音の日

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インペリテリ『Beware of the Devil』

今日はImpellitteri『Beware of the Devil』について。


アルバム「Crunch」収録。

この曲は、アメリカのHR/HMバンドImpellitteri2000年に発表したパワーメタルです。


インペリテリの中ではやや異色の曲。

これまでは、テンポが速い以外は正統派なメタルを演奏するイメージでしたが、抑揚のある展開、クワイアの導入など、彼らにしては珍しいパワーメタル的な曲構造になっています。

ただでさえロブ・ロック(Vo)の声は雄々しいメタルの模範的な声なのに、サビのバックでこのクワイアが重なる事で、熱量が倍々式に増加。

ロブの声は合唱と相性が良いという、意外な発見です。


印象的なのがジェイムス・アメリオ・プーリ(Ba)のベースライン。

一般HR/HMのシンプル&スピーディーなベースラインと比較して、かなりのムーブというか、アルペジオ的。

プログレほど細かいわけではないですが、幾何学的なリズムで、一度聴くとしばらく耳に残り続けるメロディ。

ジャズ系のベーシストはアルペジオはあまり使わないそうですが、こういうベースが聴けるのは、ロックならではの楽しみと言えるのではないでしょうか。


そして重要なのは、やはりクリス・インペリテリ(Gt)の稲妻のようなギター。

ソロでのタッピング+スイープ→光速フルピッキング、という技術のデパートなのは相変わらずですが、本作は音自体が凄くヘヴィなんですよね。

基盤であるリフのサウンドも重く大迫力の為、体感速度は並のスピードメタルを凌ぎます。

噂では、クリスはこの曲では変則チューニングを行ったらしく、それが原因かもしれませんが、音色の時点でインペリテリの他の名曲とは趣向が違うテイストを味わえる音作りになっています。

クリスというと、どうしてもスピードプレイばかりが取り沙汰されがちですが、この人は速いから魅力的なのでは無く、基本のサウンド作りから熱心で、技数豊富で、そしてその上で速いから名手と呼ばれるんですよね。

スピードで押すだけじゃない、厚みのあるプレイヤーだという事を感じられる作品です。


ファンから「インペリテリの新たな風」と呼ばれた曲を聴いてみてください。



それでは。