音の日

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アヴリル・ラヴィーン『Complicated』

今日はAvril Lavigne『Complicated』について。


この曲は、カナダ出身のシンガー・ソングライター
Avril Lavigneが2002年にリリースしたパワー・ポップです。

2002年の「最も売れたカナダの曲」に選ばれ、Contemporary Hit Radioのチャートで11週にわたり1位を独占した事でも話題になりました。


苛烈ながら優しい歌詞が印象的な曲。

アヴリル・ラヴィーンの記念すべきメジャーデビューシングル曲で、その驚異的な売り上げから彼女の知名度を爆発的に広めた作品ですが、そのリアルな歌詞でも話題になりました。

「あなたがまるで 他の誰かみたいに振る舞ってるのはイライラする」

「 人生なんてこんなものだよ 転んで、はいまわって、傷ついて、
得たものを手に取って そして飾らなくなっていくの」

「約束したでしょ もうごまかさないって」

自分と過ごす時間以外は、人目を気にして、それに合わせた振る舞いばかりする彼氏を叱りつけるような歌詞。

元々アヴリルが、昔付き合っていた恋人に向けて書かれた詞だそうですが、アヴリルだけじゃなく、まるで世間一般の女性の思っている事を代弁したような内容ですよね。

たとえば嫉妬の感情にしても、「女は自分より外見が美しい女を妬み、男は自分より出世が早い男を妬む」などと言われるように、男性は大抵「世間体」を自分の人生の重要な部分に置きがち。

男性にそういう部分があるのは、一説には人類がまだ猿の時代から、オスは群れのなかでの自分の序列を気にして戦う習性があったので、その時の名残、という仮説はありますが、とにかく見栄を張りたくなりやすい生き物なのかもしれません。笑

ただそれは男にとっては重大でも、女から見れば些細なモノ。

きっと女性側からしたら、自分の彼氏には人目を怖れて違う人間を演じ続けられるよりは、おそらく自然体で堂々としていてほしいんですよね。

愛した人が、世間を気にして変に自分を飾るよりは、そのままで自分らしくいてほしい。

ひたすら相手の好きなところを囁くラブソングとは少し違う、相手に不満を漏らしながらも同時に期待も寄せている。

アヴリル式の、ラブソング的メッセージソング、という感じでしょうか。

アメとムチが絶妙に効いた歌詞だと思います。


楽曲的にも秀逸。

イントロ~Aメロは少し物憂げなメロディ。

素の自分に自信が無い恋人への、空しさを表しているかのようです。

しかしBメロからはわずかに力強く。

そしてサビでは、まるではっちゃけるように演奏とアヴリルの声にパワーがこもります。

恋人に「これからは少しだけ自分に自信を持って」と背中を叩くような音圧。

アヴリル自身の歌声にも、なにか切実感というか懸命になにかを訴えかけよう、という痛切さがあり、それだけ強く相手の事を想っているのだという事が伝わってきます。

強いようで脆い、と見せかけてやはりとても強い。

セリーヌ・ディオンマライア・キャリーのような歌姫とはタイプが違う、ロック歌姫なアヴリルに相応しい作品ではないでしょうか。


憂いと激励のコントラストが効いた曲を聴いてみてください。



それでは。