音の日

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フランク・シナトラ『My Way』

今日はFrank Sinatra『My Way』について。


この曲はアメリカの歌手Frank Sinatraが1969年にリリースしたポップバラードです。


作曲がクロード・フランソワ、ジャック・ルヴォー。

作詞には「ダイアナ」で有名なポール・アンカが関わった事でも知られています。

原曲は1967年のクロード・フランソワのフランス語の曲「Comme d'habitude」ですが、本作はポール・アンカが独自に詞を書き換えて発表した別バージョン。


個々の生き方を考えさせられる曲。

「少しは後悔もあったよ」
「けれど、今となっては口に出す程じゃないほど些細なことだ」

「やるべきことはやったし、免除してもらうようなこともなかった」

元々、原曲の「Comme d'habitude」はオーソドックスな男女の離別の歌でしたが、この曲は

「死期が近い主人公が、これまで自分に訪れたあらゆる困難に対して行った事に後悔せず自信を持っている」

と語る内容にアレンジされています。

人生の起伏も酸いも甘いも受け入れるような渋みがあるメッセージ。

それを、「ザ・ヴォイス」の異名をとるほど豊かな表現力を持つフランクが歌う事で、聴き手の心の深いところまで染み渡るような厚みが演出。


エルヴィス・プレスリーや、セックス・ピストルズシド・ヴィシャスU2などそうそうたる顔触れにカバーされている作品ですが、それは同じく偉大なアーティスト同士だからこそ共感しあえる「深み」ようなものがあるからかもしれませんね。


作詞の面だけじゃなく楽曲的にも秀逸。

現代ポップスのような派手さ、クッキリした華やかさは無いのですが、静かながらズッシリした芯があり、「時代を越え普遍的に愛される曲」を地でいくような古風な魅力をはなっています。

アメリカのバラード曲らしく後半に進むにつれて迫力を増していく構成なのですが、その盛り上がったパートと、後半の詞、
 
「記録は私が戦ってきたことを示している 自分の信ずるままに」

「そう、自分の信ずるままに」

がシンクロしていく部分は背筋がゾクゾクするほどの尊さ、熱量を持ち、聴き手が一度聴いたら忘れられない高揚感を感じることが出来るパート。

この「マイ・ウェイ」はイギリスで最も葬儀で演奏される曲だそうですが、それは多くの人が愛する故人の魂にこの曲を送って、「あなたが遺した思い出は、私達の心の中にずっと残っている」というメッセージを届けたいからなんでしょうね。

世界的知名度のみならず、作品に込められた情味が溢れるような曲です。


この曲を聴きながら、自分なりの「人生の全うの仕方」をイメージするきっかけにしてみても良いのではないでしょうか。



それでは。