田所あずさ『DEAREST DROP』
今日は田所あずさ『DEAREST DROP』を聴いた感想を。
この曲は日本の声優兼歌手、田所あずさが2017年にリリースしたポップロックです。
田所あずさ本人、新井良平、井上喜久子が声優として出演している事でも知られるアニメ「終末なにしてますか?忙しいですか?救ってもらっていいですか?」のOPテーマとしても有名。
「何回目の明日が来るのか わからない夜なら名前を呼ばれたい」
「だって胸が痛い 痛くて張り裂けそうだ」
間もなく戦争で命を失う事になっているヒロインの、愛する人への切実なメッセージが込められたこの曲は、スピーディなのギターにのる悲しげなメロディが美しい曲。
サウンド自体はポップスよりですが、ドライブ感のある音の動きがHRに近く、聴き手の耳にズンズンと迫る圧力を放っています。
髭白健のドラムもドカドカと大暴れ。
それでいてバックで鳴る名ヴァイオリニスト室屋光一郎の繊細なストリングス、そして何より歌い手の田所あずさ(Vo)の健気な歌声が叙情的で、激しい演奏陣と好対称を演出。
田所あずさの、A~Bメロでの早口でまくし立てるような歌い方と、サビでのバラード曲のような伸びやかな歌声の使い分けが巧み。
そもそも歌声自体から強い感情が表れていて、田所あずさの表現力を感じる事ができる内容です。
このアップテンポで、この儚さを表現するのは凄いのではないでしょうか。
本作のクオリティの高さは、もちろん演奏陣の優秀さもあるでしょうが、プロデュース担当が斎藤滋というのも大きいのかな、と思います。
基本的には涼宮ハルヒの憂鬱、ラブライブ!、未来日記などのアニメプロデューサーとしての印象が強い彼ですが、一方で奥井雅美、茅原実里、ヒャダインのプロデュースを勤めた事もある音楽プロデューサーの一面も。
異なるジャンルのプロデューサーを兼任して、その両方で成功を納めた日本屈指のクリエイターが力を注いだ訳ですから、良い曲にならない訳も無いんですよね。
非常に切れ味が鋭いリズムなのに、それが逆に歌詞とメロディに込められた無力感と切望を強調している素晴しいロックではないでしょうか。
空しさと、強い願いが込められた曲を聴いてみてください。
それでは。