ミスター・ビッグ『Colorado Bulldog』
今日はMr.Big『Colorado Bulldog』について。
アルバム「Bump Ahead」収録。
この曲は、アメリカのHR/HMバンドMr.Bigが1993年に発表したテクニカル・ハードロックです。
とにかく演奏陣のスキルが楽しめる曲。
エリック・マーティン(Vo)のパワフルながら流水のように無駄の無い歌声もさることながら、バックのメンバーが目立ちまくる構成になっています。
まずイントロ。
元々ビリー・シーン(Ba)が原案を出して、それをポール・ギルバート(Gt)に提案したパートだそうですが、鬼の速さのソロが一瞬でリスナーの耳を捕らえます。
その難易度は、後に加入したリッチー・コッツェン (Gt)がこの曲の演奏を任された時に「ちょっと待て!」となってしまったほど。笑
リッチー自身も相当なテクニカルプレイヤーで、このバンドに加入する際ポールの後釜を任された時も「まぁ問題ないでしょ」と少し自信ありげに考えていたそうですが、初めてこのイントロを聴いた時は驚いてしまったようです。笑
ただそのイントロさえ、ポール自身は3日で身につけてしまったそうですから、一時は「世界最速」の異名をとったギタリストの威厳を見せつけてくれますよね。
RACER Xっぽいところがあるのも彼のファンからすれば嬉しいところではないでしょうか。
ビリーも、特に中間部の方で大活躍。
そこでもポールも相当な速弾きですが、ビリーも激速のフィンガリング。
速いのですが、それでいてメロディも流麗でポールとソロバトルをしているようなスリルを感じさせてくれます。
日本でもメロディックなプレイをするベーシストとしてL'Arc~en~Cielのtetsuyaがいますが、本作はソレに更にHR/HMのスピードを上乗せさせたような構造。
まさにビリー流「歌うベース」。
パット・トーピー (Ds)のドラミングもエネルギッシュながら的確。
ハイスパートなのですが、高難度のシャッフルビートをさらりとこなしていて、力強くも精密な弦楽器隊に綺麗に噛み合うプレイです。
随所でパットの代名詞の、スネアによるグレースノートがあるところもオイシイ。
メンバー全員に「テクニカルながらスピーディー。スピーディーながら音色もキッチリ作り込む。」というところが共通している楽曲です。
技術志向があまり好みじゃない人にも、総合点で訴えかけるモノがある作品だと思うので、是非聴いてみてください。
それでは。