ノクターナル・ブラッドラスト『Malice against』
今日はNOCTURNAL BLOODLUST『Malice against』を聴いた感想を。
アルバム「ZēTēS」収録。
この曲は、日本のHR/HMバンドNOCTURNAL BLOODLUSTが2016年に発表したメタルコアです。
もの凄い演奏力。
一時期ヴィジュアル系というと「外見先行で演奏が上手い人が少ない」という声もありましたが、このバンドのこの曲で使用されているテクニックは別格。
ブラストビート多用の高速ドラムに、多弦のギター、ペースがのって、鮮やかなド迫力サウンドを演出しています。
本作の芯は、なんと言っても多彩さ。
基本的にはメタルコアだと思いますが、リズムパターンの急激な変更。
そこにシンフォニックサウンドの導入など、同じバンドが演奏しているとは思えないほど、多くのアプローチが共存しています。
尋(Vo)の声のレパートリーも凄い。
デス声、超低音のグロウル、ややシャウト混じりのベルカントなど、畳み掛けるように変化を重ねていき、声だけで1つのストーリーを描写。
昔、一小節で様々な声色を使い分ける美空ひばりの
歌声は「7色の声」と表現されましたが、さしずめこの尋の声は7色の叫び。
体つきも鍛えぬかれていて、どこのNBAのPGだと錯覚するほど、ガチムチの筋肉。
その体から発せられる声は海外デス・スラッシュVoに引けを取らない音圧を誇ります。
細身で中性的なプレイヤーが多い最近のヴィジュアル系の中では、かなり異彩を放っているのではないでしょうか。
激しい曲調なのですが、前述のメロディックなシンフォニックサウンドなど、どこかヴィジュアル系の耽美性を感じさせてくれる所が印象的です。
インタビューで本人達も
「それぞれまったく色の違うジャンルの技法を融合させているんです」
「自分が影響されてきたルーツを散りばめてます。単純に歌ってるわけではなくて、ラウド・ミュージックの、あらゆる年代の人が特定の部分で聴き覚えのあるパーツが存在するように工夫しました。」
と語っているように、多岐に渡るメタル、コアの要素を凝縮させた所から生まれるドラマ性こそが本作の個性。
個人的に、こういう一曲の中に多くのジャンルを取り入れたタイプのメタルはとても好きです。
日本シーン最高ランクの演奏力と、ヴィジュアル系特有の華やかさが混在した楽曲を聴いてみてください。
それでは。