パンテラ『Walk』
今日はPantera『Walk』を聴いた感想を。
アルバム「Vulgar Display of Power」収録。
この曲は、アメリカのHR/HMバンドPanteraが1992年に発表したドゥームメタルです。
パンテラ最高の厚さを誇る曲。
メタル界史上、最重量級の音圧を放つダイムバッグ・ダレル(Gt)のリフが、ノシッ…ノシッ…とした重さで迫ってきます。
「壁」と表現される事もあるリフですが、単純な迫力だけでなく、リスナーにどことなく威厳を感じさせるのは、おそらく軍隊の行進曲を連想させるところ。
リフのパターンはほぼ一定で、それでいて音色に拡がりがある為、聴いていると無意識に感覚がリフに引き込まれていくような錯覚を覚えます。
スラッシュメタルが文字通り「切り裂く」ようなスピード感を売りにしているのなら、このドゥームメタルも文字通りの「迫ってくる死」のような佇まい。
ギザギザした感じではなく、ゾクッとする雰囲気が味のリフです。
また、良い仕事をしているのがヴィニー・ポール(Ds)。
パンテラの曲は基本的にダレルの放つパワフルなサウンドが注視されがちですが、この曲ではドラムの音が非常に濃い。
バスドラムの音のかっこよさはファンの間でもよく話題になるのですが、本作はスネア音のパワーも素晴らしい。
他のパンテラの作品でもヴィニーのスネア音は凄いのですが、この曲はテンポが遅い為、音の1つ1つをじっくり腰を据えて聴けるため、粒立ちが映えるんですよね。
もちろんトリガー使用で音がより力強くなっているのもあるでしょうが、同じくトリガーを使っている他ドラマーでも、ここまで破壊的な音を出せる、強靭なショット力を持った人は希少。
やはりパンテラの本質は、純粋なパワーなんだという事を再認識させてくれる作品です。
スピードではなくパワーで勝負するメタルを聴いてみてください。
それでは。