音の日

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米津玄師『Loser』

今日は米津玄師『Loser』について。


この曲は、日本のシンガー・ソングライター米津玄師が2016年にリリースしたポップロックです。

Honda「JADE」なCMソングとしても知られています。


ダークな前向きさのある歌詞が印象的な曲。

「いつもどおりの通り独り こんな日々もはや懲り懲り もうどこにも行けやしないのに 夢見ておやすみ」

米津玄師本人いわく、「自分の事を書いた曲」。

辿り着きたい場所はあるのになかなかそこに辿り着く事ができず、ただ一人で作業繰り返し続ける。彼はそんな自分を「負け犬」と称しています。

努力はしていても、現状理想を叶えられず、いつも孤独な葛藤を繰り返す人に響くものがある歌詞ではないでしょうか。

ですが、

「ああわかってるって 深く転がる 俺は負け犬」
「ただどこでもいいから遠くへ行きたいんだ それだけなんだ」

今の自分の敗北を受け入れた上で、それても前に進もう、という意気が表現されています。

ユニークなのは目標が「どこでもいいから遠くへ」と曖昧なものである事。

ここで「最高のアーティストになりたい」と書いていたら、確かにかっこ良くはあるのですが、世間一般から見たら行き過ぎ感というか、自分からはかけ離れ過ぎていて共感を感じにくいところがあるんですよね。

けれどあえて高い目標は定めず「どこでもいいから遠くへ」と歌う事で、世の中の人々の、

「今が苦しくてたまらない。どこでもいいからここじゃない場所に行きたい」

という胸に秘めた願いと共鳴する効果を生み出しています。

自身を鼓舞する応援歌であり、また現状の自分の立ち位置を認識する事ができる、熱くも鋭い歌詞。

情熱的であり達観的でもある、なかなか他ではお目にかかれない世界観の歌詞ではないでしょうか。


もちろん楽曲自体も隙のないクオリティ。

ノリノリながら硬派な音色のギターリフが、インパクトのあるリズム隊。

それが絡み、1つの塊となって聴き手の耳に押し寄せてきます。

ポップス曲としては音数が多い曲ですが、余分な音が少なくとてもタイトです。

抑揚感のある流れの中にも、シビアな味。

ひんやりとした明るさがある楽曲ではないでしょうか。

大人なダンスミュージックを聴いてみてください。



それでは。