アングラ『Spread Your Fire』
今日はAngra『Spread Your Fire』について。
アルバム「Temple of Shadows」収録。
この曲は、ブラジルのHR/HMバンドAngraが2004年に発表したネオクラシカルメタルです。
「EDENBRIDGE」のサビーネ・エルデスバッカーがレコーディングに参加した事でも話題ななりました。
一般にネオクラに求められるものが全て詰まっている曲。
劇的な展開、美メロ、テクニックが器用に一曲にまとめられています。
特に目立つのは展開。
ゆったりしたオーケストラメインのイントロから一転、スピードメタル調の激速ビートに様変わり。
クラシカルな演奏から一気にメタル調、という流れは日本のネオクラシカルメタルバンドの代表格Xjapanの「紅」、「Silent Jealousy」を連想させます。
現代ではネオクラ系バンドの王道的な流れですが、アングラの場合凄まじいのは使用されている、その高すぎる技術。
特に中間部分での音速オルタネイトピッキングはそんじょそこらのバンドでは聴けないレベルで、その難易度はヤングギターにおいて最高ランク認定の「ライオンマーク」を授与されたほど。
昔の音楽評論誌では、よくミュージシャンを評する時に「ミュージシャンの~は技術はあるが、個性がない」という文言が使用されますが、その技術もここまで突き詰めれば、もはや「オリジナリティ」だと思います。
リズムが全くぶれずに噛み合うツインでのプレイパートも鳥肌もの。
そしてもう1つのアングラらしさとして、キャッチーなサビメロ。
そのメロディアスさは、彼ら自身が生み出したネオクラシカル界の教科書「Carry On」、「Nova Era」 」に勝るとも劣らないもの。
そしてただでさえ美しいのにそこでクワイアが絡まり、大きな「スケール」が加わると、本作の熱量はクライマックスに到達します。
アングラといえば世間では前述の「Carry On」、「Nova Era」ばかりが取り沙汰されがちですが、個人的にはこの曲の凄さにもっと目が向けられても良いと思ったり。
「 完成度 」という規格において間違いなくアングラ最高水準の曲です。
超絶技巧、メロディ、そして情熱が詰まったメタルを聴いてみてください。
それでは。