Dir en grey『Dozing Green(Before Construction Ver.)』
今日はDir en grey『Dozing Green(Before Construction Ver.)』を聴いた感想を。
アルバム「UROBOROS」完全生産限定盤の「Disc 2. -UNPLUGGED DISC-」収録。
この曲は、日本のロックバンドDir en greyが2008年に発表したロックバラードです。
物事の裏表を考えさせられるような曲。
「誰もが見て見ぬふりをして 幸福垂れ流して」
「手を延ばし その先に求めた 安らぎとは犠牲の上」
「ただ眼を背けていたいだけだろ?」
「ただ加害者に笑いかけてろ」
「一見、平和に見える光景でも、その底その直前まではとても悲しいものが在るかもしれない」という思想が展開されています。
元々タイトルの『Dozing Green』(緑にまどろむ)の意味自体、作詞者の京がインタビューで
「たとえば綺麗な緑色の草原に見えても、土の下には何が埋まってるかわからないじゃないですか。表面だけしか見ずにいたら、気付かないことなんてたくさんある。」
「そう思ったときに、なんか緑のなかに堕ちていくような感覚をおぼえたんですよね。」
と語っているように、「一面が美しいからと、その全てを美しいと考えるのは早い」というメッセージが込められたもののようですね。
こういう「表層だけ見て全てを把握する事はできない」のようなことを語る人を持つ人は、それ自体は京の他にも居ますが、不思議と京が語ると読み手の胸にズシッと響くものがあります。
それはきっと「誰もが幸福を垂れ流して」や「加害者に笑いかけてろ」のように、ヘヴィでありながらも他のアーティストが使わない、独特な言葉選びのセンスにあるのかもしれません。
特に本作はシングルVerの『Dozing Green』のアレンジ前のせいか、比喩がそれほど遠回しではなくやや直接的な表現を用いている為、他のディルの詞より少しだけ内容が解りやすい印象。
複雑な比喩を読みとく手間をかけずに京の詞を楽しみたい人にオススメです。(それでも世間一般のアーティストの歌詞よりは難解な方だと思いますが)
曲の方は退廃的ながら繊細。
前半は低音で歌いながら中盤以降から一気にキーが跳ね上がる、というディル得意の展開になっています。
その展開自体はディルの楽曲の中では珍しくはないのですが、「VINUSHKA」のように、疾走+デスボイスのパートや大サビで更にキーが上がる部分など、ただのミディアムバラードでは終わらないエキセントリックさを感じられます。
ストレートなメロディ部分は一般の人にも、深みのある詞は古参のファンにも響く楽曲です。
受け入れやすさとコアさ、歌詞のテーマのように「一面だけ受け止めるだけでは解らない」音楽を聴いてみてください。
それでは。