今日はEurope『Carrie』について。
アルバム「The Final Countdown」収録。
この曲は、スウェーデンのハードロックバンドEuropeが1986年に発表したロックバラードです。
明光のように希望に溢れたメロディのバラード。
まるで霧が晴れるように、明るくも胸に染み込んでいく旋律が、リスナーの心を穏やかに包んでいきます。
特に好きなのはミック・ミカエリ (Key)のキーボード。
雪のように透明感のある音色は、北欧の雪原の風景そのものを映し出しているかのよう。
それていて若干L.A.ロックを連想させる明るい温かさもあり、それがアメリカ人にもウケたのか、全米チャートで3位を獲得した事もあります。
当時アメリカで、本作のタイトルの名前を子供につける親も多かったとか。
しっとり感もあり、じんわりとした優しさもある、幅広いリスナーにフィットする音色です。
また際立つのは、ジョーイ・テンペスト (Vo)の声。
ハスキーなのですが独特の甘さもあり、この手のロックバラードと相性抜群の歌声です。
叫ぶパートでもうるささが無く、むしろ一種の脆さというか儚さを感じさせます。
時折覗く、嘆くように歌い上げるパートは感涙もの。
というか前作までと比べて、そもそも歌唱力自体も向上しているように聴こえます。
ボイストレーニングメニューを変えたのか、積み重ねた人生経験が歌に活きたのかは解りませんが、それまでとは一味違うジョーイの声が堪能出来る作品でもあると思います。
ちなみに、これほど美しい作品なのにジョン・ノーラム(Gt)はこの曲があまり好きでは無いとの事。笑
「この曲は眠くなる」とまで語り、先のEurope再結成ライブですら「絶対やらない!」と演奏に参加しないほどの徹底した嫌いぶり。笑
まぁ、この後EuropeがHR/HMからポップス路線に舵をきっていった事を疑問に思い、一度はバンドを脱退してしまったほど「HR/HMミュージシャンである事」にプライドを持っている彼ですから、ある意味致し方ないのかもしれません。
しかし噂によれば「ギターソロ部分は誇りに思っている」と語った事もあるなと、この曲を全てを拒絶しているわけではない模様。
ライブでは現在は、ジョーイが1人でアコースティックで演奏していますが、いつかは彼が生でプレイする『Carrie』も聴いてみたいですね。笑
ポップなメロディと透き通るサウンド、歌メロに重きを置いた構成。
HR/HMバンドのバラードに取っ付きにくいイメージを持っている人にこそ聴いてほしい曲です。
それでは。