キング・クリムゾン『Fallen Angel』
今日はKing Crimson『Fallen Angel』を聴いた感想を。
アルバム「Red」収録。
この曲はイングランドのHR/HMバンドKing Crimsonが1974年に発表したプログレッシブ・ロックです。
キング・クリムゾン式バラード曲。
クリムゾンと言えば、言わずと知れたプログレッシブ界の大御所。
本作においてもそれらしく、理知的なプレイも散見されますが、ジョン・ウェットン(Ba.Vo) の歌うポップな歌メロがポップで、トリッキーな中でもロマンが楽しめる構成になっています。
序盤では、ロバート・フリップ(Gt) が不協和音を鳴らし、あえてリスナーにスリルを与えた後、一気にフワッとしたメロディックなプレイになる展開。
その巧みの落差が良いです。
元々クリムゾンと言えば名曲「21st Century Schizoid Man」の影響か、強い歪みをかけたヘヴィサウンドで一世を風靡したバンドという印象があったバンド。
ですが、作ろうと思えばこういうポップとプログレロックを足して2で割ったようなエモーショナルな曲も作れる、という事を知らしめてくれた作品でもあります。
ファンの間では有名な話ですが、本作収録アルバムを最後に
ロバート・フリップ(Gt)、 ジョン・ウェットン(Ba.Vo) 、ビル・ブルーフォード(ds)
このメンバーによるキング・クリムゾンは活動を終了します。
あるいはそんな心境を反映してか、メロディーがとても虚しげで、聴いているとまるで、疲弊しきった誰かがとぼとぼと歩んでいるような情景が浮かぶよう。
裏で流れているメロトロンとオーボエの旋律が切なさに彩りを添えていて、鮮やかなニヒルさを演出しています。
サビに入った時のウェットンの声と、サックスの緒との絡みは最高。
サックスを組み込むプログレバンドのバラード曲と言えば、後のドリーム・シアターの名バラード「Another Day」がありますが、それより少しダークでありながら勝るとも劣らない美しさを発揮しています。
歌詞の内容が「貧民街暮らしの主人公の少年の弟が、他の子に殺害される」という内容ですが、フリップの奏でる硬質なギターサウンドが、主人公の心の悲鳴のようで、ふんわりと切なさを語るサックスと好対称。
落ち着いた曲調なのに、激情のような感覚を感じられる曲です。
知性の殻に豊富な感情が詰まったバラードを聴いてみてください。
それでは。