アリス『チャンピオン』
今日はアリス『チャンピオン』について。
この曲は、日本のフォーク・グループアリスが1978年にリリースしたフォーク・ロックソングです。
オリコンチャート1位獲得曲。
またアニメ 「そらのおとしもの」の第11話エンディングテーマとして、保志総一朗、トモ子など声優陣がキャラクター名義でカバーした曲としても知られています。
アリス史上最大のヒット曲。
作詞・作曲 谷村新司で、一見男らしい文体の歌詞ですが、内容は彼らしい、しとやかな感情を孕んだもの。
「ロッカールームの ベンチで君は きれたくちびるで そっとつぶやいた」
「帰れるんだ これでただの男に 帰れるんだ」
「これで帰れるんだ」
物語形式の歌詞ですが、内容的には
「老いたチャンピオンボクサーが、若き挑戦者からの防衛戦に挑まれ闘うが、内心はチャンピオンの重圧、ファンからの期待の念で、押しつぶされそうになっている。」
「結果的には敗北してしまうが、そんなチャンピオンに「もう闘わなくていい。あなたは充分夢を見せてくれた。」と労りの想いを呟く、あるファンの心境」
を表現したもの。
普段「周囲の期待に応えなきゃ、がんばらなきゃ。」と自分を責めている人に響く歌詞ではないでしょうか。
ちなみに詞のモデルは元プロボクサーのカシアス内藤とのこと。
彼自身もとても強いボクサーでしたが、非常に優しくデリケートな性格だった為、途中から精神的に参ってしまい、後半負け試合が続くようになりましたが、それでも自分の限界まで戦い続けたアスリート。
その懸命な生き様が、谷村新司の心を打ち、生み出されたのが本作のようです。
精一杯闘った人に対する愛と敬意に満ちた詞だと思います。
曲調も、穏やかなフォークソングとイメージのあるアリスとはギャップのあるロック調。
谷村新司のドスの効いた声が合いすぎな位マッチしていて“かっこいいクドさ”を演出しています。
このストレートさは昭和のロックの美点ですよね。
威厳がありながら熱い、熱いのに優しい「アリス流ロック」の名が相応しい音楽ではないでしょうか。
「もう、がんばらなくていい」と応援してくれる曲を聴いてみてください。
それでは。