ミッシェル・ガン・エレファント『世界の終わり』
今日はミッシェル・ガン・エレファント『世界の終わり』を聴いた感想を。
この曲は日本のロックバンド、ミッシェル・ガン・エレファントが1996年にリリースしたパンクロックです。
日本的パンクの良さが詰まった曲。
彼らの記念すべきメジャーデビュー作であり、代表作でもあります。
「世界の終わりが そこで見てるよと」
「紅茶飲み干して 君は静かに待つ」
「パンを焼きながら 待ち焦がれてる」
「やってくる時を 待ち焦がれてる」
意味深でありながら、一見すると読解が難しい詞。
どうやら村上春樹のSF小説「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」の内容をオマージュしたもの。
春樹小説特有の、ロジカルながら情感的な部分を、綺麗な言葉で表しています。
チバユウスケ(Vo)の声も良い。
よくファンの間でも話題になる超ハスキーボイス。
『世界の終わり』自体は割とポップ成分が強い曲ですが、それでもかなりハードに聴こえるのは彼の声の力が大きい。
声だけでロックを表現できる稀有な歌い手です。
そしてミッシェル・ガン・エレファント名物、アベフトシ(Gt)のカッティング。
言葉の通り、まるで音を切断しまくるような刻みの音を、ジャカジャカジャカジャカと響かせてくれます。
カッティングは、ポップ、ファンク、ヒップホップなど、数多くのジャンルの音楽で使用できる、汎用性の高い技術。
その為カッティングが上手いギタリストは、半端に速弾きが得意なギタリストより需要がある、と言いますが、そのスキルをここまで使いこなすアベフトシは、やはりミッシェル・ガン・エレファントを際立たせるメンバーの1人。
彼自身はドクター・フィールグッドのウィルコ・ジョンソンの影響を受けている事を公言していますが、この音の切れ味、メリハリはまさにウィルコのプレイのよう。
リフ1つで、ここまでの存在感を発揮できるところには尊敬の念すら抱きます。
惜しくも病で、42歳の若さで亡くなっていましたが、それから10年以上経過した現在でも、彼に憧れてギターを手にする若手ギタリストは数多い。
ミュージシャンはデビューしても2~3年で飽きられ忘れられてしまう人もいますが、舞台に立たなくなって10年以上経って、未だ支持されるアベフトシは、きっとミュージシャンとして本物。
亡くなってしまったのは寂しいですが、彼のスケールの大きさが解る真実でもあります。
かっこよく、それでいて偉大なプレイヤーです。
素晴らしいプレイヤーが奏でるメロディにのる、知的な詞の曲を聴いてみてください。
それでは。