イングヴェイ・マルムスティーン『Never Die』
今日はYngwie Malmsteen『Never Die』について。
アルバム「The Seventh Sign」収録。
この曲はスウェーデンのHR/HMミュージシャン、Yngwie Malmsteenが1994年に発表したネオクラシカルメタルです。
ジャカジャカ鳴りまくるリフがクールな曲。
イングヴェイ作の曲でリフがかっこいい曲は他にもあるのですが、その中でも「メタル感の濃さ」という意味において、この曲は1、2を争う鋭さを持っていると思います。
イングヴェイ作品というと超絶ソロが話題になりがち。
ですが本作をはじめ、実はリフが光る曲も多いんですよね。
サウンドも従来よりゴリゴリしていて、重戦車のような厚みを連想させます。
元来クラシックで使用されるコードをギターで、しかも超速弾きでプレイするいわゆる「ネオクラシカル」の生みの親としてのイメージが強い彼。
しかし作曲において、ジョー・リン・ターナーから「リフの引き出しが多い」と語られた事もあるように、リフメイカーとしての評価ももっと受けて良いギタリストではないでしょうか。
とは言ってもやっぱりイングヴェイの曲。
ソロにもどうしても耳がいきます。笑
いつも通り超速なのもさすがですが、今回はマッツ・オラウソン(key)のキーボードとのバトル。
まるでテープの早送りのようなイングヴェイのギターに、マッツの奏でる高級感のあるメロディが組み合わされ、ミステリアスでスリリングな世界が顕現されています。
その際ギターではスウィープが使用されているのですが、このプレイにはイングヴェイも自信を持っているようで、
「『Never Die』のソロは聴いてくれたでしょ?
長いパッセージでピッキングしてるやつ。
あんなことをしても問題ないほど回復したっていう証拠のプレイさ。」
と語られています。
実はこの曲のレコーディング前、むかし交通事故で負った右手の怪我を完治させる為の手術を行っているんですよね。
壮絶なリハビリの末に元の速さを取り戻した彼のギター。
本作は全盛期と同等かそれ以上のスピードを発揮しています。
その時の心境を表現したかったのか、曲のタイトルは『Never Die』(決して死なない)。
事故直後は神経レベルで痛めて、まともに動かなかった右手で1からギターの練習をしなおし、たった2ヵ月後にはまたステージでプロレベルの演奏を披露して関係者を絶句させた彼。
「『Never Die』っていうのは、結局は僕のテーマなのかもしれない」
本人がそう話すようにイングヴェイのアーティストとして、そして1人の人間としてのエネルギーが詰まった曲です。
そのあまりにも自由奔放な気質ゆえに、人間性には賛否両論あるイングヴェイ。
ですがプライベートでも四六時中ギターを持ち歩き続けるほどの生粋のギター好きの彼の、ギタリストとしての魂そのもののような作品ではないでしょうか。
これまでの従来の美しい作曲から、美しく熱い作曲に舵をきったイングヴェイ曲を聴いてみてください。
それでは。