音の日

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久保田利伸withナオミ・キャンベル

今日は久保田利伸withナオミ・キャンベル『La la la Love Song』について。


この曲は、日本のシンガー・ソングライター久保田利伸とイギリスの女性ファッションモデル、ナオミ・キャンベルがリリースしたR&Bです。

木村拓哉山口智子竹野内豊が出演したことでも有名なドラマ「ロングバケーション」主題歌。


久保田利伸が偶然、エスカレーター内でナオミ・キャンベルと居合わせ、意気投合したことから生まれた本作。

ポップなメロディとR&Bのリズムが融け合い、絶妙なファンキーさを演出してくれています。

大胆にフィルターのかかったギターがかっこいいです。

それにしても久保田利伸は歌が上手い。

世間では大ヒットしたこの曲の売り上げ枚数のことばかり取り沙汰されがちですが、豊かな声量、スムーズな高音発声、ビシッと決まったリズム感。

死角なしの歌唱力を備えている歌手ではないでしょうか。

個人的にはこの声で、もっとバラード曲を歌って欲しいなぁ、と思います。


作詞者は作曲者同様、久保田利伸

「息が止まるくらいの甘い口づけをしようよ 一言もいらないさ とびきりの今を」
「勇気をくれた君に照れてる場合じゃないから
言葉よりも本気な La・la・・LOVE SONG」

ノリの良い曲調と合った、肉食系な恋愛ソング。

この曲自体は曲調も詞も明るく聴こえますが、実は久保田本人は歌いながら、相当悩んでいたもよう。

以前放送されたバラエティ番組「バズリズム」で明かされたエピソードによると

「この曲の、サビの最後の一番大事な部分の歌詞がどうしても浮かばず、締め切りが過ぎても結局納得いく歌詞が出てこなかった。
仕方なくその空白の部分を「ラララ」で埋めて出した。」
とのこと。

つまりは苦肉の妥協によって綴られた、未完成な歌詞だったようです。

彼自身は「その後の1、2年はものすごく罪悪感がありましたよ」と語っています。

作品に完璧を追い求めるような、ストイックな彼からすると、出来上がっていない作品を発表したばかりか、そのことで人から支持されているという事実に負い目を感じていたのかもしれません。

しかしその後、MCのバカリズムから
「それでも出しちゃえ、ていうのがファンキーじゃないですか」
「僕らからすれば、あそこはもう“ラララ”でしかないですよ」
とフォローが。

世間からも「仮に他の歌詞が思いついていたとしても、あそこだけは変えないほうがいい」という意見の方が多かったようです。


エンタメ誌のライターから「未完成で書いた部分が一番評価されているのだから凄いこと」と評されたように、「完璧じゃないからこその良さ」のようなものは、確かに存在するのではないでしょうか。

考えてみると、クラシック界でもシューベルトの「未完成交響曲」もあれだけ評価されているわけですから、「音楽の伝統」の範囲なのかもしれませんね。


確かな技術と、完成されていない美しさを持つ楽曲を是非聴いてみてください。



それでは。