音の日

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シン・リジィ『The Boys Are Back in Town』

今日はThin Lizzy『The Boys Are Back in Town』について。


アルバム「Jailbreak(邦題:脱獄)」収録曲。

この曲は、アイルランドHR/HMバンドThin Lizzyが1976年に発表したロックチューンです。

タイトルの邦題は「ヤツらは町へ」。

ベトナム戦争に出征していった不良達が地元の町に帰ってくる」という内容の曲です。

歌詞にはワルの要素もありますが、曲調自体は子供とおもちゃの関係性を描いた映画「トイ・ストーリー」にも使用された程ほのぼのしたもの。

一部のファンの間では「牧歌的」と評される事もあります。


この曲で好きなのは、フィル・ナイノット(Vo)のボーカルパート。

まるで語るように朗々とした歌声には、独特な説得力があります。

一般にHR/HM系統のバンドの曲は、他ジャンルでは珍しいレベルのハイトーンや声量を駆使するイメージ。

ですが、本作はそういう要素は欠片も見られず、まるで話しかけるような穏やかな声で歌い上げられています。

その中性的な歌い回しがギターのオシャレなコード進行とからみあい、唯一無二のグルーヴを演出。

「このバンドじゃなきゃ味わえない」と断言できるコンビネーションが味わえる曲です。


実はさりげにそのリフの動き自体も面白く、なんというか「空白」だらけ。

「間」とも言えますが、これが大音量で聴くと不思議とかっこ良さが4割増し。

もちろんどんなロックも小さい音で聴くより大音量の方が良いのですが、このリフはそういう次元ではない位、ボリュームの影響を受ける曲です。

音色自体も澄んでいて、トータルではやんちゃなロックというより、おおらかな大人のロック。

激しさよりは、軽快なのにどことなく漂う透明感で聴き手を惹き付ける楽曲ではないでしょうか。


ちなみにボン・ジョヴィがオムニバス・アルバム「Stairway to Heaven / Highway to Hell」において、

カーディガンズがシングル「Hey! Get out of My Way」のカップリング曲として本作をカバーしています。

ロック界の超ビッグバンド達さえ、思わず自分でプレイしたくなってしまう曲を聴いてみてください。



それでは。