スカイラーク『Welcome』
今日はSkylark『Welcome』を聴いた感想を。
アルバム「Divine Gates part I -Gate Of Hell-」収録。
この曲は、イタリアのパワーメタルバンドSkylarkが1999年に発表したクラシカルメタルです。
一曲の中に、森のように多彩なメロディが詰まった曲。
演奏時間が7分と、Dragon Force並みの長丁場の作品。
なのにファンから「聴いてたら、気が付いたら後半に入ってた」と評されるほど演奏中、常にリスナーに新鮮な刺激を与えつづけつてくれる楽曲です。
前半はパワーメタルに多用される、しっとり系の「序章」的な幕開けパート。
おなじみなようで、クラシカルメタルには重大な場面ですよね。
そこから始まるエディ・アントニーニ (Key)の、高音域でのシンセサイザーの第2イントロ、そしてスラッシーなリフが劇的な抑揚を演出。
スピード感のあるリズムとシンセの絡みはソナタ・アークティカに近いのではないでしょうか。
ソロパートにおいてはチェンバロも導入。
基本的にはクラシック畑の楽器でも、メタル曲に合わせてパワフルな音色での演奏が良いです
アクセントでさりげなく使うというより、キッチリとメロディを作ってメインとして使うところが新鮮ではないでしょうか。
そして個人的に好きなのはファビオ・ドッツォ (Vo)と、女性ゲストボーカリストとのツインボーカル。
ツインと言っても大半は男性ボーカルのファビオが歌っていて、女性ボーカルのパートは短めなのですが。
ファビオのボーカルは熱血というか、たとえば激情をそのままにぶつけていくようなスタイル。
なのに女性の方の歌唱は冷静というか、もはや機械的なまでに淡白なんですよね。
ある意味ボーカロイド以上の平静さかもしれません。笑
わざとそういう歌い方で歌うスタイルなのかは解りませんが、ユニークなのはその2人の冷静と情熱のギャップ。
まるで恋愛映画の熱血主人公とクールなヒロインの対話のようで、独特な味があります。
デビュー当時は演奏力がまだ未熟だった事もあって賛否が激しいバンドでしたが、このコントラストが効いたツインボーカルは唯一無二の個性だと思います。
その後、正式に女性ボーカルのキアラを起用し、ファビオと共に楽曲を盛り上げていく事になりますが、更にその後には惜しまれながらも2人とも脱退。
そのメンバーでの本作のプレイは二度と楽しめませんが、だからこそ残された音源達はその価値を増します。
パワーメタル最盛期の90年代~2000年代前半を支えたバンドの1つである威厳を示してくれる作品ではないでしょうか。
ツインギターならぬツインボーカルが映えるメタルを聴いてみてください。
それでは。