ラウドネス『Firestorm』
今日はLOUDNESS『Firestorm』を聴いた感想を。
アルバム「LOUDNESS」収録。
この曲は、日本のHR/HMバンドLOUDNESSが1992年に発表した王道へヴィメタルです。
LOUDNESS屈指の高速ナンバー。
重さ、疾走感は海外HR/HMバンドの上位クラスに匹敵するほどで、それに日本語の歌詞がのる、というユニークな癖のある曲という事で、邦メタルファンの間で話題になります。
入りがドゥームメタル的リズムで、かなりゆっくり始まるのですが、そこから樋口宗孝(Ds)の爆撃のようなパワーでの連打が入り、そこからはスラッシュのレベルのハイスパートになだれ込む。
樋口得意の2ビートが、従来以上の速さで前進して、楽曲の土台を突風の速さで構築していきます。
凄いのは、この疾走感をワンバスで生み出している事。
樋口と言えば他ドラマーなら2バスで刻むスピードのリズムでも、バスドラムとフロアタムのコンビネーションで刻むほど、ワンバスにこだわりを持つドラマー。
昔レッド・ツェッペリンのジョン・ボーナムの影響で、ワンバスの高速ドラマーが増えた時期がありますが、それをこの次元まで突き詰められるドラマーは珍しいと思います。
純粋なスピードで言えばテロライザー時代のピート・サンドヴァルなど凄まじいドラマーは他にもいますが、本作のプレイは1音1音のトーン、音色の厚みなど樋口ならではの濃厚さが表れていて、彼のドラマーとしての真骨頂が体現されたドラミング。
あのXJAPANのYOSHIKIから「ワンバスにこだわった素晴らしいドラマー」と評されるほどの樋口の凄さを解りやすく感じるには、これが最適の音源ではないでしょうか。(ちなみにこの曲では、元XJAPANのベーシストTAIJI( 沢田泰司(Ba))も参加。)
また良いのが山田雅樹(Vo)のボーカル。
非常に強力なシャウト声。
聴き手に、日本人にこんな声が出せる人がいるんだと思わせるほどの本格派メタルボイスです。
二井原実のキレキレのハイトーンボイスもかっこいいですが、山田雅樹の、まるで野獣が獲物を威嚇するようなワイルドな声は、スラッシーなこの曲にあつらえたようにフィット。
基本的にラウドネスの曲はメタルながらも歌メロは邦ポップスな作品も多いのですが、この『Firestorm』はそんなにキャッチーでもなくむしろシンプル。
まるでブルータルのようで、「よくメジャーシーンでこれをリリースしたな」と思わせてくれる熱を感じさせてくれます。
彼らのアーティストとしての姿勢、反骨精神が伝わっくるボーカルプレイです。
日本で稀有な、正統派ヘヴィメタルを聴いてみてください。
それでは。