キャメロット『Forever』
今日はKamelot『Forever』について。
アルバム「Karma」収録。
この曲は、アメリカのヘヴィメタルバンドKamelotが2001年に発表したパワーメタルです。
アメリカン+北欧感がかっこいい曲。
L.A.メタルらしいノリやすいミドルテンポに、北ヨーロッパ特有のクラシカルなメロディが濃厚に融け合い、それでいて成立しているところが粋です。
北欧感、と言っても単なるパワーメタルでもなく、たとえばラプソディ・オブ・ファイアにも通じるミュージカル要素があるところが印象的。
さりげなくグリーグの超名作「ペール・ギュント」のオマージュと思われるフレーズが組み込まれていて、遊び心も感じさせます。
この作品の華は、なんと言ってもトーマス・ヤングブラッド(Gt)の奏でるソロ。
実際はかなりの速弾きもこなせるギタリストなのですが、本作ではあえてそれを抑えて、迫力よりメロディアスさに重きを置いたエレガントなプレイになっています。
よくギタリストをのプレイを「叫ぶギター」と「語るギター」の2つに分ける言い方がありますが、この『Forever』での彼のプレイはいわゆる「語る」演奏。
歌詞が亡き恋人を偲ぶ内容ですが、まるで歌うようなギターで思いきりメランコリックな感情を表現しています。
他のパワメタバンドならストリングスで鳴らしそうな流麗さ重視のメロディを、あえてギターで奏でるところが面白いですよね。
また、もう1つ素晴らしいのがボーカル。
ロイ・カーン(Vo)の太く厚みにある声に、聴き手の心の芯にズシりと響かせるパワーがあります。
パワーメタルはアングラやハロウィンの影響か高音域中心のイメージがありますが、本作は中音域主体。
爆発するような感情を表現するハイトーンも良いですが、たとえばロニー・ジェイムス・ディオが高音より中音域を多用していたように、楚楚とした中音もメタルの荘厳さを魅せてくれますよね。
ボーカルのメロディ自体が日本的なので、「歌モノ」好きなリスナーの耳にも馴染むのではないでしょうか。
キャッチーなのに、リスナーに媚びない上品さがある曲を聴いてみてください。
それでは。