音の日

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デフ・レパード『Love Bites』

今日はDef Leppard『Love Bites』について。


アルバム「Hysteria」収録。

この曲は、イングランドHR/HMバンドDef Leppardが1987年に発表したロックバラードです。


80年代のHR/HMバラードの良いところが溢れた曲。

ムーディな佇まい、濃いめにかかったリバーブなど、30年前的かっこ良さを存分に楽しめる内容になっています。

この曲で好きなのはジョー・エリオット (Vo)の、張り叫ぶような歌唱。

メタルボーカルらしいハスキーな歌声で、サビでは裏返りかかる程の硬質でハイトーンなシャウト。

にも関わらず、メロディは曇りが無いピュアな構成、というコントラスト感が最高です。

特にサビでの裏でガッツリかかるコーラスも美味しい。

ぶ厚過ぎて、ファンから「主旋律はどれなの?」と話題にされるほど。笑

ほぼ同時期の1986年に発表されたボン・ジョヴィの「Livin' on a Prayer」もそうですが、当時海外ではロックに重厚なコーラスワークを混ぜる、という組み合わせが流行っていたんですよね。

手法としてはオーソドックスなんですけど安っぽくはない。

むしろ聖歌隊のような上品さが、かえってロック特有の野性味と合わさって、まるで互いに足りないところを補いあうようなグループ感を演出。

優れたロック作品は必ずどこかでバランス、つまりは「調和」を感じられるものだという事を実感させてくれます。

ゴリゴリなサウンドでも、作りは丁寧というところが一流ロックアーティストという感じですよね。


実は歌詞も良い。

「僕の心が通じるのか それとも君は勝手なだけなのか」
「朝起きたら君は出ていくのか それは愛とは呼ばないだろ 投げ散らかすようなものを」

「愛は噛みつき 血を流す 愛は僕に屈服させるんだ」
「愛は生きて そして死んでいく 何も驚くことじゃない」

恋愛の良いところというより、恋愛の空しいところ、寂しいところに焦点を宛てた詞。

タイトルの『Love Bites』は英語圏では「キスのあとに残る歯形」の意で、それを「強すぎる愛はときに人を傷つける」という意味の暗喩だそう。

一般に当時のHR/HMバンドのラブソングは、もっと押し強い熱愛を描くイメージですが、こういうアンニュイなラブソングはやや珍しかったのではないでしょうか。

ジョーのハスキーな声でこの詞を歌われると、一層悲壮感を増します。

メロディ、メッセージ性の両方に秀でた曲。

収録アルバムの「Hysteria」自体1000万枚を売り上げた大ヒット作ですが、それはこの『Love Bites』の貢献が大きいのかもしれませんね。

HR/HMファンにも、一般人にもウケる曲バラードです。

吠えるようで、しなやかな曲を聴いてみてください。



それでは。