ガンマ・レイ『Lust for Life』
今日はGamma Ray『Lust for Life』について。
アルバム「Heading for Tomorrow」収録。
この曲は、ドイツなHR/HMバンドGamma Rayが1990年に発表したパワーメタルです。
スリリングで華やかな曲。
イントロのギターのタッピングからドラムの連打など、まるでピリピリと締め付けるような畏怖を感じさせてくれます。
ラルフ・シーパース(Vo)の声はこの当時から見事。
前任のバンドはあったにしても有名バンドメンバーとしては、本作収録アルバムはラルフのメジャーデビュー作。
その晴れ舞台で多くのメタルファンの度肝を抜いた歌唱が楽しめます。
多くのハイトーンメタルシンガーが、年齢を重ねると声域が狭くなっていくのに対して、ラルフはデビュー30年以上経った現在でもこの声を維持。
長年シャウトし続けていても声の艶を失わない、理想的な発声法を、この当時からシッカリと身に付けています。
ガンマ・レイファンの中のバンドボーカル経験者からも「何から何まで完璧」と語る人もいて、HR/HM系、というよりロックボーカルのお手本のようなクオリティの、整った歌声です。
本作はカイ・ハンセンがボーカルで録音し直したリマスター版もありますが、クセ重視のリスナーはカイ版が、テクニック重視のリスナーはラルフ版の方がハマるのではないでしょうか。
本作のもう1つのメインパートは、そのカイ・ハンセンのギターソロ。
2分以上にもなる、「これだけでインスト曲として成立するのでは?」と思うほど尺が長いプレイ。
なのですが、とても美メロで激しい。
それでいて起伏に富んだ展開の為、全くダレるという事がありません。
中には、おそらくレインボーにインスパイアされたと思われるフレーズもいくつかあって、偉大な老舗バンドへのリスペクトを感じます。
ですがレインボーのリッチー・ブラックモアがレインボー期は歪みの少いクリーンなトーンで演奏していたのに対して、本作はカイ特有の硬質で凶暴な音色の為か、似たフレーズでも少し毛色の違う世界観である事が特徴的です。
美しいメロディなのに音色は叫んでいるイメージでしょうか。
この音が前述の起伏のある展開と絡む事で、緻密な展開と激しいトーンの共演を楽しむ事ができます。
長いのに不思議と冗長ではない、厚みのあるソロです。
カイがハロウィンを脱退し、その後に結成されたガンマ・レイのデビューアルバム収録曲。
その世間からのハードルが上がりまくっている時期に、そのハードルをあっさりと乗り越えて見せた曲を聴いてみてください。
それでは。