしょうか。

60年代の曲なのであまり音質は優れていないのですが、逆に言うと、それなのにこれだけのパワーと熱量を放出できるところが偉大。

ストーンズのクリエイティブさと、スケールの大きさを思い知らせてくれる曲です。

バンド演奏での、ハードボイルドなトランスミュージックを楽しんでください。



それでは。






ガルネリウス『Silent Revelation』

今日はGALNERYUS『Silent Revelation』を聴いた感想を。


アルバム「Advance To The Fall」収録。

この曲は、日本のHR/HMバンドGALNERYUSが2005年に発表したパワーメタルです。


火力とナイーブさを併せ持つ曲。

Syu(Gt)が好きなバンドであるXjapanの伝説的名曲
「Silent jealousy」の影響か、バラードピアノからの疾走や、高速パートとスローパートの繰り返しなど、ドラマティックな構成になっています。

やはりYAMA-B(Vo)の歪みがかかった歌声はかっこいい。

サビにおいてはヘッドボイスによる超高音シャウトの連発。

金属が強く擦れあったような叫び声で、スラッシーなまでのパンチ力でリスナーの鼓膜に攻めこんでいきます。

JUNICHI(Ds)のドラムソロからこのサビになだれ込む構成で、サビの衝撃がぐんとアップ。

手数も間の置き方も、全てがフィットしていて、そこまで派手じゃないのに、渋い存在感を放っています。

中間においては変拍子のビートにのる、ガルネリウス名物Syuのテクニカルギター。

複雑なフィンガリングを、スピードを維持したままこなす様は驚嘆。

本人は「ガルネリウスはテクニックを売りにするバンドではない」と何度か公言していますが、これだけ巧いとどうしても意識を持っていかれてしまいますね。笑


そしてその後。

悲しみが含まれたメロディが一転、一気に爽快な旋律に変化。

この前半はネガティブ→後半はポジティブ、な流れはスピードメタルの王道の展開ではありますが、それをここまでナチュラルに使いこなす作曲センスは流石。

ラストのYAMA-Bの「サイレントレボリューションッ!」の超絶シャウトは本作のシメに相応しいパワーです。

「終わりよければ全て良し」という言葉がありますが、むしろ「過程が良いから終わりも良くなる」と思わせる、見事な楽曲展開力。

演奏が巧いバンドは曲がつまらなかったり、逆に曲は良いのに演奏は巧くないバンドはパワーメタル界には少なくないんですけど、演奏も歌声も作曲も高次元という、ガルネリウスが世界的に見ても数少ないバンドである事を感じさせてくれる作品です。

激情的な歌声と、絹の繊細さを持つ演奏のコントラストを楽しんでください。



それでは。





パンテラ『Cowboys from Hell』

今日はPantera『Cowboys from Hell』について。


アルバムを「Cowboys from Hell」収録、

この曲は、アメリカのHR/HMバンドPanteraが1990年に発表したスラッシュメタルです。


ダイムバッグ・ダレル(Gt)の奏でるリフがクールな曲。

リフメイクもダンサブルでかっいいのですが、そもそもサウンドが激重で、一聴しただけでもダレルのそれだと解るエネルギー量を誇っています。

レギュラーチューニングでこの重さを出せるプレイヤーは、メタル界でも貴重。

しかもツインギターが多いHR/HM界ではやや珍しく、ダレルは基本的に一人ギター。

2人ギターでリフの音を重ねたりはしないのですが、にも関わらず並のツインギターバンドを凌ぐ厚さ。

更にライブにおいては更に重さを増す、という。

真空管アンプ使用が通例のロック界でソリッドステートを使用していたり、音へのこだわりが非常に強いギタリストではありますが、その意識の高さがこの凶暴&丁寧なサウンドを生み出しているのでしょうね。

ギターソロ後のレックス・ブラウン(Ba)とのコンビネーションは至高。

いわゆる「キメ」のシーンですが、リフでリスナーの気分を盛り上げ、ソロで更に盛り上げ、そして後半ではユニゾンでトドメを刺す。

豊かな音色が、劇的な構成にのって迫ってくる様は圧巻です。


そしてフィル・アンセルモ(Vo)のハイトーンシャウトも凄い。

デビュー当時のあまりに激しい発声の為か、後に少し声が枯れがちになってしまい、今ではキーの高さよりも濃密な中音域を武器にしたボーカリストなのですが、だからこそ若い頃の力強いハイトーンも「ならでは」の感覚で聴く事ができます。

「僕は“歌える”という贈り物をもらって生まれてきたと思ってる。初期のパンテラでは、いつも歌うことが出来たよ」

フィルの言う「歌える」の意味の解釈は難しいですが、メジャー最初のアルバム収録曲の本作は、「いつも歌えていた」頃のフィルの歌声が聴ける曲。

シンガーとしては駆け出しだったフィルの、何かを感じられる声です。


後のモダンへヴィネス・ブームの走りと呼ばれる曲を聴いてみてください。





山下達郎『SPARKLE』

今日は山下達郎が『SPARKLE』について。


アルバム「FOR YOU」収録。

この曲は、日本のシンガー・ソングライター山下達郎が1982年に発表したポップロックです。


バック演奏が際立つ曲。

この曲の華はなんと言っても、いわずとしれた山下達郎のカッティング。

若い時から大好きなソウルミュージックにルーツを持つとされる山下達郎のリフセンスが輝いています。

元々山下達郎自身が、とあるフェンダーテレキャスターのギターを手に入れたら、それをあまりにも気に入り過ぎて、「このギターを活かした曲を作りたい」という想いの下に作った曲。

以降、山下達郎のほぼ全てのレコーディングに使用される程愛用されるギターなのですが、その澄み渡りながらも品のある音色が、山下達郎のスムーズなピッキングと相まって、唯一無二と言える透明感を演出しています。

「ギタリストは音色が9割」と言う人がいますが、やっぱり基本のトーンが美しいギタリストは本当に素晴らしい。

1音だけで楽曲の世界を表現したような深いサウンドです。


隠し味は、国内でも名手として知られるベーシスト伊藤広規と、今は亡き日本屈指の名ドラマー青山純というリズム・セクション。

サウンドは軽やかなのに、音の輪郭がクッキリハッキリととしていて、良い意味でリズム隊らしからぬ存在感を発揮しています。

歌詞、メロディともにハイクオリティですが、元が楽器ありきで生み出された作品だけあって、全体的にトーンが清々しい。

歌と言うと、詞や旋律がいかに良いかに焦点が集まりやすいですが、本作は「音」そのものの美しさが優先されたイメージ。

音楽の楽しみ方は、本当に多様なのだという事を思い出させてくれる楽曲です。

珍しい、詞先、曲先ならぬ「楽器先」の曲を聴いてみてください。


それでは。





Gackt『Mizérable』

今日はGacktMizérable』を聴いた感想を。


ミニアルバム『Mizérable』収録。

この曲は、日本のソロアーティストGacktが1999年に発表したシンフォニック・ロックです。


ソロデビュー後のGackt曲の中では、かなりハードロック色が強い曲。

作詞作曲ともにがあるですが、MALICE MIZER時代を連想させるゴシックロック感がありながらも、MALICE MIZERともまた少し毛色が違う所があります。

まず演奏の時点で、ベースに「クワイエット・ライオット」の チャック・ライト。

更にドラムに「ヴェルヴェット・リヴォルヴァーマット・ソーラム」といった洋HR/HMファン垂涎モノの人選。

音色がバシッとしていて、邦ポップス界ではなかなか聴けないアクロバティックな音を聴かせてくれます。

現在ではバラードやソフトなポップ曲を出す事が増えたGacktですが、やっぱりハードな演奏の中で歌うGacktもかっこいいですね。


そしてそのGacktの歌い方もやや硬質。

ソロデビュー前は、どんなに激しい曲の中でもGacktが幼い頃から学んでいた声楽に基づいた、なめらかで拡がりがある声で歌っていた印象。

しかしこの『Mizérable』では、かなり攻撃的で、厚みのなかにも棘がある発声で聴き手を圧倒するような歌声に変わった印象があります。

特にサビでの「廻る 廻る」のでの発声は圧巻。

キーはさほど高いわけではありませんが、Gackt特有のキーよりも厚みを重視した歌い方で、聴き手に突風で煽られたような圧力を打ち込んできます。

攻撃的なのですが、イントロでの美し過ぎるバイオリンソロなど、彼得意のシンフォニックな美麗さがある為、乱暴な感じはしません。

彼の持つクラシック理論の知識によるものなのかMALICE MIZER時代に磨いた感性なのか解りませんが、新しいGacktと従来のGacktの美点が融け合った佇まいが漂う所が良い。

新しい表現を求めながらも、昔ながらの見識も活かす。

賢いGacktらしい作品です。


ソロデビュー第1作目。

MALICE MIZERのテイストと、「Gackt」のテイストが50:50で混ざっている曲を聴いてみてください。



それでは。





AC/DC『Back in Black』

今日はAC/DC『Back in Black』について。


アルバム「Back in Black」収録。

この曲はのオーストラリア出身のHR/HMバンドAC/DCが1980年に発表したハードロックです。


伝統的なロックそのものな曲。

ロックの教科書があったら間違いなく掲載されるてまあろう、お手本のようなクラシック・ロックです。


ライアン・ジョンソン(Vo)の歌声が強烈。

この曲が収録されたアルバムから加入したボーカルですが、ザ・HR/HMな金属的シャウトは、前任のボン・スコットのシャウトに優るとも劣らないパンチ力を誇ります。

ボンのシャウトが、超がつくほどのハスキーボイスだとすれば、ブライアンのそれはまるでジャンボジェット機の発進音のような鋭いメタルボイス。

似てるようで違うスタイルで、それでも違和感なくAC/DCの世界が表現できているのは、彼自身のポテンシャルのなせる技。

ボンとは同工異曲な魅力が伝わってくる歌声です。


そしてやっぱり好きなのはマルコム・ヤング(Gt)の奏でる強靭なリフ。

アンガス・ヤング(Gt)の2度に作り込まれたソロ×2も良いのですが、この曲、このジャッジャッとした
スタッカート気味なリフがかっこいい。

マルコムの派手なソロと比較すると極めてシンプルな作りなのですが、リズムと音圧が、ちょうど人が最もエキサイトできるポイントを突いていて、「気がつけば好きになっていた」的なナチュラルな中毒性を発揮しています。

一聴とダンサブルにも聴こえますが、レッド・ツェッペリンの「移民の歌」もしかり、素晴らしいロック曲は聴きながら体を動かしたくなるような要素もあるかもしれません。

その辺もまた古き良きロック、な感じがしますよね。

基本を極限まで正確になぞると、不思議と唯一無二な感じがする事を教えてくれる曲を聴いてみてください。



それでは。





BUMP OF CHICKEN『プラネタリウム』

今日はBUMP OF CHICKENプラネタリウム』について。


この曲は、日本のロックバンドBUMP OF CHICKENが2005年にリリースしたポップロックです。


切なくも凛とした歌詞が光る曲。

「やめとけば良かった 当たり前だけど 本当に届いてしまった」
「この星は君じゃない 僕の夢 本当に届く訳無い光」
「でも 消えてくれない光」

プラネタリウムという、架空の星に手を触れる事の空しさを、恋人の気持ちを解ったつもりになる事ができても、本当に理解するのは難しい、という空虚感に例えた歌詞。

それでも「きっと理解できる筈(消えてくれない光)」という希望も捨てきれない。

そんな悲しくも強いメッセージが込められています。

ただ闇雲にネガティブを唱えるわけじゃなく、世間の人々が思っていてもなかなか口に出す機会はない、独特な日常系の歌詞を書くのが藤原基央(Vo)本当に上手い。

基本的にツアー終わりは家に引きこもってゲームと作曲を繰り返しているそうですが、その中での内省の積み重ねがこういう真に迫る歌詞を生み出せる秘訣なのかもしれませんね。

「吟遊詩人」の異名をとる藤原基央の真骨頂を感じられる詞です。


楽曲的にも秀作。

アナログシンセサイザーの導入など、古い楽器で新しさを表現した、挑戦心溢れる内容になっています。

過剰な激しさもなく、音数もまとまっていて清々しい。

変化の少ないボーカルのメロディラインは、まるでミドルテンポでのビートルズの「Let It Be」。

この純粋なメロディが、手の届かない存在への憧れる少年のような尊さを放つ歌詞になぞらえたものだとしたら、最高のバランス感覚だと思います。

この辺は作詞・作曲者が同一人物の作品の強みですよね。

素朴で濃密な楽曲を聴いてみてください。



それでは。