音の日

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アイアン・メイデン『Hallowed Be Thy Name』

今日はIron Maiden『Hallowed Be Thy Name(邦題:審判の日)』について。



アルバム「The Number Of The Beast(魔力の刻印)」収録。

この曲は、イングランドHR/HMバンドIron Maidenが1982年に発表したプログレッシブ・メタルです。

「シャバでは全てが裏目に出てしまった 一体何処で間違えたんだろう」
「今更後悔してみても、膨れ上がる恐怖はどうにもできない」

刑の執行を待つ死刑囚の心境を描いた本作は、アイアン・メイデンの代表曲の1つです。

非常にドラマティックな曲。

まるで囚人の嘆きを表現したような薄暗いメロディが、まるでストリートバスケのドリブルのように変幻自在なビートに乗って、聴き手の胸に迫ってきます。

この曲を聴いて連想するのは、日本のDir en grey
『VINUSHKA』。

死刑囚の心情をテーマにした、という部分もそうですが、この起伏に富んだ展開、豪快なようでデリケートなコード進行は、それにのる祈るような痛切な歌メロを極限まで引き立てていると思います。

後の名作「Fear Of The Dark」の起承転結の激しい展開に通じる世界観が、既に片鱗を覗かせているのではないでしょうか。

また、ブルース・ディッキンソン (Vo)のボーカルスキルが楽しめる曲でもあります。

倍音の効いたナチュラルな高音、滑らかな強弱、そして前半の歌詞「The sands of time for me are running low~」部分からテンポチェンジするところのロングトーン

前任のボーカリストであるポール・ディアノが偉大な個性派ボーカリストだった上に、新人で固定ファンもいなく、しかも本作収録のアルバムがデビュー一作目だったブルースには、元々強烈な逆風が吹いていました。

しかしアルバムリリース後、古参のファンの間で「前のメイデンとは違った良さがある」と好意的に受け取られ、見事にメイデンの新ボーカルとして認められていきます。

いわば「歌声で納得させた」わけですね。

メタルファンの間でも「歌唱力のあるメタルシンガーといえば」の議論で必ず名前が出る彼ですが、それと後人への影響力、世界的知名度など、歌い手としての総合力でも、間違いないなく「偉人」の領域に達した歌手だと思います。

死生観を改めさせられそうな歌詞、40年近く前の曲とは思えないクオリティ、そしてメンバー自身の演奏力。

その全てが壮大な化学反応を起こして生まれた楽曲です。



アイアン・メイデンのブランド「ドラマティックなメタル」の原点と呼ばれるヘヴィメタルを聴いてみてください。



それでは。