音の日

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イングヴェイ・マルムスティーン『Far Beyond The Sun』

今日はYngwie Malmsteen『Far Beyond The Sun』を聴いた感想を。


アルバム「Rising Force」収録。

この曲は、スウェーデンHR/HMアーティストYngwie Malmsteen1984年に発表したネオクラシカルメタル・インストゥルメンタルです。


メタル・インストに求められるモノの全てが揃った曲。

テクニカルでドラマティックで、何よりメロディが綺麗で。

ファンタジックなヴァン・ヘイレンの「イラプシャン」。
荘厳なジューダス・プリーストの「ザ・ヘリオン」。

HR/HMには優れたインスト曲がいくつかありますが、そのどれとも毛色の違う、インギーならではの「華」を感じられる構造になっています。

ファンの間では「3連のベートーベン」と形容される事もある作品ですが、イントロの時点でベートーベンからのインスパイアかと思われるフレーズがあり、インギーのセンスの根元はクラシックにある事を思い出させてくれます。

そしてそこからは弾きまくり。

クラシックの弦楽器隊を思わせる音運びで、スピーディーですが品格を感じられる音色。

イングヴェイといえば、指を怪我する前は、技巧だけじゃなく運指の滑らかさでも話題になりましたが、「王者」のフィンガリングを存分に堪能できる作品になっています。

途中で入るイェンス・ヨハンソン(Key)とのバトルは必聴。

インギーも鬼テクミュージシャンですが、フュージョンもプレイする超絶技巧キーボティストのイェンスのスキルは、そのインギーと比較しても決して見劣りしません。

イングヴェイのもとを離れた後は、その腕を見込まれディオ、ストラトヴァリウスなど大物バンドへの加入を繰り返す事になるのですが、テクニックもメロディセンスも一流のミュージシャン同士のソロバトルは、本当に壮大。

やはりメタル曲は、スケールの大きさも大切ですよね。

そして最後のトリを飾るのは、イングヴェイの奏でるブロークン・コード。

速弾き、キーボードとのバトルを経て、最後の締めでこれは雄渾。

クリス・インペリテリ、マイケル・アンジェロ、素晴らしい速弾き系ギタリストはメタル界には沢山いますが、ここまで速く壮麗なギターを弾く人は希少だと思います。

現在ではテクニカルなギターを弾く事よりも、メロディアスなギターを弾く事にこだわっている彼ですが、メロディアスで尚且つ速い本作は、初期の彼だからこその良さが溢れている作品です。

ネオクラシカルメタルを、最も広く世界に知らしめたアーティストの凄まじさを堪能できる楽曲ではないでしょうか。

発表から35年以上たった現在でも、メタル・インストの最高峰と呼ばれる曲を聴いてみてください。



それでは。