音の日

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Dir en Grey『人間を被る』

今日はDir en Grey『人間を被る』を聴いた感想を。


この曲は、日本のロックバンドDir en Greyが2018年にリリースしたエクスペリメンタル・メタルです。


タイトルの『人間を被る』の意味は不明ですが、ファンの一部での解釈は「“普通”の人になりすますこと」。


「バラバラの傷を縫い合わせ 出来上がった憎悪の塊」
「最低最悪の出来だろ? それは誰?」



世間では周囲と同じ考えを持てない人は、仲間外れにされて、まともに人間扱いすらされない。

それなら例え本当は周りと違う価値観を持っていても、一般的な人間のように振る舞おう。

そうして出来上がった「普通な自分」の仮面を「最低最悪な出来」と表現している、と見られる歌詞(仮説)。

前作の「詩踏み」に通じるような「“自分”を持つ事の意味」を問いかけるようなメッセージです。


「誰が正しいとかどうでもいい」

「Blessing to lose heart(失望を受け入れろ)」


変わり者の自分を人間すら扱いしない社会を愛せないけれど、だからと言って自分のような少数派は、多数派の流れに逆らう力は無い。

だったら戦うのではなく、「多数派と少数派、どちらが正しいのか」など悩む事をやめてしまおう。

あるがままに受け入れるしか無い。


一見諦めのようにも見えますが、「背伸びせず、今できる事の中から幸せになる方法を考えよう」と、いう強い想いが込められている、ともとれる詞ではないでしょうか。

京が先日のインタビューで「世間で主流とされるものに対する反発はありますが?」という質問に対し、

「昔はあったかもしれないけど、今はもうそれすらもどうでもいい」

と答えていましたが、今まで痛みを歌ってきた彼はそれを通りこして「悟り」の境地に達し始めているのかもしれませんね。


歌詞が変化し始めているように、曲調も今までのディルとは違ってストレートです。

今回は複雑さではなく「無駄を削ぎ落とす」事にこだわったそうですが、普段から彼らの曲を聴いているリスナーにとってはむしろ新鮮に響くのではないでしょうか。

ミキシング担当がONE OK ROCKやBring Me the Horizonなどの楽曲を手掛けるダン・ランカスターなので音質面も言うことなし。

深みと鋭さを兼ね備えた曲です。


従来のDir en Greyとは同じようで違う曲を聴いてみてください。



それでは。